「アンカー」タンカー爆発&米国防総省「年次報告書」と58年分のツケ
■8/18放送「アンカー」青山繁晴の“ニュースDEズバリ”
ホルムズ海峡のタンカー爆発事件の深層、米国防総省が発表した中国の軍事動向に関する「年次報告書」の解説など、今週も盛り沢山です。
間投詞(「あの」「その」など)や言い直しもできるだけ再現しました。但し、細かい相づちなどは支障のない範囲でカットしています。
画像はYouTubeで拾ったビデオからキャプチャさせていただきました。
※私の使っているMacOS9でついにYouTube視聴ができなくなりました。
裏技使ってキャプチャしたので画像が粗いですが、ご容赦を<(_ _)>
内容紹介ここから____________________________
(まずはVTRでストレートニュース)
■ホルムズ海峡商船三井タンカー損傷事故 調査委員会第1回会合 前原国交相も出席(FNN8/18)
山本浩之
「このニュースにつきましては、先週の青山さんの“ニュースDEズバリ”のコーナーでも触れられました。で、このあとの、今日の“ニュースDEズバリ”のコーナーでも詳しく解説をしていただけると、聞いております」
青山繁晴
「はい。あの、まずですね、皆さんあの、今のニュースご覧になってね、あの、おかしいなと、お感じになる方もいらっしゃると思うんですよ。というのは、これ7月28日に起きたことですね。もうそろそろ1ヶ月に近づいてて。えー、起きてから20日ぐらいの間は、要するにタンカーがへこんだだけ、で、インド人の乗組員の方が1人軽傷を負っただけ、だから大したことないっていうふうに、日本の国内報道は全般にそう流れていて」
山本浩之
「そうですね」
青山繁晴
「で、その中で『アンカー』は、まあヤマヒロさんおっしゃった通り、1週間前に、いや、重大なテロ事件の可能性が高いという趣旨の放送したんですけど、あの、一般的なメディアもですね、他のメディアも、昨日あたりから突然話が変わってきてですね、で、その理由っていうのはその、国交省がレーダーの解析結果を、こうまあ情報として出したからになってんですが、レーダーの情報解析は前からやってるわけですよ。で、突然にあの、いや、あの、実はテロらしいって話に一般報道も変わり、そして、今日この調査委員会が開かれたわけですけれども、その背景にあることをあえて一言で申せばこれです(フリップ出す)」
山本浩之
「『顔色が変わった』」
どうなる日米関係…日本見捨て“東南アジア重視”にシフトするオバマ政権真相は?青山がズバリ
ホルムズ海峡のタンカー爆発事件の深層、米国防総省が発表した中国の軍事動向に関する「年次報告書」の解説など、今週も盛り沢山です。
間投詞(「あの」「その」など)や言い直しもできるだけ再現しました。但し、細かい相づちなどは支障のない範囲でカットしています。
画像はYouTubeで拾ったビデオからキャプチャさせていただきました。
※私の使っているMacOS9でついにYouTube視聴ができなくなりました。
裏技使ってキャプチャしたので画像が粗いですが、ご容赦を<(_ _)>
内容紹介ここから____________________________
(まずはVTRでストレートニュース)
■ホルムズ海峡商船三井タンカー損傷事故 調査委員会第1回会合 前原国交相も出席(FNN8/18)
山本浩之
「このニュースにつきましては、先週の青山さんの“ニュースDEズバリ”のコーナーでも触れられました。で、このあとの、今日の“ニュースDEズバリ”のコーナーでも詳しく解説をしていただけると、聞いております」
青山繁晴
「はい。あの、まずですね、皆さんあの、今のニュースご覧になってね、あの、おかしいなと、お感じになる方もいらっしゃると思うんですよ。というのは、これ7月28日に起きたことですね。もうそろそろ1ヶ月に近づいてて。えー、起きてから20日ぐらいの間は、要するにタンカーがへこんだだけ、で、インド人の乗組員の方が1人軽傷を負っただけ、だから大したことないっていうふうに、日本の国内報道は全般にそう流れていて」
山本浩之
「そうですね」
青山繁晴
