「アンカー」エジプト緊張 ムバラク政権崩壊で世界地図が変わる!?
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※【一覧】「アンカー」青山さんコーナーテキスト起こし
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■2/2放送「アンカー」青山繁晴の“ニュースDEズバリ”
エジプト百万人デモで情勢緊張ムバラク政権崩壊なら日本にも大きな影響…今後の動き青山ズバリ
エジプト情勢が緊迫しています。今後の展開によっては中東の国境の引き直しや、世界史の大きな転換にもつながりかねないというお話です。
コーナー前に、今日のテーマであるエジプトのデモについてのニュース報道&青山さんの解説がありましたので、まずこの部分を要旨のみ記述、続けてコーナー本編は完全起こしでお送りいたします。
本編は間投詞(「あの」「その」など)や言い直しもできるだけ再現しました。但し、細かい相づちなどは支障のない範囲でカットしています。
今週も動画が見つからなかったので、デジカメでテレビ画面を撮影しました。画像が粗いですがご容赦下さい。
内容紹介ここから____________________________
…………青山さんの解説(あくまで要旨)…………
( )内は山本浩之キャスターの発言です
■エジプト反政府デモ 市民らは大統領辞任までデモを続けるとして、今後も予断許さず(FNN2/2)
■エジプト反政府デモ ムバラク大統領、9月に予定の大統領選に出馬しないことを明言(FNN2/2)
(アメリカの後ろ盾を失ったムバラク大統領が、今年9月の次期大統領選に出馬しないと明言しただけでは、混乱は収まる気配はないですね)
そうです。9月の大統領選挙には6戦目になるんですが、出ないと言ったのは、不出馬宣言とか退陣表明じゃなくて、逆にあと半年以上やらせてくれということなので、もつわけない。やっぱり独裁者の末路ってこういうものかな、未だに自分の状況が見えてないんだな、と感じますね。
実は中東はほとんどの国が独裁者。このまま中東に独裁を倒せというのが広がっていくと、今世紀最大の世界の危機につながる可能性が十分あります。その時に私たち日本がよく考えておかないといけないのは、突然のようにオイルショックがまた起きる。つまりサウジアラビアとか大きな産油国がこれに巻き込まれていくと、昨日まで無事に来てた油が突然来ないってこともあり得るし、灯油の値段が突然上がるってことも、備えとしては頭の中に置かなきゃいけないと思います。だから、とてもじゃないけど他人事じゃないですね。
(見通しはどうでしょう?退陣は早いと見るべきでしょうか?)
早ければ一両日だと思います。デモ隊の側は2月4日までに退陣しないと大統領官邸に押しかけると言ってて、軍がデモの側に実質的についてますから、もう警察もカイロにいなくなってますから防げるわけがないので、早ければ一両日のうちにすぐ辞めるということになるんですが、その後がいないんですよ。
(ムバラク後、ということですよね)
それをすぐに新しい体制にする人も組織もない。普通は軍が主導権を持って軍の臨時政府ということになるんでしょうが、その仕掛けを今、裏でアメリカ、イスラエルが絡んでやってるというのが現実の姿ですね。
…………以下、“ニュースDEズバリ”全文起こし…………
山本浩之
「ま、そこで、この大変大きな影響を及ぼすエジプト情勢について、今日の青山さんの“ニュースDEズバリ”のコーナーでも、この問題を取り上げていただきます」
青山繁晴
「はい。で、皆さんご存知のとおり、今回そのエジプトから始まったんじゃなくて、あの、同じアフリカ大陸のイスラム国のチュニジアから、この独裁が倒れるっていうのが始まってるんですけれども、ま、これ広く言うと、アラビア全体のことですね。で、そうするとあの、僕はもう、真っ先にこの人のことが頭に浮かびます」
青山繁晴
「えー、T・E・ローレンス、トーマス・エドワード・ローレンス。で、これはあの、皆さんご存知の、ここに書いてありますけど、映画『アラビアのロレンス』のモデルっていうことなんですね。あの、ローレンスはもちろん、あの、実在の人物で、今、音楽流れてきましたが、この音楽聴くと僕はちょっとこうあの、座ってられないんですよ(笑)。すいません、こういうの始まって以来ですが、つまり、こういう(立ち上がってポーズ取る)」
