北京五輪関連のニュースまとめ。後半です。
前半は
北京五輪まとめ(1)をご覧下さい。
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8月18日(月)
■劉翔棄権 ネットは批判の嵐(産経)
【北京=矢板明夫】中国陸上のスーパースター劉翔が18日、男子百十メートル障害の予選を棄権したことについて、中国の大手ポータル「新浪ネット」が行った緊急調査では、約33%のネットユーザーが「理解する」と投票しているのに対し、ほぼ同数の約31%が「理解に苦しむ」と厳しい意見を示した。
劉翔の雄姿を一目見ようとするファンで今大会のチケットは同種目開催日が最も人気を集め、定価400元(1元=約15円)のものが、闇では1万元以上売られていた。
「練習に専念せずタレント活動ばかりしているからだ」「体調管理はスポーツ選手の基本中の基本」などと批判の書き込みが各ネット掲示板に寄せられており、「負けるのが怖いから仮病したのでは」といった意見も。劉翔のゼッケンが「1356」であることから、「中国の13億人と56の民族を背負っている」と解釈する人もおり、「中国の名誉のためにもあきらめてはいけなかった。はってでもゴールまで行くべきだった」といった意見が多数寄せられた。
市民から厳しい意見が相次ぐ背景には、劉翔の高収入とセレブな生活ぶりにあるとみられる。(以下略)
劉翔選手は
「私はアジア人の代表だが、それに日本人は含まれていない」と発言したこともあるほどの嫌日家だそう(
「北京趣聞博客」8/14付参照)。だから棄権を知った時、「ざまあみろ」感がなかったと言えば嘘になります。でも実際の映像を見たら、やっぱり少し可哀相になっちゃいました。
日本だとこういう場合、“惻隠の情”が働いてあからさまな批判はあまりしないものですが、中国ではもうボロカスだったみたいですね。事態を憂いた国家副主席が、劉翔選手へ慰めと励ましのメッセージを発信したそう(
時事8/18)。北京五輪指導の責任者でもあるとはいえ、副主席がわざわざこんなことをするんですね。よほどの国家的英雄であり、またよほどの批判に晒されたんだろうなと推察できますね。
■<北京五輪・関連>KY観客の大声援に「マナーを守って」―女子テニス(中国情報局)
2008年8月17日、人民日報(電子版)は、16日の女子テニスシングルスの試合で、味方の声援で集中力を乱された中国人選手が、大事な1球を逃して観客席に怒りの雄叫びを上げた一件を例に挙げ、中国人観客の観戦マナーに注意を促す記事を掲載した。
女子テニスシングルスの準決勝が行われた16日、ロシアの強豪、ディナラ・サフィナ選手と対戦していた中国の李娜(リー・ナー)選手は、勝負を決める大事な場面で味方の声援により集中力を失い、ミスショット。その直後、味方の観客席に向って怒りの雄叫びを上げる場面が見られた。試合は結局、敗退。五輪前に配布された「観戦マナー指南」では、「テニスの試合では静かに観戦」するよう記されているが、それが全く守られない結果となった。
また、男子バレーボールの試合を見たネットユーザーが「中国は試合には勝ったが、観戦マナーでは明らかに負けた」と嘆いた書き込みと共に、ネット上で国内1万2078人を対象に実施したアンケート結果を紹介。「中国人観客のマナーは遅れている」と回答した人が62.34%にも達したと指摘した。
「中国人観客のマナーは遅れている」と回答した人のほとんどは、「自分は遅れてない」と思ってるんでしょうね(^_^;。李娜選手の観客への「抗議」はその後、中国のネット掲示板で論争を巻き起こしたようです(
スポニチ8/19)。