「で、その中で『アンカー』は、まあヤマヒロさんおっしゃった通り、1週間前に、いや、重大なテロ事件の可能性が高いという趣旨の放送したんですけど、あの、一般的なメディアもですね、他のメディアも、昨日あたりから突然話が変わってきてですね、で、その理由っていうのはその、国交省がレーダーの解析結果を、こうまあ情報として出したからになってんですが、レーダーの情報解析は前からやってるわけですよ。で、突然にあの、いや、あの、実はテロらしいって話に一般報道も変わり、そして、今日この調査委員会が開かれたわけですけれども、その背景にあることをあえて一言で申せばこれです(フリップ出す)」
山本浩之
「『顔色が変わった』」
青山繁晴
「はい。これ誰の顔色かというと、これはまさしく政府の当局者たちの顔色であってね。あの、7月28日に起きまして、僕の知る限りでは、7月29日、30日あたりまでは政府高官の顔色も、まあ大したことないんじゃないかってことだったんですよ。それがその、8月の初めぐらいからもうほんとに顔色が変わって、これはえらいことだと。ちっちゃな爆発に見えたけども、とんでもない、裏にはものすごく大きな、新しい危機が隠れているらしいってことになって、実はその、メディアはそれに全然追いついてなかったんですよ。それがあんまりにもその、いわば、開きがありすぎるから、国交省の側からレーダーの解析結果を流したら、見事に報道が一気に変わったと。で、それを受けて、この調査委員会も開かれたっていうことなんですね」
山本浩之
「ただその、すごいことだっていうことが分かったら、普通の感覚だったらすぐに調査委員会開いてっていう…もう今日ですよね、それも」
青山繁晴
「ええ。これはね、あの、今日の調査委員会、あの、すごくはっきり言うと、ま、ガス抜きとまでは言ってはいけませんが、要するに政府の中に、情報を触る、その部局っていうのはいくつもあるわけですけど、その中の格差が激しくて、これ先週の『アンカー』でも触れましたが、中でも大事な防衛省、自衛隊の情報が少なくて、それをいわば、何て言いますか、ま、形式的にも、解消しなきゃいけないっていうんで、調査委員会で情報共有するってことになったんですよ。しかしこの、今日の調査委員会終わったあとに、この調査委員会に関係してる人たちに話を聞くと、いや、ほんとの情報は出してませんと明言した当局者もいるわけですね。で、そういう、そういう実情も含めてこのあと、詳しくお話ししたいんですけども、そのタンカーの件だけではなくて、その裏に潜む本当のことを、皆さんと一緒に考えたいと思います」
山本浩之
「えー、それではコマーシャルをはさんで青山さんの解説です」
(いったんCM)
山本浩之
「タンカー爆発事件で、政府関係者の顔色が変わるようなこと、その真相とは何なのか。どんな背景が隠されているのか。さっそく解説お願いします」
青山繁晴
「はい。まずあの、今日はあの、コーナーの入口のところで、昨日今日の動き、あるいは報道ぶり、ちょっとおかしな点があると申しましたが、それをちょっと具体的に見ましょう。はい、ちょっと出して下さい」
村西利恵
「はい。7月28日に、この商船三井が所有している原油タンカー『エム・スター』がホルムズ海峡で攻撃された可能性があると、『アンカー』で一報をお伝えいたしました。そして昨日になって、不審な小型船がレーダーに映っていたとする国土交通省の情報が報道され、今日、合同調査委員会が発足しました」
青山繁晴
「はい。それで、あの、要するに昨日ですね、国交省から、まあ、正式な発表ではないけども、情報提供がメディアに対して、マスメディアに対してなされてですね、要するにこのタンカーのレーダーに、ちょっと妙な動きをしてる小型船、複数がレーダーに映っていたという話が出たら、えー、で、もう一つ、その小型船がちょっとスピードを上げて去っていった、その直後に爆発が起きたと。で、それをもって、一斉に横並びで、NHK以下もう一斉に横並びで、その小型船からテロ攻撃があった可能性があるって話、急にボーンと飛躍したんですよね」
山本浩之
「はい、そうですね」
青山繁晴
「でも、これはまさしく実は飛躍であって、そもそもこのペルシャ湾、ホルムズ海峡を含むペルシャ湾っていうのはもう本当に狭い所に小型船がいっぱいいるんですよ。これ1回でも取材するっていうか現場に行ってれば分かるはずなんですけれども。だからゆっくり航行してるタンカーのように大きな船の周りを、小型船がうろうろするっていうのは、もう普通に見る光景で」