山本浩之
「ああー、ねえ。お馴染みの」
青山繁晴
「あの、アラブの砂漠行くとですね、あの、もうすごい雄大な夕日とか、沈んでいくし、朝日が昇ってくる。その時にこうあの、ローレンスも実際にこうやって手を広げたわけですね。で、彼はそうやってそのアラブに馴染んでいったんですが、この映画音楽はもうそれをよく表しててですね。あの、このローレンスっていう人は、実は第一次世界大戦、始まると同時に、イギリス軍の情報将校として、アラブの解放のために、当時オスマントルコっていうその独裁国家がアラブを支配してて、虐げられたアラブ人のために、アラブの反乱てのを率いてですね、だから、イギリス軍の将校ですが、この、アラブの服を着て、ラクダに乗ってですね、さっきあの、僕も手広げちゃいましたが、この服を着た時に嬉しくて、こうあの、砂漠に向かってこう祈りを捧げたっていうね」
山本浩之
「それぐらいこの映画を観た時は、青山さん、ま、おいくつだったか知りませんけど、影響を受けたということですね」
青山繁晴
「ええ。すごく影響を受けました。これ実はうちの家庭教育の一環で、あの、父母に連れられてこの映画を観まして、その時から、あの、英語も好きになったし、中東に関心を持って、今あの、中東との関わりはこのローレンスから実は始まってるわけなんですね。だけどそのローレンスっていうのは最後、非常に苦しんで、あの、わずか46で亡くなったんですが、直接は事故死ですけども、なぜ苦しんだかというと、アラブのために戦うと言いながら、本当はイギリスの将校ですから、その、アラブを解放して実はイギリスの植民地にしてしまったわけですよ。で、そのあと独立はしたんですが、実はイギリスやアメリカのご都合のよい国境線を引いて、それが今のアラブになってるんで、その、第一次世界大戦から始まったその長い長い、その仕組みが、あるいは嘘が、今壊れようとしてるのは…」
山本浩之
「考えてみたらね、アフリカのその国土、領土って、おかしな、直線になってますもんね」
青山繁晴
「ええ。あの、アフリカの特に北半分、それから中東にかけて、あの、戦争になったクウェートのあたりも、おっしゃったとおり、定規で引いた線になってて、これ本当に定規で引いたんですよ。国境線を勝手に引いたわけですね。だから単にエジプト、チュニジアの問題じゃなくて、実はキーワードとしてはこれなんです」
山本浩之
「『百年の嘘への反乱』」
青山繁晴
「はい。今あの、ローレンスについて、第一次世界大戦からって言いましたけどね、第一次世界大戦、1914年ですから、実はその、そもそも百年ぐらいになるわけですね。百年間ずっと、アメリカ、イギリスがアラブについて嘘をついてきて、アラブの独裁者はそれに乗っかって、支配してきたわけですが、それがとうとう壊れると。だからほんとに世界史の大きな動きが今ぐるっと動いてるっていうことなんですね。えー、今日はそのことの持つ意味と、その、私たち日本との関わりを、ひとつひとつ見ていきたいと思います」
山本浩之
「では、コマーシャルをはさんで青山さんの解説です」
(いったんCM)
山本浩之
「長期独裁政権に支配されてきたアラブ諸国での反政府運動が活発になってきております。えー、特に大国・エジプトでのこの動きは激しく、目が離せません。混乱の根底には何があるのか。今後の展開も含めてさっそくお願いします」
青山繁晴
「はい。あの、アラブ世界の中でもエジプトは、私たち日本人に一番馴染みが深いんじゃないかと思いますね」
一同
「そうですね」
青山繁晴
「あの、皆さんご存知のピラミッド、それからこのすぐ近くにスフィンクスもいますし、それからスエズ運河、そしてナイル川についてもとても馴染みが深い所ですね。ただその、エジプトって、その、アラブ諸国の中では、石油が少ない。したがって、むしろこの観光とスエズ運河の通行料で、国がもってる所なんですね。そのかわりその、政治力をすごく発揮してきたっていう国なんですが、あの、ここに今、ペケ印を国民から出されてしまってる、このムバラク大統領、これはそもそもどういう人なのか。えー、日本時間で今朝未明ですか、その、あと8カ月やらしてくれと、いう、無茶な話をしたこの人はどういう人なのかを、まずちょっと見ようと思います」