実は李娜選手だけでなく、体操でも中国人選手が「シー」と口を手に当てて観客に合図し、次に演技する外国人選手に配慮するよう促すという場面があったそうです。そして、中国メディアのある論評では、
外国人の審判がだだひとつ覚えた中国語は「安静!(静かに)」だった、と述べられたということです(
産経8/23【奧運(オリンピック).com】(54))。
■五輪妨害テロ、亡命ウイグル人の思いは(TBS)
オリンピックの妨害を狙ったテロが、中国の新疆ウイグル自治区で相次いでいます。中国から亡命したウイグル人たちは今、このテロの連鎖をどう見ているのでしょうか。ドイツからの報告です。
中国から亡命したウイグル人たちです。この日はオリンピック・サッカーのブラジル対中国戦をテレビで見ていました。
「もちろんブラジルを応援しています」(亡命ウイグル人)
「(中国は)応援しません」(亡命ウイグル人)
こちらでは、ドイツに亡命した700人のウイグル人を支援する活動を行っています。
ミュンヘンに本部がある「世界ウイグル会議」。中国でのウイグル人への弾圧は今年に入って激しさを増し、1万5千人が不当に逮捕されたと告発します。
「この傷は拷問を受けてできました」(亡命ウイグル人)
この男性はイスラム教を広めようとして逮捕され、手と足に鎖をつけられて刑務所に入れられたといいます。
「4、5時間にわたって頭を殴られて腫れ上がり、何も感じなくなりました。特殊な手錠をつけられ肉に食い込んで痛かったのです」(亡命ウイグル人)
オリンピック期間中も続くテロ。ウイグル独立勢力による犯行との見方が強まっていますが、その背景に弾圧の歴史があることを忘れないでほしいと主張します。
「日本の人に言いたいのはオリンピックを楽しむ権利はもちろんありますが、人権問題のことも少しは考えてほしいということです」(世界ウイグル会議 ドルクン・エイサー事務局長)
TBSもたまに良い報道をしますね。だけどやはり日本のテレビは競技結果や明るい話題を伝えるのがメインで、こういった中国の負の部分は二の次、三の次。五輪終了後でもいいので、どんどん伝えてほしいですね。
■北京デモ申請、五輪中1件も認めず(TBS)(魚拓)
中国・北京市は、オリンピックの期間中に77件のデモの申請が出されたものの、今までに1件も許可していないことを明らかにしました。
新華社通信によりますと、北京市の警察当局は今月1日以降、外国人3人を含む77件、149人からのデモの申請を受け付けました。
申請内容は「労働争議」、「医療トラブル」といった社会問題が大多数を占めています。
しかし、このうち74件は当事者間の協議により申請が取り下げられたとし、残る3件も手続きに不備があったり法律に違反しているとして、デモを許可していないということです。
北京市はオリンピック期間中のデモ専用場所として3つの公園を指定しましたが、こうした制度は実態を伴っていないと言えそうです。
「74件は当事者間の協議により申請が取り下げられた」?そんなの誰が信じますか。圧力かけて撤回させたんでしょうが。
■【古森義久の北京奥運考】中国の異質性(産経)
夏冬すべての五輪に必ず駆けつけてきた米国人男性マルーニさんが、今回の五輪の異質さを語っています。
グローバルな規模での詐欺サイト。入場券の偽造と超高値の闇市場売りのあまりの横行。しかも観客席はガラガラ。一般観客を含む外国人への監視と規制の激しさも想像を超えていたと。
中国へは昨年も含めて数回、仕事で訪れたことがあるマルーニさんは言います。
「中国の人たちが以前からは考えられないほど民族主義的、自国礼賛になっている。そこには排外の要素があらわです。まあ五輪期間中だけの傾向だと思いたいですが」。
うーむ、中国人は五輪で間違った自信をつけたみたいだし、民族主義、自国礼賛は残念ながらもっとひどくなるのでは?
