「靖国違憲判断」「朝日新聞の対応」各紙社説比較
 各紙社説を取り上げる前に、まずは靖国訴訟に関して「台湾の声」より編集長・林建良氏の声明をご紹介。

【大いに周知を】大阪靖国訴訟の原告は「台湾の戦没者の遺族ら」ではない!!

読者の皆さまへのお願い

 昨日の大阪高裁の靖国訴訟の判決に関するほとんど報道は原告団の一部を「台湾の戦没者の遺族ら」と表現しています。

 これは大きな誤りです。その原告の名簿に載せているほとんどの台湾人は自分が「原告」になったことすら知りませんでした。今回の訴訟は日本の左翼勢力と中国の連携プレーであり、その主役を演じたのは高金素梅という支那人の子孫であることは明らかなのです。

原告となっている何人かの台湾人の住所は、台湾に存在しない架空のものだった。これらの原告は実在しないのであろう。更に、同じ住所の原告は十一組、二十六人いる。それは、十一世帯から複数の人が原告となったのであろう。」

 「更に追跡すると、何と多数の原告は訴訟のことを知らなかったのである。ある人びとは、日本政府から賠償をもらえることになったと言われて、名前を出したと言い、またある人びとは、高金素梅主催の集会に参加しただけで、訴訟のことは何も知らされなかったと言う。靖国訴訟を知っていたのは、彼女の側近や、親中組織「中国統一聯盟」のメンバーぐらいなのだ。」

 以上は私が調べた事実で、2003年9月号の「正論」で発表したものです。
この事実を是非沢山の日本人に周知してください。

 「台湾の声」編集長 林建良 2005年10月1日

 声明には、昨日ここで紹介した林建良氏の「正論」掲載論文も参考資料として添えられています。まだご覧になっていない方はぜひ一度目を通して下さい。
 日本のメディアにはぜひこの事実を伝えてほしいものです。産経、読売あたりが書いてくれないですかね。

 さて。
 昨日ここでも取り上げた「靖国訴訟で違憲判断」と「朝日新聞がNHK問題で会見、取材不十分を認めるも記事訂正はせず」、今日(10/1)の主要紙社説は何と書いてるか?

 まずは「靖国訴訟で違憲判断」。これは五大紙全部が取り上げてます。

<読売>[靖国参拝判決]「きわめて疑問の多い『違憲』判断」
 判決は請求を棄却した。しかし、首相は「3度にわたって参拝した上、1年に1度参拝を行う意志を表明するなどし、これを国内外の強い批判にもかかわらず実行し、継続しているように、参拝実施の意図は強固であった」との判断を示した。目的は「政治的なもの」だったともしている。
 近隣諸国の批判などを理由に首相の靖国神社参拝を違憲だとするなら、この判決こそ政治的なものではないか。

<産経>【主張】靖国訴訟 ねじれ判決に拘束力なし(2本目の社説。下にスクロールして下さい)
 判決文は小泉首相の靖国参拝の主たる動機・目的を「政治的なもの」と決めつけているが、裁判官こそ、中国や韓国などからの批判を意識しており、政治的意図を疑わざるを得ない。

 読売、産経GJ!(≧▽≦)
 読売は伊勢参拝にも触れ、「これも国が伊勢神宮と『特別の関わり合い』を持っているということになるのだろうか」とツッコミ。
 あと産経は、裁判官は「ねじれ判決」(主文で原告の請求が退けられているため、被告の国側が控訴、上告して争えない構造になっていること)を避けるべきだと言及。

<毎日>社説:靖国参拝訴訟 違憲判断は司法府の警告だ
 参拝の公私の区別を判断する際に、公用車使用や秘書官同行の有無などが一つの基準とされるのは権利の乱用の観点から当然としても、結局は参拝に政治的な効果を伴うかどうかが分岐点となるのではないか。

 この「権利の乱用の観点から当然」という考えには納得行きませんわ。
 首相など国の主要人物は、たとえ私用での外出であっても、安全のため公用車を使ったり秘書官同行をしたりすべきでしょ(実際、小泉首相はオペラ鑑賞など私用で出かける時もSP連れてるはず)。
 一国の首相が一人でそのへんぶらっと出かけたりしたら危険じゃないですか。小泉首相が暗殺されてもいいって言うのかね。

 毎日の社説は、
 「小泉首相をはじめとする政府関係者は、判決を司法府からの警告として重く受け止めるべき」
 「総理大臣に対して憲法を順守した言動を求める司法府の厳しい姿勢の表れ、と受け止めたい」
 などと述べる一方で、
 「判決内容は、全般的に小泉首相に手厳しい」
 「総理大臣にも個人的に信教の自由が保障されている」
 「靖国神社は一般の神社神道とは趣の異なる慰霊施設でもある、との認識を、少なからぬ人々が共有していることも事実」
 などとも述べていて、何だか『逃げ道』を残してるような印象です。