村西利恵
「ムバラク大統領、ですね」
青山繁晴
「はい。で、この人は今は背広を着てますけれども、もともとは軍人なんですよね。で、エジプトを含めアラブ諸国っていうのは、戦争でイスラエルにずっと負けてるわけですけど、この人が爆撃した時は、少しイスラエルに仕返しができたってことで、まあ、あの、英雄になった人なんですが、この人が独裁政権を作るまでには、ま、こういう歩みがありました」
村西利恵
「1975年に当時のサダト政権の副大統領に就任しました。その後、サダト氏が暗殺されてからは、1981年に大統領に就任、現在に渡って長期独裁政権を維持してきました」
青山繁晴
「はい。あの、エジプトっていうと、もともとはこの、ナーセル大統領があまりにも有名で、映画『アラビアのロレンス』にも、若き青年将校だった彼が出てきて、ま、彼が中心になってクーデターを起こして、大統領としては二代目ですけれども、スエズ運河を自分、あの、エジプトのものにしてですね、基礎を作った。で、そのあとサーダート大統領が引き継いだんですが、この人はイスラム原理主義に暗殺されて、で、その腹心だったムバラク大統領が、81年から大統領になったんですけど、ポイントは、アメリカがずっとその、お金をもう、バレバレで支援してると。で、それだけじゃなくて実は軍事的支援もしてて、で、それだけじゃなくて、実はこのムバラク大統領は1979年にですね、イスラエルを認めて、和平をしたんですね。イスラエルっていうのはまあ、その中東の地にあとからギュッとやって来て、アラブ人をあの、海に突き落としたりして、はっきり言うと、国をつくったんですけど、これ、エジプトは認めてしまったので、他の国々もだんだんイスラエルっていうものを認める国が増えていったと。だからアメリカにとってはこれほど頼もしい相手はいないから、ずっと支援をしてきたわけですね。で、ところが、そこにその、アメリカの大きな嘘があって、それはこれです」
村西利恵
「中東を支配するアメリカの嘘。それは、『自由と民主主義』を掲げているのに、『独裁政権を支援』しているということ」
青山繁晴
「そうです。あの、アメリカって世界に自由と民主主義を広げるんだと。だからアメリカ軍をずっと、これ歴代大統領ですが、もうずっと戦争をしてるわけですよね。オバマさんだって今アフガンで戦争してるわけですからね。えー、それは、自由と民主主義を世界に広めるためって言いながら、その中東では、独裁政権をずっと支援してきたんですよ。つまり、その方が、独裁政権の方が、油と天然ガスをご都合よく、買ったり売ったりできるからっていうのが背景にあって、要するに、嘘っていうか二枚舌っていうか、ま、使い分けてるっていうことなんですよね。逆に言うと、その、中東の人々は、油や天然ガスがあるために、自由と民主主義の恩恵を受けられないってことになるわけです。で、実際あの、エジプトがどういう所かと言いますとね、あの、僕自身エジプトに入って、僕はあの、どこの国行っても、必ずスラム街や、あるいは大学とかですね、あるいは農場とかを本来の仕事以外に見に行くんです。本来の仕事ですと、あの、軍とか、あるいはその国の政府とは必ず行きますけれども、それ以外に、たとえばスラム街に行くようにしてるんですが、このエジプトの首都カイロのスラム街ほど、ひどいスラム街は、僕見たことないです。もう胸が潰れました。あの、時計とか外して行くんですね。これあの、奪われちゃうから。それからボロボロの格好をして行ったんですけれども、ここで生涯をその、終える人たちがいっぱいいるっていうのは、やっぱりとてもショックで、そのスラム街の中に、あの私たちの知ってるナイル川がやっぱり流れてるんですけど、そのナイルは真っ黒に汚れていて」
山本浩之
「ああー」
青山繁晴