村西利恵
「日常の光景なんですね」
青山繁晴
「そうです。あの、僕はペルシャ湾で泳いだこともあるんですけれども、そういう所までもう小型船がうようよ来たりするわけですね。だからその、それがレーダーに映ってたからといって、あの、そのあとに爆発があったから小型船からテロがあったってのは本当は飛躍があってですよ。飛躍があることを、あの、もう一度言いますが、マスメディアはちゃんと追及しないで、もうそのまま、はっきり言うと、ちょっと垂れ流しみたいな感じで急にテロって話になったんですよ。これは一言で言うと、日本のメディアがいかにお上に弱いかっていうことを、僕は考えなきゃいけないと思いますね。で、ただ、その、1週間前のこの『アンカー』で申しました通り、テロであること自体はその可能性高いので、その、結果的には報道が間違ってたわけではありません。ありませんが、そのお上に弱い体質ってのはおかしいってことをまず踏まえた上でですね、えー、昨日今日の動き、僕もそれを踏まえて、もう一度いろんな取材をしました。そうするとこういう証言が出てきました。はい、出して下さい」
村西利恵
「警察の情報当局者によると、『本格的なテロとみられる』と」
青山繁晴
「はい。これは実はこの警察の情報当局者っていうのはですね、その、警察も実は大きな組織で、情報を扱ってる部門はいくつもあります。そのうちの、とても良心的な人、僕は長年信頼してる人なんですが、その人は先週の『アンカー』の報道内容も知った上でですね、青山さん、いや、もっと、あなたが言ったよりももっと本格的なテロなんですと」
岡安譲
「えー」
青山繁晴
「なんです、じゃない…、あの、テロとみられると。ね。断定してるわけじゃないけど、ま、非常に強い言い方をしました。この人は慎重な人なのに、こんな強い言い方をしたのは珍しくて、そして、さらにこうおっしゃったんです。はい、出して下さい」
村西利恵
「『爆発力が強い。へこませるのではなく、沈めるつもりだった』」
青山繁晴
「はい。これは何をおっしゃってるかというと、具体的に言うとですよ、先週の『アンカー』で僕は、防衛省側の情報として、情報っていうかこれ推論と申しましたね。要するに防衛省は、アメリカ第五艦隊から情報もらえないこともあって、アメリカとの関係がおかしくなってて、情報もらえないこともあって、やっぱり推測せざるを得ない面があって。防衛省は防衛省なりに、防衛省の組織としてじゃないですよ、防衛省の幹部の中に、防衛省、自衛隊の大変地位の高い人の中に、あれは吸着機雷、リムペット・マインと申しましたが、リムペットってこの、カサ貝って、あの、貝ですね。こう、くっつく貝。そのように磁石で、こう船のお腹なんかにくっついて、えー、それで時限装置か何かであとで爆発すると、いう見方が防衛省の中にあると言ったんですが、この警察の情報当局者はそれを真っ向、否定したんです。あくまで警察サイドの見方ですけれども。というのは、その、吸着機雷ってやつは、一般的に言うと爆発力はそう強くないんですね。で、ところが今、あの、絵(事件に遭ったエム・スターのVTR)映りましたけれども、これを今まで日本の報道では小爆発って言ってきたけれども、とんでもないと。まずその、水上に出てる部分だけで横に11メートルあって、高さが6メートル30に渡って、この丈夫なタンカーのお腹がへこんでて、で、もっと大きなへこみが実は水中にもあるから、その、リムペット・マイン、吸着機雷ではとても無理だと。で、そもそもそうじゃなくて、へこませるだけじゃなくて、沈めようという目的があったと。で、さらに、実は一番最新の情報として、これがあります。はい、出して下さい」
村西利恵
「『不審な小型船3隻のうち、1隻はリモートコントロールかもしれない』」
青山繁晴
