朝日と産経の“交換日記”まとめ(「つくる会」教科書編もあり)
■「朝日と産経の“交換日記”再び?!」続報

 1/7付朝日夕刊「窓」に対して産経抄の反論キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!!

1/11付産経抄
 朝日新聞夕刊のコラム「窓」から貴重な事実を教えていただいた。昨年十月の小泉首相の靖国神社参拝について、「もろ手をあげて支持したのは産経だけである」そうだ。

 ▼なるほどさもありなん。『論座』二月号では、読売新聞の渡辺恒雄主筆と朝日新聞の若宮啓文論説主幹が対談して、「首相の参拝反対」と「新たな追悼施設の建設」で意見の一致をみていた。発行部数一位と二位の新聞の“共闘”に意を強くしたわけではあるまいが、中国がまたとんでもないことを言い出した。

 ▼北京で開かれている日中両政府の非公式局長級協議で、日本国内の「中国脅威論」に「日本のメディアはなぜ中国のマイナス面ばかり報道するのか」といらだちを示したという。あろうことか「日本側(政府)も中国のようにメディアを指導してほしい」と報道規制まで求めてきた。

 ▼かつて始皇帝は書物を焼き、批判的な儒者を生き埋めにした。さすがは焚書坑儒(ふんしょこうじゅ)を歴史にとどめる国である。中国当局による「遺憾な行為」で、上海総領事館員が自殺した問題について強硬姿勢を崩さないのも、中国側からすれば、日本政府の指導が足りないから明るみに出たということか。

 ▼いまさらこの国に、言論の自由の意味を説いても詮(せん)無いこと。小欄は中国のプラス面を取り上げることにやぶさかでない。さりとてミサイルの矛先や原潜の領海侵犯について注意を喚起しないわけにはいかない。まして、日本人の「心の問題」である靖国参拝を外交問題にするな、との立場は変わらない。

 ▼「窓」のおかげで、そんな意見が新聞界では少数派だとわかった。それがどうしたというのだ。そもそも多数派を誇るなんて、少数意見の尊重を謳(うた)ってきた朝日新聞らしくもない。

 途中までは変化球。最後はドーンと直球?(^_^;
 ただ、これまでの流れを見るに、産経が言いたいのは「小泉首相に『新聞の言うことを聞け』だなんて傲慢だよ。言論人ぶってるけど朝日の影響力なんてもうそんなにないでしょ。そもそも新聞ってそんなに偉いの?」ということだと思うので、そのへん、もうちょっとわかりやすく表現すべきだったかも。

 少数意見の尊重を謳ってきた朝日、確かにねぇ。未だに朝日は社民党的な“一国平和主義”を夢見てますしね。

 「それがどうしたというのだ」にはウケた(≧∇≦)!
 でもテンプレート化するには弱いかな?(^_^;
(テンプレの例=朝日新聞「だが、心配のしすぎではないか」、東京新聞「なあに、かえって免疫力がつく」)

※今回の朝日と産経の“交換日記”まとめ

(1)1/5付 朝日社説:首相年頭会見 私たちこそ理解できぬ 
 (リンク切れの際は拙エントリー1/6付をどうぞ)
 「全国の新聞のほとんどが参拝をやめるよう求めている。小泉首相は、少しは『言論人』らの意見にも耳を傾けてはどうか」

(2)1/6付 産経抄
 「『全国の新聞のほとんどが参拝をやめるよう求めている』というのは誤植ではないか。今や朝日の言説に『ほとんどの新聞』や『言論人』が肯(うなず)く時代ではない。言論人イコール朝日人という論法は理解できない」

(3)1/7付 朝日夕刊「窓」
 「朝日の言説に『ほとんどの新聞』が肯く時代ではないという指摘に異論はないが、多くの新聞は靖国参拝をやめるように求めている。新聞協会報によると、全国48の新聞が社説を掲げた。その論調は参拝に反対する主張が圧倒的だ」
 (くっくり注:新聞協会所属の新聞は108。社説を掲げた48新聞のうち参拝に反対する主張が何社あるのかは不明。詳しくは拙エントリー1/9付を)