「水も、その、ドロドロの、いわばこう、あの、ひょっとしたら、あの、○○あるんじゃないかってぐらいの水になっててですね、そこで、その水しかないわけですよね。それから例えば泊まったホテルのすぐ近くに、あの、スフィンクスやピラミッドがあるんですが、近いから歩いて行きますでしょ、すると交差点のとこなんかに、その、人間が、こう、転がってるわけですよ。僕は一番最初に行った時はそれ遺体かと思ったんですが、そうじゃなくて、仕事もなく、食べる物もない人がそうやって転がってる。あの、一緒に行ってた日本の外交官が、もう彼ら仕事しないからって言ったんで、僕はその時実は激怒しまして、仕事をしないとは誰が決めたんだと、仕事がないんじゃないかと、いう話をしたんですが、それが実はあの、私たちの、観光だけではわからないエジプトの現実なんですね。だから今、カイロを中心にエジプトで反乱が起きるっていうのは、僕なりによくわかる、ことではあるんですね。で、その上でムバラク大統領は、実はその、自分が8カ月やりたいために、何をしたかというと、これをしました」
村西利恵
「現地時間の1月29日、スレイマン情報長官を副大統領に起用しました」
青山繁晴
「はい。このスレイマンさんっていう人は、実はその、情報の世界では有名な人で、やっぱり人間って顔に表れるもんだと思うんですが(笑)、一言で言うと、ちょっと怪しいですよね。あの、今、絵も映ってますが。それは青山の勝手な見方だと思われる人もいるでしょうが、このスレイマンさんは、はっきり言うとエジプトの秘密警察の親玉ですね。20年間ずっとその、情報長官ていう、まあその、表向きもそういう仕事だけども、はっきり言うと、その、気に入らないイスラム過激派も含めて、あるいは民主主義者も含めて、どんどん処分してきたんじゃないかと。つまり暗殺も含めてあったんじゃないかと言われるぐらいの存在なんですね。で、ムバラク大統領は本来は次男坊を次の大統領にしたかった。それはもう今回であきらめました。あきらめたかわりに、次男坊じゃなくて、スレイマン情報長官を副大統領にするってことは、自分が、9月に出なかったら、そのあとはこれだっていうことを示したんですよ。そこまでは報道でも、一般的になされてますが、実はその真意っていうのは日本のメディアで報じられてないけれども、その真意はこれです」
村西利恵
「秘密を知る男の起用は、アメリカへの脅し」
青山繁晴
「はい。このスレイマンさんっていうのは、たとえばCIAの長官だったテネットさんとすごい仲良かったり、もうとにかくCIAと表裏(おもてうら)一体、それからイスラエルの諜報機関のシャバックとかモサッドとも表裏一体で、つまり中東の裏を全部知ってるわけですよね。それを大統領にするぞと。アメリカ、嫌だろうと。ね。それだったらこの、俺を支援してくれっていう、ムバラクさんの最後の脅しだったわけですよ。脅しと同時に、哀願でもあるわけですね」
一同
「ああー」
青山繁晴
「もう、ね、アメリカお願いだよと、ね。そんなややこしいことをしないで私を守ってよってことだったんですよ。ところが、これは読み間違いで、オバマ大統領はこう出ました」
村西利恵
「アメリカの判断は、『秩序ある政権移行が、有意義かつ平和的に即時に実行されるべき』というものでした」
青山繁晴
「あの、残念ながら日本の政治に比べて、アメリカの政治判断ていつも早いですけど、今回は特に早かったですね。これあの、オバマさんのその演説中の言葉なんですけどね、あの、ごく普通に見えるじゃないですか。秩序ある、政権移行が、みんなにとって意味があるように、かつ平和的に、暴力じゃなくて革命じゃなくて、っていうところまで普通なんですよ。その、ポイントは、即時に実行されるべきだ、っていうね、この言い方なんですよ。これあの、英語でも、その、meantful、peacefulって言ったそのあとに、andと言って、It must begin now.って言ったわけですよ。今やれと。だから、要するに、お前、今やめろって言ったんです。もうこれで、ムバラクさんはほんとはアウトで、それどうしてかというと、脅されたからですよ。アメリカは、脅されると、もう皆さんカウボーイに戻るんですよ。脅された瞬間に」
山本浩之
「わかりやすいですね(笑)」
青山繁晴
「ええ。だから水面下でつきあってきたわりに、実はアメリカのことがわかってなかった。で、もうこの失敗は決定的なんですよ。じゃあアメリカが今、優位に立って物事を進めてるかというと、実はアメリカの現場の人に聞くと、実態はこうなんです」
村西利恵
「あ、こちらは今出ましたね、『即、辞めろ』という意味だということでした」
青山繁晴
「はい。次を出していただけますか」
村西利恵
