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富士山世界遺産登録決定!三保松原「逆転登録」へのロビー活動まとめ
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世界遺産委員会が、6月22日、日本が推薦した富士山を世界文化遺産に登録することを決定しました。
遅ればせながら、おめでとうございます!\(^o^)/
20年越しの悲願達成ですね。
今回、特に注目されたのは、三保松原も含めた登録となったことですね。
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世界遺産委員会が、6月22日、日本が推薦した富士山を世界文化遺産に登録することを決定しました。
遅ればせながら、おめでとうございます!\(^o^)/
20年越しの悲願達成ですね。
今回、特に注目されたのは、三保松原も含めた登録となったことですね。
今年4月に出されたユネスコの諮問機関イコモスの勧告では、三保松原は富士山から距離が遠いとして、三保松原を除外して登録するよう求めていました。
それだけに、三保松原を含めた逆転登録は、日本で大きな驚きを持って受け止められました。
登録を決める世界遺産委員会で、一体何が起こったのか。
皆さんすでにご存知のように、そこには日本側の効果的なロビー活動がありました。
日本はロビー活動が苦手と言われてきただけに、日本国民の驚きはさらに増しました。
今回のロビー活動について、木曽功ユネスコ日本政府代表部特命全権大使は「距離の問題でなく、富士山と三保松原は歴史的、文化的に一体的であるという文化庁の説明がうまくいった」と説明しています。
また、近藤誠一文化庁長官は、「各国の推薦候補が、政治的な力で登録される傾向もある中、正攻法で自分たちの考え方を訴えたことが各国の温かい支持につながった」と振り返っています。
三保松原の「逆転登録」には、近藤誠一文化庁長官や木曽功ユネスコ大使をはじめとする、日本代表団の並々ならぬ努力があったのです。
とりわけ近藤氏の尽力が大きかったようです。
近藤氏はもともと外務省の人で、文化庁長官に就任したのは2010年です。
今年7月には退官が決まっているそうで、最後の最後に大仕事をしてくれました。
この画像は、審議入り前日の21日の近藤氏のロビー活動の様子です。
(関係ないけど俳優の近藤正臣氏にちょっと似ておられますよね(^_^;)
三保松原を含めた富士山登録までのロビー活動の流れを、様々な報道から簡単にまとめてみます。
特に6/24放送「ひるおび!」を大いに参考にさせてもらいました。
(現地の会議にオブザーバーとして参加した世界遺産総合研究所所長の古田陽久さんがゲスト解説者でした)
まず、先ほど触れたように、4月にイコモスが富士山世界遺産登録で、三保松原の除外を勧告しました。
この直後から、近藤誠一長官らは、関係者に電話やメールを駆使して巻き返しを図っていました。
実は近藤氏は2006年からユネスコ日本政府代表部特命全権大使を務め、パリに在住していました。
2007年、イコモスから登録延期を勧告された「石見銀山遺跡」の逆転登録を実現した立役者でもあります。
近藤氏は、ユネスコ大使時代に各国の大使と付き合いがあり、世界遺産委員会の各国代表とも旧知の間柄でした。
その人脈をフル活用し、三保松原の認知度を上げるアピールをしたのです。
そして審議が開かれる4日前の6月18日、近藤氏らは現地のカンボジア・プノンペン入り。
手分けして、20の委員国と接触しました。
実は文化庁長官が自ら現地入りすること自体、異例なことなのだそうです。
通常は、日本で結果報告の電話を待っているような立場なのだとか。
審議入り3日前の6月19日から、近藤氏らは本格的なロビー活動を開始しました。
まずは議長国カンボジアに接触。
後にも触れますが、世界遺産委員会における議長の議事運営というのはすごく大事なのです。
それから、ドイツ代表団。
会議の休憩時間中、近藤氏がドイツ代表団の男性に富士山のパンフレットを見せながら話す様子が、テレビのニュース映像でもよく紹介されましたね。
控え室で椅子に腰掛け、リラックスした状態で、通訳を介さずに説得していました。
こんなふうに日本の代表団は20の委員国全てに、三保松原の重要性を説明しました。
具体的に何を説明したか?