(4)1/11付 産経抄 ←いまココ
 「朝日『窓』のおかげで、日本人の『心の問題』である靖国参拝を外交問題にするな、という産経の意見が新聞界では少数派だということがわかったが、それがどうしたというのだ。そもそも多数派を誇るなんて、少数意見の尊重を謳(うた)ってきた朝日新聞らしくもない」

 ↓ついでにまとめてみました。

※前回の朝日と産経の“交換日記”まとめ【2005年「つくる会」教科書編】

 各紙社説の全文はDr.町田のホームページさんで。

(1)4/6付 朝日社説:「つくる会」 こんな教科書でいいのか
 「今回の検定では『つくる会』の歴史教科書から日本武尊の神話がなくなり、特攻隊員の遺書も消えた。が、天皇の重視は変わらない。何よりも問題なのは、光と影のある近現代史を日本に都合よく見ようとする歴史観が貫かれていることだ。日本を大切に思うなら、他国の人が自分の国を大切にする心にも敬意を抱くべきだ。そうであってこそ、周りの国と互いに理解を深めることができる。 『つくる会』の歴史教科書は、そのバランスを欠いている。4年前、朝日新聞は社説で、教室で使うにはふさわしくないと主張した。今回も同じことを言わざるをえない。 保護者や教師も目を凝らし、国際社会を生きる子どもにふさわしい教科書をそれぞれの地域で選んでほしい」

(2)4/7付 産経社説:教科書問題 驚かされた朝日新聞社説
 「朝日新聞の4/6付社説に驚いた。特定の教科書を排除し、自由な言論を封殺するものだ。 採択の時期に一社だけを狙い撃ちするような社説は、教育委員に不必要な予断を与えかねない。 朝日新聞は4年前の前回採択でも扶桑社を集中攻撃し、扶桑社教科書の不採択運動を助長した。『つくる会』のメンバーが執筆陣に加わった教科書を快く思わないからといって、それだけを排除しようとする朝日新聞の態度こそ偏狭ではないか。 いろんな教科書があっていいし、そうあるべきだ。教育委員らが読み比べ、子供たちに最も良いと思われる教科書を選ぶのが採択である。そのためには、外国の圧力や国内の特定政治勢力の妨害に左右されない静かな環境が必要である。すでに、中国と韓国が朝日新聞に同調し、扶桑社非難を始めている」

(3)4/8付 朝日社説:産経社説 こちらこそ驚いた
 「朝日新聞はこれまで『検定はできるだけ控えめにすべきだ』『教科書は多様な方がよい』と主張してきた。それでも、『つくる会』の歴史教科書を取り上げて批判したのは、やはり教室で使うにはふさわしくない、と考えざるをえなかったからだ。『つくる会』の教科書は、歴史の光の面を強調しすぎて、影の面をおざなりにしている。他社に比べてバランスを欠いている。他国の人たちに十分目配りをしなければ、正しい歴史を次の世代に伝えることはできない。また、産経は自らがかかわっている教科書を自社の紙面で宣伝してきた。扶桑社の営業担当者は検定中の申請本を各地の教員らに渡していた」

(4)4/9付 産経社説:朝日社説 本質そらしてはいけない
 「朝日は例によって論点をすり替え、疑問に答えていない。多様な教科書が必要だとすることと、特定教科書を排除することは矛盾する。朝日はいつから二重基準を持つようになったのか。日本の教科書は中国や韓国の国定教科書とは違う。多くの選択肢が保障されていることに、日本の教科書採択制度の本質がある。 『産経が自らかかわった教科書を自社の紙面で宣伝してきた』という指摘は完全な事実誤認である。当初は、産経が教科書を発行し、扶桑社が発売する予定だったが、十一年の旧文部省の指導で、発行と発売が扶桑社に一本化された。それ以降、産経は教科書の編集に一切かかわっていない。朝日は論点すり替えで、もうこれ以上、驚かさないでほしい」