「で、アメリカの本音はと、いうところなんですが、国務省の幹部によると、『打つ手がない。本当は、エジプトに選挙をさせたくない』」
青山繁晴
「はい。これも、アメリカの二枚舌っていうか、その、嘘がこうばれるところなんですが、自由と民主主義を世界に広めるってことは、民主的な選挙をやれってことをアメリカはずっと言ってきたわけですね。あの、イラクに攻め入って、イラクに侵略をして、そしてサダム・フセイン政権を倒してそのあと、その選挙をやるってことを曲がりなりにもずっとやってきたわけですよね。ところが、このエジプトでは選挙をさせたくないと。ね。ということはアメリカが今まで言ってきたことはやれないってことなんですが、それはどうしてかというと、理由はこれです」
村西利恵
「その理由は、イスラム原理主義の国家になる可能性があるから」
青山繁晴
「はい。で、これはまずあの、他のとこ見ないで、ここだけ見ていただくとですね、あの、要は、今のアラブ界で選挙をやると、イスラム原理主義の勢力が勝っちゃうんですよね」
一同
「ああー」
青山繁晴
「普通に立候補できれば。で、特にエジプトの場合は、ムスリム同胞団っていうのがもう昔から長い歴史持ってまして。ムスリムってのはイスラム教徒のことです。で、同胞、はらからって何を言ってるかというと、エジプト国民だけじゃなくて、イスラム教徒は、国境を超えてみんな仲間じゃないかと。だから助け合おうということで、実は僕がさっき言いましたスラム街や、あるいはその、道端で苦しんでいる人々に、唯一手を差し延べてきたのが、実はムスリム同胞団だったりするわけですよ。あの、ほめてるわけじゃないですよ。彼らの戦術ですけれども、薬を与え、食べ物を与え、水を与えてくれる、場合によっては若い人だったら仕事まで持ってきてくれるっていうのは、このムスリム同胞団しかいないんですよね。で、したがって、たとえばエジプトと国境接してる国のひとつがイスラエルですね。で、イスラエルのパレスチナ自治区、あとで地図出ますけどね、あとでまた皆さん一緒に見ましょうね、そこにガザって地区があるんですが、そのガザでアメリカが選挙をやってみたら、そのイスラム原理主義のハマースというところがすごく勝ってしまったんですよ。このハマースっていうのは実はムスリム同胞団の中の、軍事組織なんです。つまり一体なんですね。だからハマースも、テロリストテロリストって言われてるけど、ガザで仕事を失って、食料も水も薬もない人々に、それを与えてきたのは、このハマースだから、だから要するにパレスチナと同じことが起きちゃうから、エジプトでその、選挙をやりたくないと。選挙をやってイスラム原理主義になったら、もうアメリカにとってはその、油が、あるいは天然ガスがイスラム原理主義の手に握られていくとなるから、これだけはどうしても止めなきゃいけない。その時に、このエルバラダイさんて人が自分で手を挙げたわけですね。IAEAってのは、国際原子力機関ですね。で、僕は核セキュリティが本業のひとつですから、このエルバラダイさんて人を僕なりによく知ってますが、正直言って信用してません(笑)」
村西利恵
「あ、そうなんですか」
青山繁晴
「ええ。この人あの、ノーベル平和賞をとって、あの、非常に有名な方です。それからアメリカに時々文句を言って、いかにもその、何て言うかな、存在感を発揮するのはうまいけれども、しかし手を汚さない人、きれいなことだけやる人って評価はもう固まってて、特にエジプトではですね、その、エジプトの地に住まないで、きれいなジュネーブを中心としてヨーロッパでずっと暮らしてきた人で、突然混乱したから私を大統領にしてくれって言っても、なかなかアメリカとしては、このエルバラダイさんでもつのかなあと思うと。したがって、その、打つ手がなくて、そのアメリカも今、苦しんでる現状にあるわけですね。で、苦しんでる現状にあるってことは、その、今言いましたイスラム原理主義が次第次第に、その力を持ってくるということであって、このエジプトのムスリム同胞団も、あわてないで非常に状況を見てる気配があって、したがって、世界は、今後も厳しいことになっていくと思うんですが、その挙げ句、一番起こりそうな巨大な出来事っていうのは、これです」
村西利恵
「ここでズバリキーワードは『国境の引き直し』。アラブ民主化の波は今後どう展開していくのか、CMのあと詳しく話していただきます」