近藤氏によれば、以下のような内容だったそうです(FNN06/24 12:22)。
「日本人にとって、富士山というのは、信仰の対象であると同時に、芸術のインスピレーションを得ると。それが長い昔から、古い昔から、そういうものであったと。したがって、日本人にとって、富士山といえば、三保松原から見た富士山。
それから、昔は、山に登る人も、西から来た人は、三保松原を通って行ったということで、ほかにもたくさん富士山を見るところはあるけれども、これは特別の意味がある、ほかとは違う特別の意味のある場所なので、富士山と三保松原というのは一体なんだと。
ずっと日本人は、古来、そういうふうに考えてきたということを一生懸命アピールしました」
日本側の努力は少しずつ実を結び始めていました。
ドイツ代表団は、審議入り前の時点ですでに、メディアの質問に対し、「三保松原がとても重要な場所であることは明白です。委員会が登録を認めてくれるでしょう」と述べてくれていました。
が、ここでひとつ問題が発生します。
インドが三保松原を含めることに反対しているとの情報が入ってきたのです。
世界遺産登録というのは、原則、全会一致で決まるもので、もし1カ国でも反対があると登録が難しくなります。
そして迎えた審議当日の22日。
午前中、近藤氏は最後に世界遺産委員会議長のカンボジアのソク・アン氏(副首相兼首相府相)に会い、富士山のパンフレットを見せながらアピールしました。
もちろん議長へのロビー活動は違反ではありません。
議長国カンボジアは日本を強力に味方してくれることとなりました。
が、なぜカンボジアが?
現地入りしていた世界遺産総合研究所所長の古田陽久氏は、その理由をこう説明しています。
「日本とカンボジアは良好な関係が続いてきており、特に今年は国交60周年という記念の年でもあります。また、日本はアンコールの遺跡群の保護に、上智大学・早稲田大学含め、協力してきました」
こういった事情から、カンボジアは日本に最大限の配慮をしてくれたようです。
議長の采配というのはとても重要で、審議の方向性を決めてしまうことが多々あるそうです。
というのも、委員会の審議は、
(1)イコモスのプレゼンテーション
(2)各委員国が発言
(3)採択
という流れで行われるのですが、ここで重要なのは、各委員国の発言は挙手ではなく、議長が発言者を指名する形式をとっていることです。
つまり、どこの国から意見を述べさせるかについては、議長が決めるのです。
日本が議長国カンボジアを味方に引き入れたのは、本当に大きなことでした。
また、タイムスケジュールの取り方でも日本は成功しました。
再び、古田陽久氏によれば、委員会は午前の審議と午後の審議があり、間に2時間の休憩を挟むのですが、日本は、午後一番、つまり昼食後すぐに富士山の審議をしてくれるようお願いしたんだそうです。
予めそういうスケジュールを組んでおき、昼休みの間に、「三保松原も登録に含めましょう」という空気を醸成しておいたのです。
こういった流れの中、ついに富士山の審議がスタートしました。
まずはイコモスのプレゼンテーションが行われました。
「三保松原は富士山の一部ではない。富士山から45kmも離れた場所に位置しているからだ」と、除外勧告の理由を再度説明しました。
近藤氏は「勧告どおりの厳しいプレゼンだった」と後で振り返っています。
イコモスのプレゼンが終わり、いよいよ各委員国の発言です。
議長国カンボジアの議長がまず最初に指名したのは、事前に前向き発言のあったドイツでした。
ドイツ代表団の男性はこう意見しました。
「…ひとつお話ししたいのですが、三保松原の除外には賛成できません。世界でも最も有名な景勝地の一つです。無形の価値があります」
次に発言したのはセネガルだそうです。
「三保松原は芸術家がインスピレーションを得る重要な場所です」
その後、メキシコ、タイ、マレーシア、ロシア、フランス、カタール(順不同)……と、各国が、たどたどしい発言ながらも「ミホノマツバラ」を連呼し、登録に含めることを訴えました。
何と、反対しているという事前情報があったインドも賛成に回りました。
「三保松原は、富士山と精神的、景観的つながりがあり、不可分だ」
賛同の意見は、日本を除く世界遺産委員会の委員国20カ国のうち19カ国からあり、登録を決定づけました(残り1カ国がどこなのかは不明)。
近藤氏は、この時の模様をこう振り返っています。
「最初の6〜7カ国が良いことを言ってくれたので、このあたりで『もう大丈夫』だと思った」
「国際会議はおもしろいもので、最初の数人がある方向を強く支持すると、他の人もそっちに流れていくもの。この日もそういう良い流れだった」
こうして、三保松原を含めた富士山世界遺産登録がめでたく決定したのです!