■五輪で日中両国間に親近感と中国紙伝える(日刊スポーツ)
中国週刊紙の国際先駆導報が「日本メディアは、日本選手を応援する中国人観客のマナーが良かったと報道していると伝えた」?!ここの記者は朝日新聞しか見てないのでは。
■女子マラソンの国内向け中継、5秒遅れだった(サンスポ)
ちなみに開会式は10秒遅れの放送でした(
読売8/8)。
■中国当局が空港で聖書を「押収」と 米キリスト教団体(CNN)
「中国には宗教の自由があると聞いていたが、それならばなぜ聖書を持ち込んではいけないのか」。中国にあるのは檻の中の宗教の自由。
■北京五輪中も堂々販売の偽ブランド品、売り上げは好調(AFP)
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8月19日(火)
■“五輪おじさん”怒りの帰国 「五輪やる資格ない」(産経)
今大会で“国際五輪応援団長”引退を表明している五輪おじさんこと山田直稔(なおとし)さん(82)=会社経営=が帰国していたことが18日、分かった。17日の女子マラソンの沿道に姿がなく、寂しいなと思って記者が電話すると都内にいたのだ!! 北京に見切りを付けた要因は中国人の観戦マナーのひどさなどで「五輪をやる資格はない」と憤慨している。
−いつ帰国
「北京の状況が厳しいとわかっていたので16日に帰国便を押さえていた。状況がよければ延長しようと思ったが、実際思った通りだった」
−どういう状況
「柔道会場で空席がたくさんあるのに、多くの日本人が入れなかった。入れない人を入れてくれと訴えたが、真心が通じなかった。半世紀近くの五輪応援人生でこんなの初めてだ。満員だったら何も言わないけど」
−中国のブーイングはすごかった
「ブーイングはとんでもない。こんな五輪はなかったよ。五輪をやる資格はない。それに空気が汚くて、のどに痛みが出てきた。閉会式までいなかった五輪は初めてだ」(以下略)
当局に没収されることを覚悟で応援用の日の丸の小旗を数千本持ち込むことを明かすなど、開幕前、意気込みを語ってたんですがね(
スポーツ報知8/6)。ご高齢ですし、健康面を考えても、ま、とっとと帰ってこられて正解だったと思います。
2ちゃんねるによれば、五輪おじさん、谷亮子選手の試合を応援していたのがテレビに映っていたそうです。その際、おじさんの近くに係員らしき男が張り付いていて、時々口論している場面が見られたそうです。
ちなみに通常の五輪では、空席がある場合はわりと入れてくれるものらしいです。もちろん、チケットを持っている人が来れば退席するというのが条件だそうですが。
まぁ中国人相手に真心が通じると思うのがそもそも間違いかも。それに官製応援団がタダで一等席を占めており、本当に応援したい人には法外な値段でチケットを売りつけているそうです。特に日本人はいいカモであると(
産経8/19)。
■北京でトラック爆発、20人負傷=テロの可能性も−香港団体(時事)
【北京19日時事】中国人権民主化運動情報センター(本部・香港)は19日、北京市郊外の通州区の検問所で17日午後にトラックが爆発し、20人が負傷したと発表した。地元警察は爆発の有無についてコメントを拒んでいるという。
爆発は、公安当局による安全検査の際、突然起きた。当局者の負傷者数やトラック運転手の安否は不明。同センターは、爆弾テロの可能性を指摘している。
実は報道されていないだけで、
北京、上海、香港などで、車やバスやトラックが爆発する事件がこれまでにかなりあったようです。で、当局はそれをほとんど「火事」(整備不良による事故)と発表しているようです。この件については、現地で同種の事件を目撃した方の情報とともに
北京五輪まとめ(1)の8月17日分に詳しく書いたので、未読の方はぜひ。
■「本当は何歳?」体操女子“金”の中国選手に質問集中(読売)
この年齢詐称疑惑については、児童虐待につながるのではないかということで、欧米ではかなり大きな問題として報道されているそうです。北京五輪まとめ(1)の8月13日分から、
8/20放送「アンカー」青山繁晴さんの解説をたどって下さい。
で、この問題はこの後もずーっと尾を引くわけですが、何で日本ではほとんど報道されないんでしょうね。また、日本の人権団体はこの問題をどう捉えているのでしょう?声は全く聞こえてきませんが。
■アニマル浜口さん:中国紙が酷評「奇怪なことする」(中国情報局)
「公安がずっと目を光らせてるからこの枠(座席周辺)から出ると捕まっちゃう。このスペースから動いちゃだめだと言われてたんです」(
デイリースポーツ8/19)。ま、この人の場合、アテネ五輪でも警備の人に注意されるなどしていたそうなので、仕方ないのかも(^_^;
■北京 政府公認教会礼拝公開 信教の自由をアピール (日中経済通信)
もちろんこれも偽装。
■メダルをかんでも無害 五輪組織委が太鼓判(中国情報局)
「北京五輪のメダルの材料はすべて国家レベルの品質検査をパスしており、有害物質は含んでいない」とな?毒餃子問題で「メタミドホスはギョーザの袋の外側から内側に染みこむ」なんてずさんな実験結果を平気で発表した国に言われてもねぇ。
■<早分かり>パクリ大国・韓国?!中国で広がる「嫌韓」―韓国(中国情報局)
「2008年8月17日、北京市で辛正承駐中国韓国大使は中国各紙が報じた『韓国紙・朝鮮日報が孫文は韓国人と報道』とのニュースはデマに属するものと発言した」。五輪に関係ないけど面白かったので載せました。
■五輪開会式リハ中の事故で重傷の舞踏家、組織委副会長が「半身不随」の可能性に初言及(Web-Tab)
開会式、閉会式ともけっこう際どい演出が多かったですよね。報道されてないだけで、本番でもけが人が出てたりしませんかね?
