メディアは「女性天皇」と「女系天皇」の違いを説明せよ
 日本のテレビは概して皇室が好きです。レギュラーの皇室番組もありますし、ニュースやワイドショーは皇室にまつわる話題をよく取り上げます。時にはゴールデンで2時間特番なども組まれます。
 視聴率が取れなければこのように度々取り上げるわけはありませんから、国民の多くは皇室に興味があって見ているということになります。

 特に、昨今の雅子妃殿下の“ご病状”とそれに関連する話題は多くの国民の関心事のようです。
 また、それに派生した形での愛子さま(愛子内親王殿下)の去就問題、すなわち「愛子さまは将来天皇になるべきか、ならざるべきか」という問題についても、多くの国民が関心を持って見守っています。

 が、今のところ愛子さまの去就を深く掘り下げた報道、いわゆる「女系天皇・女性天皇容認問題」に言及した報道はほとんどと言っていいほど見当たりません。
 愛子さまを含め宮家の未来を、ひいては日本の未来を左右する重要な問題ですから、メディアはもっと大々的に伝えるべきだと思うのですが……。

 たまに伝えられたと思っても、言及されるのは「女性天皇」までです。「女系天皇」は除外されています。
 メディアはなぜ「女性天皇」ばかりに言及し、「女系天皇」には言及しないのでしょうか?
 「国民はバカだからどうせ女系と女性の区別もつかないだろう」ってことで最初から取り上げないとか?いやいや、そんなはずはないでしょう。

  ※「女性天皇」と「女系天皇」の区別がつかない人はこちらを。

 各メディアの世論調査によれば、「女性天皇(≒愛子さまが天皇になられること)を容認するべきか?」という質問に対して国民の圧倒的多数(約8割)が「YES」と回答しています。
 が、こういった調査の大半は「女性天皇」に関しての質問であり、「女系天皇」にまでは言及していません。
 (付け加えれば、「YES」と回答した人が理由としてあげる大半は「男女同権」をベースにしたものです)

 なぜ世論調査は「女系天皇」についても訊かないのでしょう?私は非常に危惧しています。
 なぜなら、天皇制を廃絶したい勢力がこの種の世論調査を意図的に利用しているのではないか?と思える場面に、しばしば遭遇するからです。
 ↓例えばこの人。

 女性・女系天皇容認:千数百年の伝統大転換 有識者会議(毎日新聞10/26)より引用
 同様に女性・女系天皇容認派の高橋紘・静岡福祉大教授は「男系男子への固執は、六百年前に現皇室と別れた伏見宮の系統の方を連れて来るということで、国民感情から見ても受け入れられるとは思えない。落ち着くべきところに落ち着いたという感じだ」と歓迎する。「世論調査で『女性天皇』容認が8割を超えていることから見ても、国民が女性天皇を支持していることは明らかで、その国民の声を無視すべきでない」と反論した。

 「国民が女性天皇を支持しているのだから、女性天皇・女系天皇ともに容認すべきだ」?
 何?この暴論。「女性天皇」と「女系天皇」は全くの別物なのに。
 こんなふうに世論調査を“拡大解釈”して利用している女系天皇容認派は、かなりの数に上るのではないでしょうか。

  ※高橋紘氏の言う伏見宮云々についてはこちらに詳しい解説あり。

 なぜメディアは「女系天皇・女性天皇容認問題」を深く掘り下げないのでしょうか。なぜ「女性(≒愛子さま)が天皇になることに賛成ですか?」のレベルですませようとするのでしょうか。

 私はこう推測しています。
 メディアがこの問題を深く掘り下げようとすると、自然と「女性天皇」と「女系天皇」の違いに言及せざるを得なくなります。
 国民がこの違いを知ってしまったら、世論が逆に「女系天皇は容認できない」という方向に傾く可能性があります。
 それは大部分のメディア(≒サヨクメディア)が望んでいない方向です。だから深く掘り下げたくないのではないでしょうか。

 「皇室典範に関する有識者会議」の議事録を見ますと、「世論調査の結果にとらわれるべきではない」的な発言が時々登場します。
 が、これはあくまでも建前で、本音は「世論も女性天皇に賛成が多いし、女性・女系容認で押し切れる」と考えているのだと私は思います。最初から目標は「女系」容認なのです。
 それは彼らが「女性・女系」の違いを国民に啓蒙する気が全くないことからも窺えます。