ひとつ残る疑問は、反対していたはずのインドがなぜ賛成に回ったのか?ですよね。
議場が賛成のムードに包まれて反対しづらかったというのもあるのかもしれませんが、古田陽久氏によれば、実はインドも今回、自国の世界遺産登録の候補物件があり、それを通したいという気持ちが強かったのではないかということでした。
ちなみに、ドイツやメキシコなども今回、同様に自国の候補物件があったそうです。
特にメキシコについては、日本側が審議の場で登録に賛成の意見を述べて助けたりしたそうです。
こういった、候補物件を抱えた国との助け合いというか、駆け引きのようなこともあったようです。
あと、イコモスの勧告について、近藤氏は「目に見えない文化的、芸術的なつながりを認めない。われわれの価値観とのずれに悩まされた」そうですが、「名前は言えないが、イコモスの幹部が理解を示してくれた」とも後に述べています。
そのあたり、FNNのインタビューで具体的に話しています(FNN06/24 12:22(前掲))。
「イコモスの公式の見解はもちろん、勧告の通りなわけですけれども、委員国に話をする前にですね、イコモスの幹部で親しい人と話をして、感じを聞いてみると、イコモスが必ずしも一枚岩で、『断固、三保松原反対』と言っているわけではないと。かなり理解を示している人もいるということがわかったので、それをベースに、自信を得て、ほかの委員国にも働きかけを始めたと、こういうことです」
「勧告が出た時は、これは厳しいなと。とても明確な論理を崩すのは不可能かなと思いましたが、先ほどのように、こちらに来てから、イコモスの中にも理解を示している人がいるし、実際に、委員国の中で、イコモスの勧告はなるべく尊重しろという、そういう主義を取っている人に先にアプローチをしたところ、意外とわかってくれるなと。これ、いけるかもしれないと思って、それで、ほかのアジアとか、特に日本にシンパシーを持ってくれるところに働きかけたということで」
イコモスの勧告は厳しかったものの、そこで投げてしまうのではなく、関係各所から情報を粘り強く収集し、最後まであきらめずに働きかけ続けた結果、逆転登録に至ったというわけですね。
この攻防は本当にギリギリまで続いていたようです。
たとえば、静岡県の川勝知事が、現地入りした21日夜(審議前日)に面会したカンボジアの副大臣から「三保松原は無理だ」と言われ、逆転は難しいと思ったという話を披露していますが(読売6/24)、このことからも明らかです。
とにかく今回のことで、私は日本の底力というものを改めて感じました。
近藤長官はじめ代表団の皆さんには、本当にお疲れ様でしたと言いたいです。
(もちろん富士山の世界遺産登録を喜んでばかりはいられません。増え続ける観光客問題やゴミ問題もあります。世界遺産委員会は日本に、2016年までに環境保全状況の報告書を出すよう求めています。これらの問題は機会があればまた書きたいと思います)
さて、今回のことで、「何だ、日本もロビー活動やろうと思ったらできるじゃないか。慰安婦問題もロビー活動がんばれよ!」と思った人は多かったんじゃないでしょうか。かくいう私もそうです。
が、よくよく考えてみると、「三保松原」は短期戦、しかも各国が知識をすり込まれていない状態での、いわば「ゼロからのスタート」でした。
実際、マレーシアの代表は、「日本からの情報により三保松原の重要性を知った」という趣旨の話をしていました。
一方、慰安婦問題の場合は、長年にわたる「マイナスの情報の蓄積」があります。
具体的に言えば、中韓の執拗な「嘘ばらまき」のロビー活動に、日本政府はほとんど有効な反論をしてきませんでした。
しかも、「日本政府も慰安婦強制連行を認めている」と世界に誤解されても仕方のない「河野談話」が未だに放置されており、これが中韓のロビー活動をますます勢いづかせる原因になっています。
皆さんご存知の通り、近年、米国において、議会で慰安婦決議が採択されたり、各地に慰安婦の碑が建てられたりしています。
ニュージャージー州でも慰安婦決議が、2013年3月21日に下院で、6月20日に上院で採択されてしまいました。
これももちろん韓国系のロビー活動により達成されたものですが、「20万人が性奴隷とされ、その4分の3は残忍な仕打ちにより死亡した」という、あまりにも酷すぎる嘘が書き込まれています。
以下の動画は下院の決議文についての解説ですが、上院の決議文もほぼ同じ内容です。
こうした状況を逆転していくのは容易ではないでしょうが、日本政府と日本国民が一体となって、中韓のロビー活動に対抗し、地道にロビー活動を頑張っていくしかないでしょう。
特に日本政府は、海外への情報発信やロビー活動に投入するお金や労力を惜しまないことです。