■北京五輪の聖火トーチ、オークションで29万元(朝日>人民日報)
■中国:オリンピック、香港は冷めた反応(JANJAN)
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8月20日(水)
■デモ申請者に労働教育処分 北京市、専用区は「わな」(秋田魁新報)
【北京20日共同】北京市政府は20日までに、北京五輪期間中に北京市内にデモ専用区を設けるとしたことを受けてデモ申請をした北京市民2人に対して、1年間の労働教育を命じた。中国の人権改善を訴えている非政府組織(NGO)「チャイニーズ・ヒューマン・ライツ・ディフェンダーズ(CHRD)」が明らかにした。
香港紙などはデモを申請した人が相次ぎ拘束されたと伝え、「わな」との見方を示していた。申請者に対する処分が明らかになるのは初めてで、中国の見せ掛けの「人権アピール」に対して国際社会から批判が出そうだ。
労働教育を命じられたのは2001年から地元政府による住宅の強制立ち退きに抵抗していた呉殿元さん(79)と王秀英さん(77)。2人と呉さんの息子らは今月5日から5回デモ申請しようとしたが、このうち4回は当局が「申請用紙がない」などとして、申請することすら“拒否”。
さらに北京市当局は「秩序をかく乱した」として労働教育処分の決定を下し、この決定を理由に5回目の申請を拒否した。
労働教育処分!?しかもお年寄りを!?((;゚Д゚)ガクガクブルブル
この件について8月24日、IOCのロゲ会長は、
「北京五輪組織委員会とも話したが、中国の法律を適用したものだという回答だった。IOCとしては中国の法を尊重するしかない」と語っています(
時事8/24)。しかも1件もデモが認められなかったことについても、ロゲ会長は「普通ではない」と述べただけ。こんなんでいいんでしょうか?
■【奥運(オリンピック).com】(50)芸術家の良心(産経)
少女の歌声の「口パク事件」や花火のコンピューターグラフィックス(CG)など「過剰演出」が欧米から批判されている北京五輪開幕式は、中国ネットユーザーの評判も至極悪い。「芸術の核心は“真善美”だが、その真の部分を欠いてなにが芸術だ。張芸謀の審美眼に強烈に疑問を呈す」と、矛先が総合演出の張芸謀監督に向くものも少なくない。
しかし、こういった過剰演出を指示したのは某政治局常務委員で、演出スタッフが「国家利益」を理由に口をはさむ党に相当悩まされた、ということは、すでに漏れ伝えられている。
「口パク事件」を最初に暴露したのは、北京人民ラジオの取材を受けた開幕式音響監督の陳其鋼氏で、彼がこの秘密を漏らしたのは芸術家の良心からだ、と言われている。最近の「南方週末」紙でも“歴史絵巻演出”を担当した陳丹青氏が党から演出の変更を命じられたことを暴露した。
中国共産党は過去も今も常に芸術を利用してきた。国を代表する巨匠が党の広告塔の役割を担わされるのは当然で五輪開幕式が政治ショーとなるのも致し方ない。しかし、そういう政治の制約のなかで、芸術家も自らの良心を守ろうとするものではないか。(以下略)
中国人民も、中共が一切介入していない、張芸謀監督の本来の演出を見てみたかったでしょうに。
■日刊スポーツ>河崎三行コラム>この国を永遠に去る前に見ておきたいもの
(前略) 予測を超えた、腹に据えかねることが2点ほどあったのでここに記しておきたい。
不快に思ったことの第一は、スタンドの数少ない日本人がなでしこジャパンに声援を送ると、周囲の中国人からブーイングの声が上がったことだ。
中国をけなしているのではなく、自国に声援を送る日本人にさえブーイングをして当然という彼らの精神構造がわからない。しかも物心のついていない子供までが面白がって一緒にやっている。横にいる親も「みっともない真似はやめろ」と止めるわけでなく、へらへら笑って我が子のやることをながめている。北京五輪のスローガン『同一個世界 同一個夢想』が聞いて呆れる。03年男子アジアカップ中国大会の日本の出場試合や、昨年の女子W杯日本−ドイツ戦での中国人観衆の礼を欠いた態度に国内外から批判が集まり、北京五輪では節度ある応援が呼びかけられていたのではないのか。