<日経>社説1 重く受け止めたい靖国参拝違憲の判断
 国内問題として靖国参拝を考える場合に2件の判決で違憲と判断され、4件で違憲の前提になる公的行為と認定された事態は、重く受け止めなければならない。対外問題として見れば、首相の靖国参拝は中国、韓国ばかりでなくアジア諸国との外交の大きなトゲになっている。

 さすが日経。中国や韓国での経済活動を重視!?
 え?でも「アジア諸国との外交の大きなトゲ」って?
 あなたのおっしゃる「アジア諸国」ってどこの国のことかしら?(←櫻井よしこさん風に読んで下さい)

 さて、真打ち登場。

<朝日>靖国違憲判決 参拝をやめる潮時だ

 まずタイトル見てコケた。
 『報ステ』に続いて(昨日付参照)、朝日新聞までもが「違憲判決」って、おーーーい!!
 朝日クォリティ全開ですか!?こんなあからさまな歪曲をしていいんですか?
 昨日さんざん朝日新聞の批判をさせてもらったけど、その翌日にまたこんなことされちゃあねぇ、もうケンカ売ってるとしか思われへん。

   × 「違憲判決」
   ○ 「違憲判断」

 昨日の大阪高裁の「首相の靖国参拝は違憲」という判断は、主文とは無関係な傍論の中で示されました。
 「傍論」とは何か?漢字を見ただけでもおおよその意味は見当が付くと思いますが、これは判決とは直接関係のない、裁判官の意見表明に過ぎません。

 つまり、大谷正治裁判長が言ったのはこういうこと。
 「原告らの法的利益が侵害されたとはいえないから、原告側の控訴は棄却します。あと、これは私の個人的な意見なんですが、小泉首相の靖国参拝は憲法19条の政教分離原則に反しているから違憲だと、私は思っています」

 傍論は判決と違って法的拘束力はありませんし、判例としての効力もありません。
 なのに朝日の社説は、「原告の権利侵害こそ認めなかったが、実質的には首相の敗訴である」なんて言い切ってる。ふんとにもう(-.-#)

 あとはいかにも朝日的な文言が並んでますな。

 大阪高裁の訴訟の原告には、日本人だけでなく台湾の原住民族らが加わり、その中には第2次大戦中に日本軍のもとで戦った人の遺族もいた。

 小泉首相の参拝には、中国や韓国から「戦争被害国の国民感情を傷つける」という批判が出ている。そのことが逆に、日本人の間に「外圧に押されて参拝を中止してはならない」という感情を生んでもいる。

 首相の参拝は外交問題であるだけでなく、憲法をめぐる重要な問題である。司法の判断は、高裁の段階でも真っ二つに割れ、首相の参拝が日本の社会に深い亀裂をもたらしていることを示した。

 このところ首相はしきりに私的参拝であることを強調している。だが、司法の判断がこれだけ分かれた以上、参拝を強行すべきではない。外国からの批判とは別の話である。

 「小泉首相の参拝には中国や韓国から批判が出ている」とわざわざ書いておいて、その後に「でも外国からの批判とはまた別の話ですよ」って、アンタ。
 そもそもね、『靖国問題』を中国に焚きつけて外交問題化させた張本人の朝日新聞がね、今さら「外国からの批判とは別の話」なんて言っても、何の説得力もないっちゅーねん。

 靖国訴訟の件はここまで。

 次に「朝日新聞がNHK問題で会見、取材不十分を認めるも記事訂正はせず」の件。
 これを社説で書いたのは毎日・産経のみ。

<産経>【主張】朝日NHK問題 なぜ潔く訂正できないか

 産経は相変わらず正論書いてます。
 が、毎日の方が産経よりもツッコミ鋭いし、パワフルだし、口調もきつい。正直、産経が大人しく見えてしまいます(^_^;

<毎日>社説:朝日見解 事実解明なしで新聞社ですか
 旧日本軍の従軍慰安婦問題を扱ったNHK番組の改変報道に関し、朝日新聞は30日、外部の有識者で作った委員会の見解と、これを受けた同社の見解を発表した。また、朝日の詳細な取材内容が月刊誌に流出した問題の責任をとり、幹部の処分も決めた。