(5)4/10付 朝日社説:産経社説 「封殺」の意味をご存じか
 「重ねての筋違いな批判には驚くしかない。私たちが扶桑社版を批判したのは、この教科書が日本の歴史の光の面を強調しながら、影の部分をおざなりにしており、その落差が他社の教科書に比べてあまりにも際だっているからだ。検定に合格させるなとか、販売をやめろと主張したわけではない。問題があると判断して、論評しただけである。それが、なぜ『言論の封殺』になるのか。産経や月刊誌『正論』も朝日新聞をしばしば集中的に批判してきたが、私たちは『言論の封殺』などと思ったことはない。また、産経新聞と扶桑社は同じフジサンケイグループ。当初の経緯からも『かかわり』がないとは言えない」

(番外)4/7付 産経:“こんな社説でいいのか”朝日に「藤岡・つくる会」副会長反論
 「朝日新聞の社説は、採択妨害であり異常だ。『天皇の重視は変わらない』と批判するが、この論説委員は文部科学省の学習指導要領を読んだことがあるのか。そこには『歴史に関する学習との関連も図りながら、天皇についての理解と敬愛の念を深めるようにすること』とある。それとも朝日は戦前以来の共産党の『天皇制打倒』という見地にいまだに立っているのか。『光と影のある近現代史を日本に都合よく見ようとする歴史観が貫かれている』というが不当な中傷だ。社説が例示した『日本を解放軍としてむかえたインドネシアの人々』という囲み記事には『ロウムシャ』『ケンペイ』などの現地語化した言葉まで挙げて、日本軍による占領の過酷な側面もしっかり記述している。読者が実物に接することができないのをよいことに、事実に反する先入観を注入するペテンは許されない。(1)書かれていないことをあげつらう(2)検定で修正済みの原文を引用する(3)会員にしか配布しないつくる会の会報まで引用する−など批判の仕方がアンフェアで常軌を逸している」

〈参考までに……〉
 これらのやりとりに対する私の所感などは旧ぼやきくっくり05年4月分の4/6付〜4/11付のあたりを参照。
 教科書問題に関する産経の一連の記事はこちら。
 昨年5/10に行われた「つくる会」記者会見 (外国特派員協会)起こし全文はこちら。


 さて、今日も朝日社説と産経社説は対照的。

1/11付朝日社説:日中対話 政治家の姿を見たい
 首脳や外相の会談ができないまま、関係悪化に歯止めがかからない日中間で、両政府の局長級による非公式協議が北京で開かれた。

 協議は4時間以上に及び、中国脅威論やメディア報道のありようにも触れて中身の濃い話し合いが行われた。

 日本側出席者は会談後、「そういうところから解きほぐしていかなければならない日中関係の現状がある」と語った。

 関係が悪化した現実を認め、まずは互いの懸念や注文を述べ合う。そんな率直な意見が交わされたことを歓迎したい。

 「日本国内では中国脅威論が非常に高まっているが、日本はどう見ているのか」。中国側からは、日本の対中観の基本を問いただすような質問が出された。

 日本側は「日本だけが一方的に悪いという主張は受け入れられない。中国としても反省すべき点があるのではないか」と切り返した。上海の日本総領事館員自殺問題についても「背後に遺憾な行為があった」と抗議した。

 この協議はもともと、東シナ海の天然ガス田の開発をめぐる日中協議を動かすため、実務的な立場から接点を探ろうというのが主要な目的だった。

 にもかかわらず、両国関係の基本にかかわる話し合いに多くの時間が割かれた。本来なら政治家同士が大局的な見地から交わすべき会話だったろう。


 さらに言えば、こうした率直な協議の土台にあるべきなのが相互信頼であり、友好関係を築きたいという双方の意思であるはずだ。そこは最高指導者、つまり日本の首相と中国の国家主席に確認しあってほしいところなのに、そのパイプが詰まってしまっている。