 ……愛子さまの人気を利用し、「女系天皇」誕生に結びつける。
 2600年以上続いてきた「万世一系」の伝統が途絶える。
 歳月を経るごとに天皇の存在感が薄まっていく。
 それが原因となっていずれ皇室そのものがなくなるかもしれない。
 が、別になくなったらなくなったでいい(中には本気でなくなることを願っている“有識者”もいるかもしれない)。
 どうぜその頃にはもう自分たちは生きてはおらず、従って咎められることもない。……

 実は「皇室典範に関する有識者会議」にはちゃんとした専門家は含まれていません。
 こんないい加減な“有識者”たちが皇族の、そして日本の命運を決めてしまうかもしれないのか、と考えるにつけ空恐ろしくなります。
 私にはこの人たちの安易さが信じられません。正直、神経を疑います。
 「あなた方は何千年も前から日本国民が大事に守ってきた伝統を壊そうとしてるんですよ?自分たちが今やろうとしてることに対して恐怖を覚えないんですか?」と言いたい。

 小渕恵三首相が急死し森喜朗氏が新しい首相になった時のことを、皆さんは覚えておいでですか?
 青木官房長官(当時)と野中幹事長(当時)が「密室会議」によって森氏を首相に据えた、と大々的に批判されたものでした。

 が、今回の「密室会議」の悪質さはこの比ではないのかもしれません。
 皇室の専門家が一人もいないまま、国民不在のまま会議を進め、2600年以上に渡って継承されてきた「男系男子」という日本の伝統を破壊しようとしているのですから。
 極端な話、誰が首相になろうとそれは一時のことです。が、女系天皇の場合、一旦その地位についてしまえば後戻りはほぼ不可能です。

 しかもこれは内政だけの問題ではありません。将来的には外交にも関わってくるのは必至です。
 海外における天皇の“地位”を見くびってはいけません。

 もちろん「皇室典範に関する有識者会議」が「女系・女性容認」の結論を下したからといって、即それが決まってしまうわけではありません。
 ただ、政府はこの会議で出された結論を踏まえ、来年の通常国会に皇室典範改正案を提出する構えでいます。これが通ってしまえば終わりです。

 もちろん政治家の中にも反対派はたくさんいますし、頑張ってくれるとは思うのですが、何せ政治というのは多分に流動的です。
 政局が混乱して、例えば別の問題で野党から(あるいは与党内から)譲歩を引き出すかわりに、この法案を通しましょうとなってしまったり、そういう裏取引みたいなことが行われてしまう可能性もあります。
 そういったことを思えば、早い段階で私たち国民が反対の声を挙げていくことが大切です。

 先ほど世論調査の話をしましたが、「女性天皇」だけでなく「女系天皇」も含めて質問すればまた結果も変わってくるのに……と思っていたところ、↓こういうのを見つけました。

 【調査】女性・女系天皇容認「賛成」77%で、「反対」6%を大きく引き離す
 調査で小泉純一郎首相の私的諮問機関「皇室典範に関する有識者会議」(吉川弘之座長)が「女性・女系天皇」を容認する方針を打ち出したことへの意見を聞いたところ、「賛成」が77%と「反対」の6%を大きく引き離した。

 現制度は「男系男子」に限って皇位継承を認めてきた。調査結果を見る限り「女性天皇」母方が天皇の血筋を引く「女系天皇」のいずれも世論の抵抗は小さいようだ。

 (略)
 ※ソースは日経新聞05.11.02朝刊

 「女系」を含めての質問でも77%が賛成という結果が出たと。
 しかし私は問いたい。賛成77%のうち一体何%の人が、「女性天皇」と「女系天皇」の違いをちゃんと理解しているのか?と。

 メディアは「女性天皇」と「女系天皇」の違いをちゃんと伝えて下さい。その上でもう一度世論調査をしてください。
 そこまでやってもこの結果であれば、私も諦めます。

 そんな今日この頃、「伝えないメディア」を実感する出来事がありました。
 昨日(11/3)から今朝にかけ、三笠宮寛仁殿下のこのような発言がニュースとして報道されたのです。