今年に入って五輪のレスリング除外問題もありましたし、いまや多くの日本国民がロビー活動の重要性に気づいています。
税金を投入することに反対する国民は少ないはずです。
青山繁晴さんは5/1放送「アンカー」でこう言っていました。
「(中韓のロビイストは)ほとんどが例えばアメリカでロビー活動するんだったらアメリカ人です。例えば、これ個別撃破なんですロビー活動って。例えばミシシッピー州選出の議員だったら、ミシシッピーではどんな産業がほしくて、この人は何を頼りに当選してるのかってことをロビイストが、地元事情もよく知ってて、そして米語で、そのネイティブな米語でやるからロビー活動なんですよ。これは何を意味してるかというと、即刻できるってことなんですよ。育てる必要ないんですよ」
「もうはっきり言うと、札束でひっぱたけば、こっちの味方になるわけですよ。そしてそれを、官邸が責任持って、もちろんコントロールしなきゃいけないから、その内閣の中にちゃんとした情報機関を、今の内調のような、ただただその、情報がこう来てるだけじゃなくて、ちゃんとコントロールできるような情報機関を新たに作って、そしてロビー活動開始しない限り、いつまでもこれやられっぱなしになりますよ」
今回の三保松原に関してはもちろん「札束でひっぱたく」なんてことはなかったわけですが、中韓の反日工作を打破していくためには、「札束でひっぱたく」のも場合によっては必要でしょう。
きれいごとだけでは、国際社会の中で生き残っていけないのです。
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それだけに、三保松原を含めた逆転登録は、日本で大きな驚きを持って受け止められました。
登録を決める世界遺産委員会で、一体何が起こったのか。
皆さんすでにご存知のように、そこには日本側の効果的なロビー活動がありました。
日本はロビー活動が苦手と言われてきただけに、日本国民の驚きはさらに増しました。
今回のロビー活動について、木曽功ユネスコ日本政府代表部特命全権大使は「距離の問題でなく、富士山と三保松原は歴史的、文化的に一体的であるという文化庁の説明がうまくいった」と説明しています。
また、近藤誠一文化庁長官は、「各国の推薦候補が、政治的な力で登録される傾向もある中、正攻法で自分たちの考え方を訴えたことが各国の温かい支持につながった」と振り返っています。
三保松原の「逆転登録」には、近藤誠一文化庁長官や木曽功ユネスコ大使をはじめとする、日本代表団の並々ならぬ努力があったのです。
とりわけ近藤氏の尽力が大きかったようです。
近藤氏はもともと外務省の人で、文化庁長官に就任したのは2010年です。
今年7月には退官が決まっているそうで、最後の最後に大仕事をしてくれました。
この画像は、審議入り前日の21日の近藤氏のロビー活動の様子です。
(関係ないけど俳優の近藤正臣氏にちょっと似ておられますよね(^_^;)
三保松原を含めた富士山登録までのロビー活動の流れを、様々な報道から簡単にまとめてみます。
特に6/24放送「ひるおび!」を大いに参考にさせてもらいました。
(現地の会議にオブザーバーとして参加した世界遺産総合研究所所長の古田陽久さんがゲスト解説者でした)
まず、先ほど触れたように、4月にイコモスが富士山世界遺産登録で、三保松原の除外を勧告しました。
この直後から、近藤誠一長官らは、関係者に電話やメールを駆使して巻き返しを図っていました。
実は近藤氏は2006年からユネスコ日本政府代表部特命全権大使を務め、パリに在住していました。
2007年、イコモスから登録延期を勧告された「石見銀山遺跡」の逆転登録を実現した立役者でもあります。
近藤氏は、ユネスコ大使時代に各国の大使と付き合いがあり、世界遺産委員会の各国代表とも旧知の間柄でした。
その人脈をフル活用し、三保松原の認知度を上げるアピールをしたのです。
そして審議が開かれる4日前の6月18日、近藤氏らは現地のカンボジア・プノンペン入り。
手分けして、20の委員国と接触しました。
実は文化庁長官が自ら現地入りすること自体、異例なことなのだそうです。
通常は、日本で結果報告の電話を待っているような立場なのだとか。
審議入り3日前の6月19日から、近藤氏らは本格的なロビー活動を開始しました。
まずは議長国カンボジアに接触。
後にも触れますが、世界遺産委員会における議長の議事運営というのはすごく大事なのです。
それから、ドイツ代表団。
会議の休憩時間中、近藤氏がドイツ代表団の男性に富士山のパンフレットを見せながら話す様子が、テレビのニュース映像でもよく紹介されましたね。
控え室で椅子に腰掛け、リラックスした状態で、通訳を介さずに説得していました。
こんなふうに日本の代表団は20の委員国全てに、三保松原の重要性を説明しました。
具体的に何を説明したか?