 経済交渉で丁々発止とやり合わなければならない実務者が大局論も担わざるを得ないところに、両国が立ち至ったいまの異常な状況が象徴されている。

 協議のなかで、日本のメディアが中国の否定的な面ばかりを報じると中国側が不満を示した。「良い報道がなされるよう中国はメディアを指導している。日本政府も指導すべきだ」と述べたという。

 日本の一部のメディアに、眉をひそめるような感情的な中国攻撃があるのは事実だ。もっと前向きな報道が増えるよう良好な関係にすべきだというなら大賛成だが、政府がメディアを「指導」することは民主国家では許されない。

 中国でも環境汚染などで当局を批判する報道が出てきた。自由な言論は民主主義の根幹であることを改めて指摘しておきたい。

 急成長する中国との間では、さまざまな面で摩擦が避けられない。アジアにおける主導権争いも絡んでくる。双方で高まりつつあるナショナリズムとどう折り合いをつけ、両国関係の土台を固めていくかは政治家の仕事だろう。

 このところ日中の交流に政治家の姿が見えないのは寂しい限りだ。官僚の協議も大事だが、一日も早く外相や首脳の対話を実現させてもらいたい。

 「協議の主要な目的は東シナ海ガス田だったのに、他のことに時間が割かれた」と批判してますが、 かく言う朝日も「ガス田」より「中国脅威論」に多くの紙面を割きましたよね?
 ・日本の「中国脅威論」に懸念表明 局長級協議で中国側(1/9付朝日)

 「日本の一部のメディアに、眉をひそめるような感情的な中国攻撃があるのは事実だ」、これすごいですね。『中国攻撃』。『攻撃』。『批判』でなく『攻撃』。
 さすがに「右傾化が進む」日本のことだけはある。日本の一部メディアは、中国と砲火を交えぬ戦争をやってるんですね!o(;-_-メ;)o ドキドキ

 だけど一方的すぎません?「中国のほとんどのメディアに、眉をひそめるような感情的な日本攻撃がある事実」はスルーですか?
 また、「日本のメディアの一部に、眉をひそめるような感情的な中国擁護があるのも事実」なんですが(あんたらのことやで!)、これも見ない振り?あ、あと「感情的な米国攻撃」もね。

 今日のエントリーの上の方に載せたけど……本来教科書採択は公平であるべきものなのに、その採択の時期に「反『つくる会』キャンペーン」を繰り広げ、「つくる会」教科書の採択を妨害した朝日新聞に、「自由な言論は民主主義の根幹であることを改めて指摘しておきたい」などと言う資格があるんですか?

 朝日社説は「中国でも環境汚染などで当局を批判する報道が出てきた」と、以前はそういう報道が全くなかったかような書き方をしてますが、中国では「役人の汚職や腐敗」を批判する報道などは以前からされています。中央政府系メディアが地方政府を批判したりすることもよくあります。国民の怒りが中央に向かないよう、時々そういうのを報道してガス抜きさせてるんでしょう。
 しかし「政権批判」(中共の存在そのものの是非を問うたり、中共の政策を批判するなど)は絶対に許されません。そのことは朝日新聞の方が良く知っているのでは?

 参考までに引用↓

米セミナー 中国メディア、反日の「要」 共産党が徹底支配「弾圧」(11/1付産経)
 米国議会系のラジオ局「自由アジア放送」のダン・サザランド副会長は中国のメディアはすべて共産党の徹底した支配下にあると証言し、当局の統制が最も厳しいテーマとして(1)汚職(一定水準以上の幹部に波及しないことが確実な場合を除く)(2)貧富の差(3)当局への住民の請願(4)宗教(5)毛沢東時代などの歴史(文化大革命や大躍進での犠牲者数など)(6)チベット、ウイグルなど少数民族の動向(7)台湾内部での出来事−などをあげた。