(いったんCM)
山本浩之
「今後、アラブ諸国の民主化が進むと、国境線の引き直しっていうことはつまり、世界地図が変わるということなんでしょうか。続きをお願いしたいと思います」
青山繁晴
「ええ。まさしくヤマヒロさんの言ったとおりで、それぞれの国が民主的になるのはいいことのはずなのに、その、現在の世界地図が変わってしまう、これ逆に言うと、今の世界地図がほんとはおかしいんですよ。あの、さっきのニュースでヤマヒロさんと話したとおり、今の、特に中東の地図は、欧米諸国が勝手に作ったものですね。で、アメリカがその、そういうことも含めて恐れているのは、一番は何かというと、これです」
村西利恵
「アメリカが一番恐れているのは、巨大な『反米イスラム国家』の誕生」
青山繁晴
「はい。って言いますのは、今とりあえずですね、このエジプトが大騒ぎになってて、あの、今までの情勢どうだったかというと、このエジプトと、これ接してるのはこれイスラエルですね。さっき言いましたとおり、この、こう全部、パレスチナも含めてアラブ人の土地だったのを、イスラエルが元々は自分たちのものだったと、キリストが生まれる前の話ですけど。だからここに押しかけてきて、イスラエルって国家をつくったわけですね。つくらせたのも実はイギリスがつくらせたんですよ」
山本浩之
「ええ、そうですね」
青山繁晴
「だから、ローレンス中佐も、それにも実は責任があるとも、言えるわけですね」
山本浩之
「イギリスの二枚舌って言いますもんね」
青山繁晴
「で、しかし、それを受けてですね、その、イスラエルは、そのエジプトと1979年に仲良くなることに成功したわけですね。それがムバラク大統領なんですよ。ということはイスラエル軍は、もうこっちに気を使わなくていいわけじゃないですか、南の方。だから、その北の方に、その、軍事力を出していって、あの、ここに、名前書いてないちっちゃい国ありますけど、これレバノンですね。で、レバノンの南には、ヒズボーラっていう、ま、神の塔って意味ですけどね、神様の塔。このヒズボーラっていうのは、イランから支援を受けてるわけです。だからイランはこう、飛び地のようにここに力を持ってて、ここでイスラエルと戦争してる。イスラエルは逆に言うと、挟み撃ちにならなくてすんだわけですよ。エジプトがあの、自分たちの味方でいれば、裏でつながってなければ。ところが、その、エジプトがその、敵になるかもしれないとなったらですよ、まず、イスラエル自体がもう、こうあの、実に今はこう、うろうろし始めてるわけです。どうしたらいいのかわからない。で、その根本的な動揺がみんなに伝わるから、ちょっと(地図に)色を出してもらうと、もう、パッと動揺広まってんですが」
青山繁晴
「はい。えー、今、あの、こう飛び地で出ましたけど、もちろんその、インターネットが変化の中心になってるから飛ぶんだってことも言えるけれども、今言ったとおり、今までガシッと抑えてきたイスラエルが動揺してるって気分が伝わるから、隣のヨルダンで、つまりヨルダンて非常に安定してる国なのに、その、今のところ王様に直接非難はないけど、王様の下の首相は、もう内閣総辞職を、やめようとしたり、あるいはそれやっぱり貧しいイエメンの所に飛び火してたり、その前にチュニジアがあったりっていうふうにね、こう、動揺が広がってるわけですよ。えー、これあの、ばらばらに広がってるように見えて、さっき言いましたね、ムスリム同胞団ていうのは、ムスリム、イスラム教徒はみんな同胞、はらからじゃないかと。だからザーッと全部このへんはその、同胞だという話になるわけですね。で、イランは宗派は違うけども、同じイスラム教徒、このへんは全部同じってことになるから、そうすると、やがてこれがどんどん、その、ドミノ倒し、ドミノ倒し、ドミノを倒すみたいに広がっていったらですよ、たとえばここ、はい、ここも…」
青山繁晴