近藤氏によれば、以下のような内容だったそうです(FNN06/24 12:22)。
「日本人にとって、富士山というのは、信仰の対象であると同時に、芸術のインスピレーションを得ると。それが長い昔から、古い昔から、そういうものであったと。したがって、日本人にとって、富士山といえば、三保松原から見た富士山。
それから、昔は、山に登る人も、西から来た人は、三保松原を通って行ったということで、ほかにもたくさん富士山を見るところはあるけれども、これは特別の意味がある、ほかとは違う特別の意味のある場所なので、富士山と三保松原というのは一体なんだと。
ずっと日本人は、古来、そういうふうに考えてきたということを一生懸命アピールしました」
日本側の努力は少しずつ実を結び始めていました。
ドイツ代表団は、審議入り前の時点ですでに、メディアの質問に対し、「三保松原がとても重要な場所であることは明白です。委員会が登録を認めてくれるでしょう」と述べてくれていました。
が、ここでひとつ問題が発生します。
インドが三保松原を含めることに反対しているとの情報が入ってきたのです。
世界遺産登録というのは、原則、全会一致で決まるもので、もし1カ国でも反対があると登録が難しくなります。
そして迎えた審議当日の22日。
午前中、近藤氏は最後に世界遺産委員会議長のカンボジアのソク・アン氏(副首相兼首相府相)に会い、富士山のパンフレットを見せながらアピールしました。
もちろん議長へのロビー活動は違反ではありません。
議長国カンボジアは日本を強力に味方してくれることとなりました。
が、なぜカンボジアが?
現地入りしていた世界遺産総合研究所所長の古田陽久氏は、その理由をこう説明しています。
「日本とカンボジアは良好な関係が続いてきており、特に今年は国交60周年という記念の年でもあります。また、日本はアンコールの遺跡群の保護に、上智大学・早稲田大学含め、協力してきました」
こういった事情から、カンボジアは日本に最大限の配慮をしてくれたようです。
議長の采配というのはとても重要で、審議の方向性を決めてしまうことが多々あるそうです。
というのも、委員会の審議は、
(1)イコモスのプレゼンテーション
(2)各委員国が発言
(3)採択
という流れで行われるのですが、ここで重要なのは、各委員国の発言は挙手ではなく、議長が発言者を指名する形式をとっていることです。
つまり、どこの国から意見を述べさせるかについては、議長が決めるのです。
日本が議長国カンボジアを味方に引き入れたのは、本当に大きなことでした。
また、タイムスケジュールの取り方でも日本は成功しました。
再び、古田陽久氏によれば、委員会は午前の審議と午後の審議があり、間に2時間の休憩を挟むのですが、日本は、午後一番、つまり昼食後すぐに富士山の審議をしてくれるようお願いしたんだそうです。
予めそういうスケジュールを組んでおき、昼休みの間に、「三保松原も登録に含めましょう」という空気を醸成しておいたのです。
こういった流れの中、ついに富士山の審議がスタートしました。
まずはイコモスのプレゼンテーションが行われました。
「三保松原は富士山の一部ではない。富士山から45kmも離れた場所に位置しているからだ」と、除外勧告の理由を再度説明しました。
近藤氏は「勧告どおりの厳しいプレゼンだった」と後で振り返っています。
イコモスのプレゼンが終わり、いよいよ各委員国の発言です。
議長国カンボジアの議長がまず最初に指名したのは、事前に前向き発言のあったドイツでした。
ドイツ代表団の男性はこう意見しました。
「…ひとつお話ししたいのですが、三保松原の除外には賛成できません。世界でも最も有名な景勝地の一つです。無形の価値があります」
次に発言したのはセネガルだそうです。
「三保松原は芸術家がインスピレーションを得る重要な場所です」
その後、メキシコ、タイ、マレーシア、ロシア、フランス、カタール(順不同)……と、各国が、たどたどしい発言ながらも「ミホノマツバラ」を連呼し、登録に含めることを訴えました。