少し中国で過ごしてみると実感するが、彼らは基本的に「俺が俺が」の国民性だ。「自分がこんなことしたら、他人の迷惑にならないだろうか」という思慮や客観性がまるで欠如している。自分さえ、自分の家族さえ、自分の仲間さえよければ他はどうなってもいい。それが同心円的に広がって中華人民共和国という国家にまでは達しても、決してそれ以上の円にはならない。外の世界への敬意を失った愛国者は単なる国粋主義者という。しかし中国の教育は多角的な視点を持つことの重要性を教えていない(それどころかあえて避けている。一党独裁制の堅持のためだ)から、そんなことに気付けるはずもない。ブーイングをしている当人達は愛国心の発露のつもりなのだろうが、結局は中国という国の民度の低さを示していることがわからないのだ。
しかしそれにもまして信じられなかったのが、公式大会ボランティアが取った行動である。
後半途中、アメリカが少々日本に押されている時間帯のことだった。突然一人の若い女性ボランティアがスタンドの通路最前列にピッチを背にして立ち、チアスティックを持って周囲の観客の応援を先導し始めたのである。なんと言ったか。
「美国加油!(アメリカ、頑張れ!)」
耳を疑った。お先走りの観客ではない。見慣れた青いポロシャツを着た、公式の大会ボランティアなのである。全世界から来る観客の便宜を図るために配置されたスタッフの一員なのだ。
よく見ていると応援を先導している女の子から少し離れたところで、彼女に身振り手振りで指示を送っている男性がいる。彼も学生と思しき若さだったが、頭にヘッドセットをつけてどこかと『交信をしながら』女の子をコントロールしているのである。そしてひと通り場を盛り上げると、このペアは隣のブロックに移動してまた「美国加油!」をやる。
(中略) 件のペアを遠隔操作していたのが運営側=北京オリンピック組織委員会=中国政府であることは疑う余地がない。国ぐるみで、日本が好成績を挙げることの邪魔をしたいらしい。子供達への反日教育や日本に関するメディア報道のコントロールにも通じる、国策の一環というわけだ。だったら始めから、北京五輪への日本選手団の参加自体を拒絶すればよかったのだ。
こんなもの平和の祭典でも友好の掛け橋でもなんでもない。オリンピックのガラクタである。(以下略)
8月18日に行われた女子サッカー準決勝の日本vs米国でのレポです。あまりに長いので引用はかなり省略しましたが、それでもまだ長いですね。ぜひ全文読んで下さい。正論の連続です。
■日経ビジネスオンライン>遠藤誉>開幕式の「まやかし」が傷つけたもの/ネットに溢れる中国国民の怒り
(前略) 日本のメディアでは、中国では「こんなのはよくあることだ」と言っていると報道されがちだ。だが、匿名性の高いネットでは事情が異なる。本コラムの<教師の告白があぶり出した中国社会の「危機意識」>でも触れたが、「マイクを向けられたら本当のことは言わない」という処世術は、中国庶民の骨の髄まで染み付いており、政府にとって耳触りのよい答えしか戻ってこない。庶民の真情をキャッチするには、庶民の中に溶け込んで感じ取るか、ネット言論にアクセスするしかないのである。マイクを向けられた時に抑制し粉飾する分だけ、ネット言論は激しさを加速させている。
これに対して中国政府が取った態度は、政府を非難した多くのサイトの記事とネットユーザーたちの書き込みを、次々と削除し封鎖することであった。
少なからぬ記事が一瞬で消え、中には明確に「皆さんの討議は削除されました」と明示することによって「抵抗」を示しているサイトもある。また検索した項目の中にはタイトルがあるのに、そこをクリックすると、「この頁は法律法規あるいは政策に不適切であるため示すことはできません」という文字があらわれ、5秒ほど経つと他のページに飛ぶように設定されているものもある。これらは削除された痕跡を残している「証拠」と考えていいだろう。