 政権批判が許されないことの一端を示す最近のニュース2本↓

「新京報」編集局長更迭か 中国(12/29付共同通信)
 【香港29日共同】29日付香港各紙によると、当局の規制下にありながら比較的自由な報道で知られる中国紙、新京報の楊斌編集局長ら幹部3人が28日、解任された。詳細は不明だが、当局の意向に沿わない報道を続けたことを理由とした事実上の更迭とみられる。後任は同紙に出資し、より「保守的」とされる北京の光明日報関係者が務めるという。
 新京報は、光明日報と中国広東省の南方日報が出資。政府の報道規制を破り、2003年の新型肺炎(SARS)再発を報じるなどした広東省の南方都市報の程益中・元編集局長が初代編集局長を務めた。程氏はSARS報道後、汚職の疑いで拘束された。

中国の人気ブログ「当局要請で閉鎖」 米マイクロソフト(1/7付産経)
 中国でブログ(日記風インターネットサイト)の開設サービスを行っている米マイクロソフト(MS)が、鋭い社会分析や当局批判などで知られる中国人ジャーナリスト、趙京氏の人気ブログを昨年末に閉鎖していたことが分かった。7日付香港紙、蘋果日報などが伝えた。
(中略)
 AP通信によると、MSは中国当局の要請で閉鎖したと釈明。当局の言論規制に協力したとみられる。香港紙などによると、趙氏は同社からの説明がないと反発し「知識や自由への迫害は、文化大革命の時代にも劣らない」と憤った。

 朝日はまるで、「中国でも自由な言論が許され始めているし、民主主義の国になる日も近いぞ〜」みたいな書き方してますが、私は騙されませんよ。

 はい、お口直し。↓

1/11付産経社説:日中協議 報道規制はできぬ相談だ
 東シナ海のガス田開発などをめぐる日中局長級協議で、中国は日本で高まる「中国脅威論」にいらだちを示し、「日本のメディアはなぜ、中国のマイナス面ばかり報道するのか。日本側(政府)も中国のようにメディアを指導してほしい」と報道規制を求めた。

 「中国脅威論」は、民主党の前原誠司代表が昨年暮れに米国と中国を訪問した際、「中国の軍事力増強は現実的脅威だ」などと発言したことをきっかけに表面化し、活発に議論されるようになった。中国がいらだつ「日本のメディア」がどこを指したものか分からないが、前原発言をめぐって新聞各紙の社説は分かれている。

 「前原氏のやり方は稚拙に過ぎる」(朝日)、「党内論議を抜きに、外遊先で党代表として発言するのはいささか軽率だ」(毎日)。これに対し、「中国の軍事大国化は地域の安全保障を脅かす要因となっている」(読売)、「日本の国益を優先しようという前原路線を明確にした」(産経)と前原発言を評価する論調もある。

 民主党内でも、前原氏の対中認識への意見は支持と批判に二分され、外遊後の党大会で賛否両論が交わされた。政府・与党内でも麻生太郎外相が「(中国の軍事力増強が)かなり脅威になりつつある」と発言したのに対し、山崎拓自民党元副総裁は「大変な対立や一層の緊張が生まれる」と批判するなど、さまざまな意見がある。

 中国は日本理解が足りないのではないか。言論の自由が許されていない共産党独裁国家の中国と違って、日本では報道規制はできない相談だ。中国は、自国の価値観を他国に押し付けることがいかに非現実的かを分かっていないわけではないだろうに。

 肝心のガス田問題で、中国は日本の共同開発案に難色を示し、次回協議で新提案を行うとした。その一方、中国はガス田と結ぶパイプラインを建設し、民間機を装った中国軍機に偵察飛行させるなどして、自国だけで開発を進めている。

 協議しながら開発を続けるのは、中川昭一・前経済産業相が指摘したように「右手で握手しながら左手で殴るようなこと」だ。中国の既成事実化を許さないために、日本は試掘の準備をさらに急ぐべきだ。

 ちなみに「民間機を装った中国軍機に偵察飛行させる」というの、うちではまだ紹介してませんでしたが、このニュースのことです。
 ・中国軍機 民間機装い偵察飛行 東シナ海 自衛隊電波を収集(1/8付産経)