「サウジアラビアやリビアのような、特にサウジのような、その巨大な産油国、そして、サウジアラビアには、日本語で言うとメッカ、正しくはマッカ、その、イスラム教の聖地があるわけで、こういう所まで呑み込まれていくとですよ、要は、イスラム原理主義、その、イスラム教を政治に実現しようっていうのが原理主義なんですよ、原理主義っていうのは皆さんわかりにくいだろうけど、要するに、宗教と政治を切り離すっていう考え方じゃなくて、政治と宗教を一緒にしましょうと。イスラム教の政府をつくりましょうと。で、それは当然、キリスト教国であるアメリカに立ち向かうことになるから、この非常に広い範囲の、反米イスラム国家ができてしまうと、もう一回言いますが、油と天然ガスを握られると、その、アメリカだって、その原子力とか資源エネルギー、いろいろやってるけれど、まだまだ石油漬け、特に天然ガスは大事なんですから、もう身動きとれなくなるわけです。要するにアメリカ軍が、油がないってことにもなりかねないわけですよね」
山本浩之
「そうですよねー」
青山繁晴
「だからその、恐れるのも当然てことが言えるわけで、えー、これからの動きっていうのは、さっき言いましたその、灯油の値段まで含めてですね、えー、私たちの生活にも直接影響してくる。いろんなニュースの中で、実はこれが、今あの、やっぱり最大のニュースだと思います。で、その上でですね、あの、やっぱり天というのは不思議なもので、何かこう天の指図のようにこう、ガチガチと噛み合ってくるところがあってですね、実はエジプトが今、その、紛争の中心になってる、動揺の中心になってるっていうのは、実はもうひとつの、隠れた動きがあるんです。えー、その動き、ちょっとまず、第一のヒント、出して下さい」
村西利恵
「世界地図を変える『新たな動き』、1つ目のヒントは、アジアとヨーロッパをつなぐ新しい道」
青山繁晴
「アジアとヨーロッパをつなぐ、つまり貿易でも人の交流でもつなぐ新しい道が実はできてて、それがエジプトの運命が急に変わり始めたこととどう関わってるのか。はい、岡安ちゃんに解説してもらいましょう」
岡安譲
「はははは!(笑)。解説までは難しいですね。ただ新しい道っていうのは何となく、何となくですけど、頭の中に…」
青山繁晴
「どうぞ。どこですか」
岡安譲
「大陸横断鉄道のことですか?」
青山繁晴
「(突っ伏す)」
岡安譲
「あ、じゃあ…、わかった…」
山本浩之
「何?何?全然違うんですか?(笑)」
青山繁晴
「大陸横断鉄道は決して新しくないと思いますよ。昔からその、トライアルされてることで」
岡安譲
「じゃあもうひとつ候補があります。もうひとつ候補が僕の頭の中にあります」
青山繁晴
「どうぞ。はい」
岡安譲
「北極海航路」
青山繁晴
「おお、やった!そのとおり、そのとおり」
村西利恵
「正解です」
青山繁晴
「あの、これはほんとに打ち合わせなしなんです。大したもんで」
岡安譲
「また台本どおりとか言われたら嫌ですけどね(笑)」
青山繁晴
「いや、あの、台本じゃないですよ。岡安ちゃん、全然そんなの渡してないから。この番組でそういう嘘はやりませんからね。で、岡安ちゃんすごい、ヒント2を見る前にそれを言ってしまいました」
村西利恵
「いちおう見てみましょうか。ヒント2は、地球温暖化と」
青山繁晴
「そうなんです。何と、あの、これも、いろんな意味で皮肉な話ですが、その、地球温暖化とみられる影響で、北極海の氷が溶け始めて、あの、白熊は大変だけれども、今まで通れなかった北極海を、船が通ることができるようになってて、えー、完全にできるわけじゃありませんよ。航路が開かれ始めていると。それを地図で見ていただくと」
青山繁晴
「はい。これもう、あの、一目瞭然なんですが、たとえばあの、日本とその、ヨーロッパ世界を考えるとですよ、今までは、この地中海から出てですね、その、スエズ運河を通って、この、こういうふうにインド洋から、そしてマラッカ海峡を経て、まあ長いこと運んできたわけですね」
村西利恵
「こうやって見るとかなり長い距離ですね」
青山繁晴
「はい。で、それに対してその、ここは地図に出てないけど、ほんとはここで、ここは氷に閉ざされてきたわけですよね。船、通れませんでした。それが通れるとなったら、もうあっという間に短いルートができてしまうんで、えー、すでにロシアはその、砕氷船を伴った船団を出したり、あの、すでにトライアルを、試行錯誤を始めてるんですね。で、そうすると皆さん、これ一目瞭然で、ここのスエズ運河は、せっかくここ穴を開けて、地中海とインド洋をつないだんだけど、それ要らないってことになってくるわけですよ」
一同
「うーん」