何と、反対しているという事前情報があったインドも賛成に回りました。
「三保松原は、富士山と精神的、景観的つながりがあり、不可分だ」
賛同の意見は、日本を除く世界遺産委員会の委員国20カ国のうち19カ国からあり、登録を決定づけました(残り1カ国がどこなのかは不明)。
近藤氏は、この時の模様をこう振り返っています。
「最初の6〜7カ国が良いことを言ってくれたので、このあたりで『もう大丈夫』だと思った」
「国際会議はおもしろいもので、最初の数人がある方向を強く支持すると、他の人もそっちに流れていくもの。この日もそういう良い流れだった」
こうして、三保松原を含めた富士山世界遺産登録がめでたく決定したのです!
ひとつ残る疑問は、反対していたはずのインドがなぜ賛成に回ったのか?ですよね。
議場が賛成のムードに包まれて反対しづらかったというのもあるのかもしれませんが、古田陽久氏によれば、実はインドも今回、自国の世界遺産登録の候補物件があり、それを通したいという気持ちが強かったのではないかということでした。
ちなみに、ドイツやメキシコなども今回、同様に自国の候補物件があったそうです。
特にメキシコについては、日本側が審議の場で登録に賛成の意見を述べて助けたりしたそうです。
こういった、候補物件を抱えた国との助け合いというか、駆け引きのようなこともあったようです。
あと、イコモスの勧告について、近藤氏は「目に見えない文化的、芸術的なつながりを認めない。われわれの価値観とのずれに悩まされた」そうですが、「名前は言えないが、イコモスの幹部が理解を示してくれた」とも後に述べています。
そのあたり、FNNのインタビューで具体的に話しています(FNN06/24 12:22(前掲))。
「イコモスの公式の見解はもちろん、勧告の通りなわけですけれども、委員国に話をする前にですね、イコモスの幹部で親しい人と話をして、感じを聞いてみると、イコモスが必ずしも一枚岩で、『断固、三保松原反対』と言っているわけではないと。かなり理解を示している人もいるということがわかったので、それをベースに、自信を得て、ほかの委員国にも働きかけを始めたと、こういうことです」
「勧告が出た時は、これは厳しいなと。とても明確な論理を崩すのは不可能かなと思いましたが、先ほどのように、こちらに来てから、イコモスの中にも理解を示している人がいるし、実際に、委員国の中で、イコモスの勧告はなるべく尊重しろという、そういう主義を取っている人に先にアプローチをしたところ、意外とわかってくれるなと。これ、いけるかもしれないと思って、それで、ほかのアジアとか、特に日本にシンパシーを持ってくれるところに働きかけたということで」
イコモスの勧告は厳しかったものの、そこで投げてしまうのではなく、関係各所から情報を粘り強く収集し、最後まであきらめずに働きかけ続けた結果、逆転登録に至ったというわけですね。
この攻防は本当にギリギリまで続いていたようです。
たとえば、静岡県の川勝知事が、現地入りした21日夜(審議前日)に面会したカンボジアの副大臣から「三保松原は無理だ」と言われ、逆転は難しいと思ったという話を披露していますが(読売6/24)、このことからも明らかです。
とにかく今回のことで、私は日本の底力というものを改めて感じました。
近藤長官はじめ代表団の皆さんには、本当にお疲れ様でしたと言いたいです。
(もちろん富士山の世界遺産登録を喜んでばかりはいられません。増え続ける観光客問題やゴミ問題もあります。世界遺産委員会は日本に、2016年までに環境保全状況の報告書を出すよう求めています。これらの問題は機会があればまた書きたいと思います)
さて、今回のことで、「何だ、日本もロビー活動やろうと思ったらできるじゃないか。慰安婦問題もロビー活動がんばれよ!」と思った人は多かったんじゃないでしょうか。かくいう私もそうです。