 お口直ししてもらった後で何なんですが、↓東京新聞がまた変。

東京新聞「私説・論説室から」『心の問題』ならば
 「心の問題」−小泉純一郎首相が年頭記者会見で靖国参拝の動機を表現した言葉に引っかかっている。それほど戦没者の慰霊にこだわるなら、放置されたままの遺骨はどうかと思ったからだ。

 太平洋戦争の海外戦没者二百四十万人のうち、なんと半数近くの百十六万人の遺骨はいまだに回収されていない。フィリピンで死んだ私の父親もその一人である。戦争直後、遺族は何も入っていない木箱を受け取り、葬式を出した。

 政府は一九七〇年代までは計画的に遺骨収集をしたが、その後は遺族や民間の有志らがほそぼそと続けている。その気になれば五、六十万人分は収集可能ともいわれる。

 「今日の平和は戦場で命を失った方々の尊い犠牲の上に成り立っていることを片時も忘れてはならない」

 首相は昨年十月の靖国参拝時にこう述べたが、遺骨収集に積極的な対応を指示したとは聞いていない。風雨にさらされ朽ちるままの遺骨の鎮魂は気にならないのか。戦死者はすべて靖国にまつられているから、そこを参拝すれば足りると考えているのだろうか。

 もともと首相の靖国参拝は、総裁選での公約、「政治の問題」だった。しかも、戦争責任者の合祀(ごうし)をめぐって国論は二分し、近隣諸国の厳しい批判を招いている。これでは無謀な戦争と思いながらもこの国の将来の安寧を願って死んでいった人たちの「尊い犠牲」は何だったか。

 首相は毎年全国戦没者追悼式に出ている。もう一つのこだわりが遺骨収集だったらとも思う。素直に慰霊の気持ちが伝わる言動であってこそ「心の問題」というにふさわしいのでは。 (小林一博)

 遺骨問題に言及したことは評価しますが、ただ、東京新聞は戦死者のことをそこまで気遣うのなら、なぜ靖国参拝に反対するんですか?戦死者は遺骨の有り無しに関係なく、全員靖国神社に祀られているんですよ?
 それを踏まえて考えてみると、「闇雲に靖国参拝反対と言ってももう誰も聞いてくれないから、矛先を変えてみた」としか思えないんですが(遊就館を攻撃するのと同じような戦法)。

 小林一博氏は昨年6/15付「私説・論説室から」でこう書いてます。
 首相の参拝が近隣諸国との確執の原因になるのでは、せっかく「奉公」を信じた死もむなしくなる。私の父親も靖国にまつられているはずだ。英霊などと言われなくてもいいから、ただ安らかに眠らせてやってほしいと思う。

 首相の参拝は昔から行われてきたことです。近年になって中韓が政治的な理由で抗議をしてきていますが、それまでは当たり前のように行われてきたことなのです。
 小泉首相が毎年参拝を続けてきたことで、「靖国カード」は無力になりつつあります。戦没者を「本来の安らかな眠り」に戻してさしあげるには、まず日本側が“近隣諸国”を煽る報道をやめることです。
 小泉首相の参拝を批判したいがために遺骨問題を持ち出したのだとしたら、これほど戦没者やご遺族に対して無礼なことはありません。

 また政府はもう何もしてないみたいな言い方をしていますが、厚生労働省は遺骨収集を行っています。
 報道発表資料を見ると、去年1年だけでも「遺骨収集等慰霊事業のお知らせ」という文書が8件あります。
 四の五の言う前に小林一博さんも遺骨収集に参加されてはどうでしょう。

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Posted by くっくり 01:05 | マスコミ | comments (8) | trackback (4)
コメント
遺骨収集と簡単にいうけど現実には難しい問題があって、日本側の事情だけでは進められないと聞いたことがあります。
外国の土地を掘り返すことになるのですから当然といえば当然。遺骨収集というのは相手国の善意に依拠する部分が多いんですけどね。東京新聞の記者は理解が浅いですね。
Posted by Koko | URL | 06/01/12 11:39 | rpMKkMqg