女系天皇容認に異論 三笠宮寛仁さま
 三笠宮寛仁さまが、自身が会長を務める福祉団体の会報のコラムで、皇位継承資格について、男系維持を主張し、女性天皇の子に皇位を継がせる女系天皇の容認に異論を示す文章を掲載されていたことが3日、分かった。
 首相の私的諮問機関である皇室典範に関する有識者会議は、女性、女系天皇を容認する方針を決め、吉川弘之座長が10月に発表。11月末をめどに最終報告のとりまとめ作業に入っている。
 寛仁さまは「“身内”の小冊子と理解し“プライベート”に語る」として私見をつづっている。憲法が「天皇は国政に関する権能を有しない」と規定し、皇族も準じるとされることを念頭に置いたとみられる。
(共同通信) - 11月3日18時50分更新

 西日本新聞11/4付に、今回のコラムについての殿下の談話が掲載されています。
 会報は柏朋会が金銭面などで支援している福祉団体など友好団体や個人に六百部発送しているもので、売り物ではありません。(皇位継承資格の問題は)有識者会議が議論していて、既に政治の分野に入っています。
 市販されている物には載せる気はありません。六月に柏朋会の内輪の総会でミニ講演し、同じ趣旨の話をしました。(コラムを書いたのは)それを文字に残したいと思ったからです。
 愛子さまが女帝になるのは結構なんですが、配偶者が必要になってきます。世界で唯一の万世一系が続いてきたということは、百二十五代変わらず男系を変えずにきたことに国民が敬意を示してきたのでしょう。
 ただ、やはり私たちは政治的な発言はできないので、ああいう形でしか言えません。

 一般国民の私ですら「万世一系を私たちの世で絶やしてしまうなんて耐えられない」と思うのです。殿下におかれてはなお一層そういうお気持ちがお強いはずです。
 言える立場にないと理解されながらも、皇族の一人として言わずにはおれなかった、そういう複雑なお気持ちが伝わってきます。

 皇族の方がこの種の“異質な発言”をされた場合、メディアは大きく取り上げるものです。
 新聞は各紙大なり小なり報道しているようですが、テレビではあまり大きくは報道されていません。全く報道していないのではないかと思われるテレビ局もあります。
 たとえばNHK。私は昨日(11/3)の午後7時、午後9時のニュースを全編見ました(10時のニュースは見てません)。今朝の7時台のニュースも一通り見ました。が、殿下のご発言のニュースは一度も見ませんでした(もしかしたら見落としがあったかもしれません。その場合はご指摘下されば幸いです)。

 皇室関連ならとにかく食いつくはずのワイドショーでの取扱いも、今のところ皆無です。ニュースコーナーなどで扱った番組はあったかもしれませんが、少なくとも私は一度も見ていません。

 新聞にもおかしな報道をしているところがあります。
 特に読売。一体どうしちゃったんでしょう??
 ↓Yahooニュースの各紙見出しを比べて下さい。

三笠宮さま 女系天皇容認に異論 団体会報コラムに私見 - 西日本新聞 - 九州

歴史と伝統「変更して良いか」=女系天皇容認に疑問−寛仁さまがエッセーに - 時事通信 - 社会

女系天皇容認に異論 三笠宮寛仁さま - 共同通信 - 社会

三笠宮寛仁さま、女性天皇容認に疑問…会報にエッセー - 読売新聞 - 社会

 三笠宮寛仁殿下は「女系天皇」容認に異論を唱えてらっしゃるのに、読売は見出しが「女性天皇」になっています。
 最初はYahoo!ニュースの見出しが間違っているのかもと思いましたが、読売新聞サイトの元記事もこうなっていました。
 ↓
 三笠宮寛仁さま、女性天皇容認に疑問…会報にエッセー
 三笠宮寛仁さま(59)が、自身が会長を務める福祉団体の会報で「女性天皇」に触れ、「歴史と伝統を平成の御世(みよ)でいとも簡単に変更して良いのか」と、疑問を投げかけられていることがわかった。

 記事本文もこのようになってるので、読売の“誤植”でないのは明らかです(記者が無知で「女性」と「女系」の違いを知らないというならまた別ですが)。

 ↓朝日新聞ですら「女系」と書いてあるのに。

 寛仁さま、女系天皇に異論 「ひとり言」と随筆
 三笠宮寛仁さま(59)が、女性・女系天皇を容認することについて、異議を唱える趣旨の随筆を自ら会長を務める福祉団体「柏朋会」の機関誌に寄稿していたことがわかった。
 