青山繁晴
「で、今日最初に言いましたね。その、えー、エジプトっていうのは、油や天然ガスよりも、今映ってるスエズ運河の通行料と、その観光で国が成り立ってきたと。ところがこのスエズ運河が、必要だんだん薄れてくると、通行料は下がってくるわ、えらいことになっていくわけですね。あの、このスエズ運河も、『アラビアのロレンス』の中に非常に印象的なシーンが出てくるんですよね。その、乾きに苦しんだローレンスが、その、スエズ運河の水を見て甦るっていうシーンもあるんですが、そのように、全ての源であったそのスエズ運河が、要らなくなってくるかもしれない。で、具体的な動きがすでに起きてて、これです」
村西利恵
「ロシア最大の国営石油会社とイギリスの石油大手BPが、資源開発の提携を発表しました」
青山繁晴
「これは、あの、プーチンさんがですね、えー、こういう発言をしてるんですね。もう去年の9月の段階で言ってるんですけども、今から半世紀したら、北極こそ、主要な交通路になるんだよと。そしてプーチンはやっぱりいろんな意味で悪魔のような天才だと思うんですが」
村西利恵
「先を読んでますね」
青山繁晴
「ええ。自分が乗っ取って、その、自分のものに実質しちゃってるとも言われてる、この最大の石油会社と、あの、イギリスのBP、ブリティッシュ・ペトロリアム、本来は。で、これ、メキシコ湾で大失敗したBPですよ。その失敗につけ込んでですよ、北極海を一緒に開発して、その、北極海はその、通行路になるだけじゃなくて、下にたくさんの資源がある、だから両方とも活かせるよって言って手を伸ばしたら、BP、イギリスが乗っかっちゃったわけですね。ということはこれ、イギリスのBPが半分ロシアの国有の、会社になってしまったのと同じで、すなわちプーチンのものになったのと同じなんですよ。これはやっぱり悪魔のような天才であると同時に、こういう一見かけ離れたような動きと、エジプト・カイロのあの百万人デモとが、実は結びついてる、深いところで不安を呼び起こして、それがその、今のままの政治じゃもたないってことになってるわけです。そうすると、やっぱり私たちが最後に考えなきゃいけないのは、日本の政治が、その、目の前の内向きのことで、あの、こだわって、議会がそもそも、国会が機能してないっていうのは、どれほど重大なことなのかと、いうことをやっぱり考えざるを得ない。こういう、その、良くも悪くも戦略的な物の見方はこうやって大きな、あの、さっき僕は砂漠で手を広げるって言いましたけど、そう手を広げて地球を見るような物の見方が、私たち、もう一度必要なんじゃないかと思います」
山本浩之
「わかりました。えー、“ニュースDEズバリ”でした」
____________________________内容紹介ここまで
中東にはほんと疎いので、今日はいつにも増して勉強になりました(^^ゞ
恥ずかしながら、エジプトについては私はほとんど観光のイメージしか湧かなくて、あとは、子ども手当問題でGJ発言をしてたフィフィさんの母国、ぐらいの認識しか持ってませんでした。
ちなみにフィフィさんによれば、「13,000円はエジプトでは大学の先生の収入より高い」とのことでした。
今日はほかに、大相撲八百長疑惑、国会で公明党の反発に迎合する菅首相、などのニュースについて青山さんの解説がありました。
これら“ニュースDEズバリ”コーナー以外の部分については誰にも手渡してはならない自由意志さんが近日中にUPして下さると思いますので、そちらをご覧下さい。
※参考リンク
・ON THE ROAD 青山繁晴の道すがらエッセイ
青山さんに直接コメントが送れます。
・誰にも手渡してはならない自由意志
拙ブログで紹介しきれなかった青山さんの発言を起こして下さっています。
・青山繁晴氏のファンサイト・淡交 ブログ
動画の紹介など情報が大変充実しています。
※拙ブログ関連エントリー(アンカー)
・【一覧】「アンカー」青山さんコーナーテキスト起こし
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takeshima dokdo dokto tokdo tokto
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