>政府は一九七〇年代までは計画的に遺骨収集をしたが、その後は遺族や民間の有志らがほそぼそと続けている。

東京新聞の記者さん
厚生労働省のホームページぐらいチェックしてから記事を書いたほうがいいのでは?
規模は小さいとは思いますが、依然として国は遺骨収集
を継続しているみたいですよ。

厚生労働省のホームページ↓

http://www.mhlw.go.jp/bunya/engo/seido01/
Posted by 名無し | URL | 06/01/12 11:49 | qGJ0lWkk

遺骨収集団が民間の有志だけだと思っている当たり、東京新聞は千鳥ヶ淵戦没者墓苑には関心がないことがよく判りました。

慰霊の有り様は靖国だけじゃないのに、視野狭窄しまくってますな。
Posted by 佐倉河 | URL | 06/01/12 12:41 | E3Law.hQ

私は赤旗(=共産党)よりも朝日・東京(=社民党)に我慢がなりません。主義主張は各誌違っていてもいいです。でも、
(1) 事実と意見の区別ができていない
(2) 論点を首尾一貫して保持できない
(3) 自己矛盾が多く、主張論理が成り立たない
これでは、「新聞」の定義を冠することはできないでしょう。小学生の学級壁新聞にも達していません。「作文」以前の問題です。私が産経新聞を評価する理由は、主張内容は当然のこと、記述の中に論理的な矛盾が極めて少ないからです。産経の「報道」に対する信念と態度に、私も何らかの形で報いたいと思います。
Posted by 未定 | URL | 06/01/12 13:37 | Pty.DGCs

産経新聞、読んでいて胸がすく記事が多いので、一番取りたい新聞です。実際、かつては取っていたのです。

しかし、あまりにちらしの数が少なく、また、ある特定の曜日になると配達されないことが続くと行った問題があり、
今は別の新聞にしています。

未定さんがおっしゃるように、何らかの形で産経に報いたいのですがね・・・
Posted by nico | URL | 06/01/12 13:50 | lS3X9Jd6

未定さん

>私も何らかの形で報いたいと思います。

nicoさん

>何らかの形で産経に報いたいのですがね・・・

私は北海道在住なので 道新wを読んでいますorz
 
ご存知かもしれませんが 【産経NetView】をお勧めします。 特に下記のプロバイダーなら手続きも簡単です!

   AIJ @nifty ocn BIGLOBE So-net

上記以外でも 可能ではあります。詳しくは産経のホームページへ(^-^)

参考記事 http://hiton.seesaa.net/article/7446698.html
Posted by hiro | URL | 06/01/12 15:07 | Xje89vUc

おおお、hiroさん、THANX! では、さっそく。
Posted by 未定 | URL | 06/01/12 22:25 | muVuU9sw

亀レスすみません、早速行って来ます!
Posted by nico | URL | 06/01/13 13:43 | lS3X9Jd6

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Posted by 依存症の独り言 | 06/01/12 11:14

産経が朝日をカウンターパンチでKOしている件
どうも計算ずくのような気がしないでもないw mumurさんやくっくりさんのところで散々指摘されてきた朝日新聞のダブルスタンダードのみっともなさを、ばっちり指摘しています。 この調子でどんどんやれw
Posted by 涼風庵(女系天皇制の国会通過を阻止せよ!) | 06/01/12 11:35

日中対話 政治家の姿を見たい〜朝日新聞の社説より〜
1月9日、北京で日中両国の外務省官僚による「日中局長級非公式協議」が行われました。日本側は東シナ海のガス田開発や日中関係をめぐる意見交換を目的としていましたが、ガス田の共同開発案に対しては中国側の新たな提案について次回の公式協議で提案することで決裂、さら...
Posted by Y\'s WebSite : Blog 〜日々是好日〜 | 06/01/12 20:31