 朝日新聞は、どこか勘違いをしているのではないか。これが率直な感想だ。事実関係が何ら解明されていないからである。

 自民党の安倍晋三幹事長代理や中川昭一経済産業相らがNHK幹部を呼び出したのか。中川氏は放送前に幹部と会っていたのか。関係者の争いになっている点について、朝日新聞は外部委員会の指摘を受けて取材の詰めの甘さは認めた。しかし、「訂正はしないという判断は理解できる」という委員会見解を受け入れ、「ご理解いただいた」などと述べるのみだ。

 訂正しない、この件は謝罪しないというのも報道機関として一つの判断だろう。だが、改変問題を朝日が報じてから9カ月近く経過した今、国民が知りたいのは有識者の評価などではない。かねて疑問が寄せられてきた「取材記者はNHKと政治の関係より、本当は安倍氏らの歴史認識を批判したかったのではないか」といった取材意図も含めた事実だ。

 この日の記者会見では、関心を集めていた取材テープの存在の有無も相変わらず明らかにせず、取材資料の流出元も「特定に至らなかった」と発表したのみである。

 流出問題は、朝日新聞が7月25日朝刊で掲載した検証記事よりもその後、発売された月刊誌の方が取材相手だったNHK幹部との一問一答などはるかに詳しい内容となっていたというものだ。社内の流出元を突き止められないというのは、まず取材のプロとして失格ではなかろうか。しかも、この流出はジャーナリズムの自殺行為にも等しい深刻な問題なのである。

 仮に流出元が朝日の取材班の一員だとすれば、その狙いは何だったのか。詳細な報道は自社の紙面では無理だとあきらめたのか、他のメディアを味方につけようとしたのか。本来、自らの紙面で決着をつけるべきであり、言い足りない点があれば記者会見をして広く国民に判断を委ねればいい。メディアに属する人間が匿名で他社にリークするのは邪道である。

 取材班と無関係な人間とすれば自社の対応が不満だったのか。混乱を起こそうとしたのか。まさに問われている「朝日の体質」の問題に直結する話ではないか。


 取材テープについても同様だ。既に多くの人は、あれだけ詳細なやり取りをメモもとらずに再現できるとすれば、隠しテープをとっていたに違いないと思っているはずだ。それを否定も肯定もできないのは、朝日では「取材内容の録音は相手の了解を得るのが原則」としているからではないのか。つまり組織防衛によるものだとにらんでいるのだ。

 どうして、この期に及んでも、すべてを明らかにしないのか。
報道機関自らが事実を覆い隠していては次の議論には到底進めない。
毎日新聞 2005年10月1日 0時31分

 毎日は最初は朝日を擁護してたのに、ある時期から急に朝日にきつくあたるようになりました。一体どうしたんでしょうかね。
 もしかして、朝日との差別化を狙ってるんでしょうか?「うちは朝日と主義主張は似てるけど、朝日みたいに捏造記事書いたり隠ぺい体質だったりはしませんよ」というアピール?

 7/25に朝日が長文の「検証記事」を出しましたが、あの時あたりから毎日は朝日にきつくなっていったような気が(拙ブログ7/27付<朝日新聞の「検証記事」、各紙の反応>参照)。

 また長野事件(虚偽メモ事件)の時は、毎日はかなり気合いを入れてました。朝日の捏造記事の紙面をわざわざ画像でUPしたりして(拙ブログ8/31付<朝日新聞田中知事発言捏造問題まとめ>参照)。
 それまでは「朝日批判の一番手と言えば産経」という印象がありましたが、この事件に関しては産経の上を行ってたと思います。

 ちなみに、朝日の今日のもう一つの社説は↓これでした。

<朝日>国勢調査 信頼を高めるには

 もう大笑い(≧▽≦)

 今回は国民の信頼をどう確保し、高めるかという大きな問題に直面している。

 オマエモナー。

 まず、プライバシーの保護だ。名前や住所などが漏れ、本来の目的以外に使われれば、個人情報の重要さを自覚している国民は調査に背を向けてしまう。

 「月刊現代」への流出事件により、個人情報の重要さを自覚している購読者は朝日新聞に背を向けてしまったのではないですか?

 この夏、日銀が外部の調査会社に委託した調査で、調査員が回答を捏造(ねつぞう)する不正が発覚した。国勢調査もこうした危険と無縁ではない。調査後に約6万のサンプルをとって再調査し、調査票の記載が事実かどうかを確かめるというが、これで十分だろうか。

 朝日新聞が記事を捏造する不正が発覚したが、訂正もしなけりゃ謝罪もしない。そして昨日の会見が「最終対応」だと。これで十分だろうか。

 まったく、人のこと心配してる暇あったら自分の心配しなさいよ。
 明日はぜひ「朝日新聞 信頼を高めるには」というタイトルで一本頼みます(^_^;

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Posted by くっくり 02:22 | マスコミ | comments (12) | trackback (11)