が、よくよく考えてみると、「三保松原」は短期戦、しかも各国が知識をすり込まれていない状態での、いわば「ゼロからのスタート」でした。
実際、マレーシアの代表は、「日本からの情報により三保松原の重要性を知った」という趣旨の話をしていました。
一方、慰安婦問題の場合は、長年にわたる「マイナスの情報の蓄積」があります。
具体的に言えば、中韓の執拗な「嘘ばらまき」のロビー活動に、日本政府はほとんど有効な反論をしてきませんでした。
しかも、「日本政府も慰安婦強制連行を認めている」と世界に誤解されても仕方のない「河野談話」が未だに放置されており、これが中韓のロビー活動をますます勢いづかせる原因になっています。
皆さんご存知の通り、近年、米国において、議会で慰安婦決議が採択されたり、各地に慰安婦の碑が建てられたりしています。
ニュージャージー州でも慰安婦決議が、2013年3月21日に下院で、6月20日に上院で採択されてしまいました。
これももちろん韓国系のロビー活動により達成されたものですが、「20万人が性奴隷とされ、その4分の3は残忍な仕打ちにより死亡した」という、あまりにも酷すぎる嘘が書き込まれています。
以下の動画は下院の決議文についての解説ですが、上院の決議文もほぼ同じ内容です。
こうした状況を逆転していくのは容易ではないでしょうが、日本政府と日本国民が一体となって、中韓のロビー活動に対抗し、地道にロビー活動を頑張っていくしかないでしょう。
特に日本政府は、海外への情報発信やロビー活動に投入するお金や労力を惜しまないことです。
今年に入って五輪のレスリング除外問題もありましたし、いまや多くの日本国民がロビー活動の重要性に気づいています。
税金を投入することに反対する国民は少ないはずです。
青山繁晴さんは5/1放送「アンカー」でこう言っていました。
「(中韓のロビイストは)ほとんどが例えばアメリカでロビー活動するんだったらアメリカ人です。例えば、これ個別撃破なんですロビー活動って。例えばミシシッピー州選出の議員だったら、ミシシッピーではどんな産業がほしくて、この人は何を頼りに当選してるのかってことをロビイストが、地元事情もよく知ってて、そして米語で、そのネイティブな米語でやるからロビー活動なんですよ。これは何を意味してるかというと、即刻できるってことなんですよ。育てる必要ないんですよ」
「もうはっきり言うと、札束でひっぱたけば、こっちの味方になるわけですよ。そしてそれを、官邸が責任持って、もちろんコントロールしなきゃいけないから、その内閣の中にちゃんとした情報機関を、今の内調のような、ただただその、情報がこう来てるだけじゃなくて、ちゃんとコントロールできるような情報機関を新たに作って、そしてロビー活動開始しない限り、いつまでもこれやられっぱなしになりますよ」
今回の三保松原に関してはもちろん「札束でひっぱたく」なんてことはなかったわけですが、中韓の反日工作を打破していくためには、「札束でひっぱたく」のも場合によっては必要でしょう。
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Comments
橋下発言の後、安倍政権に対して、慰安婦問題にはあえて触れず成果を上げることに専念すべし、という一見もっともらしい論調もありますが、これは事なかれ主義と紙一重で、結果的に日本の立場を後退させるだけとの懸念を持ちます。
おっしゃる通り、東アジアには、ずる賢く、かつヒステリックに歴史をねつ造する反日国家があるのですから、表舞台で形勢不利であればあるほど、裏舞台での戦略的活動がますます重要になってきたと思います。
勝谷さんも、昨日ボイスで
外務省の役人全部首にしてこの人たちを外交にあてたらいい
とか言ってましたね。
外交官もそうだけど、これから衆参の国会議員の立候補資格も
そうした外交安保手腕がなければ
立候補できないようにすべきだと思います。