「はい。これ、というのはですね、あの、これはあの、その他の報道でも出てますが、その、船が、ずいぶんおかしな動きをしたあとに、遠ざかっていって、で、そのあとに、その、爆発が起きたと。ところがですよ、あの、皆さんさっきご覧になった、へこみの部分、実はそこの材料というのは、防衛省、自衛隊には、少なくとも僕の知る限り、今まではあたってなくて、海上保安庁を通じて、警察の科警研、科警研、えー、科学警察研究所、そこで細かい分析をしてるんですけれども、まだ途中経過とは言いながら実は、この船のへこんでるところからですね、てっぺん、その、鉄のかけらとかですね、その、爆発物がそこで爆発したら特有の跡が残るんですけど、それが見られないんですよ。えー、そうじゃなくて、こうバーッと放射状の筋なんかがついてるんですけども、それ全部総合すると、まだもちろん未確定ですけれども、1隻は、人が乗ってなくて、この他の船からリモートコントロールして、で、それがその、微妙な距離の取り方が足りなかったり、あるいは爆薬量が少なかったりして、予定した通りの爆発は起こさなかったんじゃないかと、いう、この、見通しが出てるんですね」
村西利恵
「失敗したから、あの程度で済んだのかもしれないってことですか」
青山繁晴
「はい、失敗っていうか、ええ、一部失敗だったと。で、これは念のため言いますと、今日の合同調査委員会では報告されてません。えー、あくまでも、要するに情報を一番握ってる所がまだ握ってる話なんですね。ただ、これで分かるのは、ずいぶん手が込んだ手口だっていうことなんですね」
村西利恵
「ほんとですね」
青山繁晴
「で、いろいろテロはあるけども、その、水上でリモートコントロールで船を動かして、そしてその、船は沈まなかったけれども、あんな巨大なへこみを作るっていうのは今までに少なくとも聞いたことがないわけですよ。こういうことを背景にして、もう一つ実は大事な話があって、それはこれなんです」
村西利恵
「内閣の情報当局者によると、『イランが関与した可能性についても情報を集めないといけない』」
青山繁晴
「はい。これはあの、決して誤解されてはいけないのは、視聴者の方が誤解していただきたくないのは、イランが関与したって話では全くありませんよ。もちろんそん、イランは、こんなことを述べてませんし、まだ何の証拠もありませんが、これはどうしてかというとですよ、あのホルムズ海峡やペルシャ湾ていうのはいろんな国が面してますけれども、しかし特にホルムズ海峡は、イラン革命防衛隊の海軍が、かなり支配してるってのは常識なんですね。従って、あんな手の込んだ、その、テロを仮にやったとすると、たとえばイランのような、まさかと思うような大国が関与してるかもしれないって可能性については、一生懸命情報集めないといけないねって、これは警察じゃなくて、えー、ここ10年ぐらい内閣で情報を集約するようになってますけど、そのうちの、これも、僕が信頼してる1人はこうおっしゃってるわけですね。で、これを客観的に見るためにちょっと地図を見ていただけますか」
青山繁晴
「はい。これ中東の地図ですけれども、イラン、このようにすごい大国です。で、えー、イランはご承知の通り、核開発の疑惑ってのはアメリカから、かなり強く指摘されてて、国際社会で孤立が進んでて、たとえばトヨタの、トヨタ自動車の輸出すら止まってるような状況なんですね。で、そうするとイランとしては、その一方でイランとしては、核開発については、立場譲ってません。あくまでも民間の原発やってるだけだから、アメリカにごちゃごちゃ言われる筋合いはないと、イランはもう真っ直ぐその姿勢変えてないんですよ。従って、その姿勢を貫くためには、こういう他の、その、アラブと手を組まなきゃいけないっていう客観情勢はあってですよ。そして、イランにとってこのホルムズ海峡を握ってるっていうのは大事な点で。で、イランはイスラム教の中でシーア派。で、こういう他の国々は基本的にはスンニー派。そして例の有名なテロ組織のアルカイダもスンニー派なんです。本来はスンニー派とシーア派って仲悪いはずですが、さっきの内閣の情報当局者をはじめ、実は諸外国も懸念してるのは、これだけ手の込んだことを、このホルムズ海峡っていう世界の喉元というような大事な所でやるっていうのは、ひょっとしたら、イランとアルカイダのような、今までとは立場が違った勢力とが連携が始まってるのかもしれないと」
一同
「はあー」
青山繁晴