8月12日付の「洛杉磯(ロサンゼルス)時報」の記事が、多くのサイトに転載されている。それによると「中宣部(中共中央宣伝部)は本日から関与を開始し、多くのネット上の討議書き込みを削除し、林妙可の対口型(口パク)唱歌を示す画像を開けないようにアクセスを封鎖した」とのことだ。 (以下略)
口パク少女問題でネットユーザーvs中共。続きを読むには会員登録(無料)が必要です。
■中国の金メダル大量獲得は「挙国体制」の産物 大学教授が分析(産経)
■米国務長官訪中中止、北京五輪閉会式欠席(日刊スポーツ)
■五輪テロ容疑で35人拘束か 中国当局、パキスタン人を(USFL.COM)
■「禁煙五輪」じゃなかったの?(共同通信記者ブログ)
■「自由チベット」訴え拘束 北京で米芸術家ら6人(共同)
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8月21日(木)
■「中国軍発砲で140人死亡説も」=ダライ・ラマ、真の自治要求−仏紙(時事)
【パリ21日時事】仏紙ルモンドが21日伝えたところによると、フランス訪問中のチベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世は同紙のインタビューに応じ、北京五輪開催中にもかかわらず「中国軍がチベット東部のカム地方(チベット自治区、青海省、四川省、雲南省にまたがる地域)で18日、群衆に発砲した」と述べ、140人が死亡した可能性があると語った。
同紙によると、ダライ・ラマは「中国軍がまた群衆を撃った。死者数は確認する必要がある」と指摘。3月の暴動以来「(自治区中央の)ラサ地方だけで400人が殺された。全体ではもっと多い。拘束された人も1万人に上る」と語った。
7月に行われた中国との公式協議については、「胡錦濤国家主席は真剣な対話を約束したが、何も進展がなかった」と失望感を表明。「中国式のごまかしの自治」でなく、「真の自治」を求めて非暴力運動を続けると強調した。
五輪期間中にホスト国が自国民を虐殺!?これが事実ならば五輪史上最悪の事態ですよ。
ただ22日になってルモンド紙は、死者数のくだりについては訂正文を出したそうです。ダライ・ラマ自らが「140人死亡した可能性がある」と述べたのではなくて、記者による「140人が死亡したと聞いている」との質問に対し「数字は確認が必要だ」と答えただけであると(
日経8/22)。
続報がなかなか出てきませんが、まさか嘘ってことはないと思います。ダライ・ラマがこんな嘘をついても、チベット人のためにも誰のためにもなりませんから。
■雨がしょっぱい!=女子20キロ競歩〔五輪・陸上〕(時事)
激しい雨の中で行われた女子20キロ競歩。26位で終えた小西は「実は、雨がしょっぱくて汗を濃縮したような感じだった。目に入って痛かった。苦しかった。頭皮がどうなることか心配」と顔をしかめた。
中国には、雨雲にヨウ化銀のミサイル弾を撃ち込んで人工的に雨を降らせる作戦がある。事前に雨を降らせて雲を消し、後に「晴れ」を手に入れるという。男子マラソンと閉会式が控える24日のための作戦があったとしたら、小西らは割を食った。ヨウ化銀が人体に悪影響を及ぼすとの指摘もあり、屋外競技の選手らが心配になる。
ゴールシーンをニュースでたまたま見たんですが、ほんと土砂降りでしたよね。大気汚染ばかりに目を奪われがちですが、当然、雨も危険なわけで(T^T)
■「金メダル至上主義」に戒めも=イメージ悪化を懸念−中国(時事)
【北京21日時事】北京五輪で金メダルラッシュに沸く中国で、共産党機関紙・人民日報が21日、「重要なのは五輪を通じて全国民の健康な体づくりを促進することだ」と主張する論評を掲載するなど、「金メダル至上主義」を戒めるべきだとの論調が強まっている。
中国の金メダル獲得数は20日の競技終了時点で45個と、2位の米国(26個)を大きく引き離し独走中。中国では金メダルの数を国力の象徴と見なす風潮が強いが、21日付の中国青年報も「五輪は国力勝負の場ではない」と呼び掛けた。