 ↓読売はこのような社説も書いています。

 読売社説:[女性天皇]「有識者会議の結論を尊重したい」(10/28付)
 皇位継承の時代的な変遷、海外の王位継承制度など、皇室制度がこれほど多角的に検討されたことは、かつてあっただろうか。有識者会議に代わるような議論の場も考えにくい。10人の委員全員の一致した結論であるなら、尊重していいのではないか。

 最初これを見た時、信じられませんでした。朝日じゃなく読売がこんな強引なこと書くのか!?と。

 ちなみに読売はこの翌日に、[靖国参拝問題]「国立追悼施設の建立へ踏み出せ」(10/29付)と題した社説を発表、「A級戦犯が合祀されている靖国神社に参拝するのはおかしい」「A級戦犯の分祀が出来ないなら、無宗教の国立追悼施設を建立するしかない」とのたまっています。

 読売の最近の“転向”については、中曽根元首相とナベツネの関係がどうのとか、読売社説執筆陣の中に変な人が混じっているのでは?だとか、いろいろ言われていますが、とにかく読売の論調には今後も注意が必要です。

 それにしても「人権擁護法案」といい、大事な問題はなぜこうもテレビでは取り上げられないのでしょう。安易に陰謀論には走りたくはありませんが、やはり何か政治的な意図を感じてしまいます。


※参考ニュースリンク
 ●Yahooニュース国内トピックス〜女性天皇の検討
 ●皇室典範会議 女性・女系を容認 政府、通常国会に改正案(10/26)
 ●女性天皇:麻生外相「慌てて決める話でない」(11/4)
  =中川昭一氏とのツーショット写真も必見(^_^;
 
※参考になるサイト(随時追加します)
 ●天皇家の万世一系(男系)による皇位継承という伝統を守ろう!
  =2ch有志によるまとめページ。わかりやすいQ&A付。
 ●〔ブログ散策〕今回のテーマは、天皇制の危機!
  =「和の空間」さんによる充実リンク集
 ●日本の心を育むネットワークさん:皇室カテゴリ
  =朝日新聞皇室担当記者も女系容認に疑問を呈している。
 ●女性天皇容認論を排す 男系継承を守るため旧宮家から養子を迎えればよい
  =日本財団図書館より、八木秀次氏(高崎経済大学助教授)の論文。
 ●新・へっぽこ時事放談さん10/24付「ホリエモンの「反・天皇」発言の背後にあるもの」
  =後半部分の渡部昇一さんの体験談は必見です。

※抗議の声を届けましょう
 ●首相官邸ホームページ ご意見募集フォーム
 ●内閣官房ホームページ ご意見募集フォーム

※拙ブログ関連エントリー
 ●10/27付『女系天皇は容認できない』
 ●11/5付<メディアは「女性天皇」と「女系天皇」の違いを説明せよ」
 ●11/7付「「たかじん委員会」是か非か“女性・女系”の天皇」
 ●11/10付「「ムーブ!」女帝容認論に異議噴出」
   ・
   ・
   ・
 ●1/22付:皇室典範〜女系天皇阻止メール大作戦に関連エントリー一覧作成

 !!!女系反対・男系賛成の皆さん、ぜひご協力下さい!!!
 ●●●1/22付:皇室典範〜女系天皇阻止メール大作戦●●●
 メールアドレス帳は「スパイ防止法案上程」「人権擁護法案阻止」「外国人参政権阻止」等にも是非ご活用下さい。
 お薦めブログ(1)Dr.マッコイさん/お薦めブログ(2)衣川康人さん/お薦めブログ(3)毒吐き@てっくさん


★このブログが面白かったらクリックして下さい→人気blogランキングへ
________________________________________________
★トラックバック下さる方へ
当ブログには「トラックバック保留機能」が装備されています。詳しくはこちらをご覧下さい。
なお、ブログの種類によってはトラックバックの送信が反映されないことがあります。詳しくはこちらの一番下をご覧下さい。


Posted by くっくり 01:55 | 皇室 | comments (28) | trackback (22)