胡錦濤指導部には、中国が五輪で金メダルばかりを追求しているとのイメージが国際社会で定着することへの懸念がある。国民的英雄の劉翔選手が陸上男子110メートル障害を故障のため棄権した直後、習近平国家副主席が「みんなが理解している」と励ましのメッセージを送ったのも、「金メダル第一」との見方を打ち消す狙いからだ。(以下略)
そもそも「国家の威信にかけて金メダリストを量産せよ!」って煽ったのは中共でしょ。何?このマッチポンプ。
ジャーナリストの林思雲という人が2004年8月に書いた論文によれば、「
中国はひとつの金メダルを獲得するのに、およそ7億元(約105億円)費やしている。これを小学校の建設費用にまわせば、なんと3500校分にもなる」のだそうです(
HEAVENさん8/18付参照)。勿体ない。
■中国「挙国体制」の優位性強調(スポーツ報知)
北京五輪組織委員会の魏紀中顧問(元中国オリンピック委員会副会長)は21日の記者会見で、中国が金メダルを40個以上獲得、メダル争いで独走状態になったことについて「予想外だったかもしれないが、挙国体制と呼んでもいいわれわれのやり方が、有効であることを一定程度証明している」と述べ、政府が巨額の資金をつぎ込んで選手の強化育成を行う現行システムの優位性を強調した。(以下略)
おろ?上の記事にある人民日報(共産党機関紙)や中国青年報(胡錦濤国家主席の出身母体である中国共産主義青年団の機関紙)の論評と矛盾してませんか?指導部も混乱してるんですかね。
■nikkei BPnet>財部誠一の「ビジネス立体思考」>五輪を見ながら考える、中国との付き合い方
(前略) 上海在住の友人からメールが届いた。もう20年以上、中国でビジネスを続けてきた彼は、中国人気質を知悉しているうえに、温厚な人柄である。日本に対する中国人の無礼に対しても鷹揚に対処してきた。だが「今回ばかりは堪忍袋の緒が切れた」と書き送ってきた。
女子バドミントンの3位決定戦で日本の末綱・前田ペアが中国チームと対戦した夜、上海在住の多くの日本人がひいきにしている日本料理や「伊藤家」に立ち寄った時のことだ。準々決勝で世界ランキング第1位の中国人ペアを破って大金星をあげた末綱・前田ペアに対して、伊藤家の服務員(ウェイトレス)たちが悪口雑言の限りをつくしていたという。(以下略)
「以下略」っていうか、登録しないと先が読めないみたいです(T^T)→ブラウザ変えたら読めました。すみません(^^ゞ
■【伊藤正の北京奥運考】「期間限定」の文明大国(産経)
(前略) 少なくとも五輪期間中に北京を訪れた外国人の多くは、中国が近代的な「文明大国」との印象を持ったに違いない。そうした印象を与えるべく、中国は努力してきたのであり、中国のメディアがそれを誇るのも不当ではない。
しかし、つい数カ月前までは、そうではなかった。街にはちりが舞い、物ごいや売春婦の姿があったし、公共バスの停留所では人々は我先に乗車口に殺到していた。交通渋滞が常態化し、大気汚染で息が詰まる日も少なくなかった。
五輪前に街は「清掃」された。農村からの出稼ぎ労働者の大半は帰郷し、物ごいたちはむろん、路上の物売りやストリートミュージシャンも消えた。周辺地区を含めほとんどの工場が操業を停止し、開会式の3週間近く前にはマイカー規制が始まった。
外国の訪問者たちが見ているのは「期間限定」の美しい北京にすぎない。それを演出し組織できるだけの統制力を中国共産党は内外に示し、政権の威信を高めるのに成功した。断トツの金獲得とあわせ、「中華帝国」の復活と懸念する反体制派の声はか細い。
作家の曾野綾子さんが、産経8/22付「小さな親切、大きなお世話」というコラムの中でこう書いています。
【(オリンピックの)運営のあちこちで公式偽装を企てた中国は、
急にその日だけ客間を豪華に飾ったのだが、裏の方には壊れたりはげたりした家具が隠してある家のような印象を与えたのである。こういう姿勢では、今後も中国製品はどれだけ怪しい内容で作られるかわからない。それを中国政府は国家的弾圧で隠すだろう、と印象づけた。つまり、
そのような偽装を国家がコーソライズ(公認)することもあるのだ、と今回のオリンピックは証明してしまった】