「で、そのことがもしあったら、これは大変なことで、要するにホルムズ海峡の安全航行が、もうできないってことになりますね。で、日本は、先週申しました通り、このホルムズ海峡を通って、日本が今使ってる原油の実に8割以上がここを通ってるわけです。だからここを通れなくなったら、要するに今の1割、1割台しか原油がなくなるわけですから、その、単純計算で言えば。それはえらいことになるわけですね」
村西利恵
「大変な事態ですよね」
青山繁晴
「で、こうなったらですよ、普通の国は、つまり日本以外の全ての主権国家は、たとえば同じ戦争で負けたドイツであっても、ドイツのタンカーが通る時には、ドイツ連邦軍、海軍が護衛して、ここを通ろうとするわけですけど、皆さんご承知の通り、あの、敗戦後の日本の、憲法をはじめ、今の体制ではですよ、ずっと続いてきた体制では、海上自衛隊が、海外での武力行使を含むような護衛なんてできるはずがないわけですよね。で、そうすると、これ結局はここにいるのは誰かというと、アメリカの第五艦隊がいるわけですね。で、今、海上自衛隊がここ(アデン湾)にはいるけども、海賊対策で、しかしその、アフガン戦争に関連して、このあたり(インド洋)で給油活動やってた、ヤマヒロさんが(かつて取材で)行かれた、ここはもう撤収したわけで、第五艦隊との関係が冷え切ってて、情報もらえないようになってるわけですね。情報をくれない第五艦隊に、いや、やっぱり日本のタンカーを守って下さいって言えんのかってことになるわけです。従って、えー、今は、日米関係のこの動揺っていうのが、ここに大きな影響を与えるってことなんですね。で、1週間前の『アンカー』で、実はアメリカは、日本の大事な東シナ海、尖閣諸島などを無視し始めて、むしろ南シナ海で中国と睨み合う、そのためにはかつて戦争したベトナムと手を組むって方向に流れてると、いうお話をしましたが、実はそのあと、えー、16日、つまり一昨日に、それを裏付けするようなニュースがどっと出たんですね。はい、ちょっと出していただけますか」
村西利恵
「2つとも一昨日報じられたものですが、オバマ政権『対日政策』の変更。そして中国に関するアメリカ国防総省の『年次報告書』が発表されたというニュースです」
青山繁晴
「はい。まずこのオバマ政権が日本に対する政策、これ中国も込みですけどね、中国や日本に対する政策を変えたんじゃないかっていうのは、共同通信の報道でまず流れました。はい。出していただけますか」
村西利恵
「こちらですね。『尖閣諸島は日米安保条約の適用対象』と明言しない方針を日本政府に伝えたと」
青山繁晴
「はい。えー、これちょっと言葉難しいですが、要は、尖閣諸島で何かあっても、日米安保条約は、いや、尖閣諸島で何かあった場合、たとえば中国が日本の領土である尖閣諸島を侵略した場合、普通だったら日米安保が適用されるはずじゃないですか。ね。されるはずというのをはっきり言いませんよと、いうのを日本政府にすでに伝えたという共同通信の報道があったんですね。で、ブッシュ政権時代は、えー、この尖閣諸島でもし何かあったら、日米安保条約発動して米軍は動くっていう趣旨をはっきり言ったわけです。で、この驚くべき報道があって、すぐにアメリカは反応しました。はい、出して下さい」
村西利恵
「アメリカのクローリー国務次官補は、尖閣諸島の領有権をめぐるアメリカの立場は示さないとした上で、『日米安保条約が尖閣諸島に適用されるかと問われれば、そうだ』と会見で話しました」
青山繁晴
「はい。まずですね、あの、アメリカ合衆国の国務省ってのは、要するに外務省のことですね。そこの次官補が、共同通信の打電にいちいち反応するってのはそうあることじゃない(笑)。僕、共同通信に20年いましたけど、そんなにはなかったですね。だからアメリカはこれ、ま、重大とは思ってるわけですけど。そしてこのクローリーさんが、日米安保条約が尖閣諸島に適用されるかって聞かれれば、そりゃそうですよと答えたことをもって、日本の国内報道では、共同通信の報道は否定されたと。ま、共同通信ははっきり言って、僕の古巣ですけども、どうでもいい。そうじゃなくて、別に政策が変わったわけじゃないよと、日本を守りますよとクローリーさん言ったと報道されましたが、皆さん、そうですか?それ違いますよね。だってクローリーさんは尖閣諸島の領有権をめぐって、アメリカの立場は示さないって言ってるんですよ?だから日本の味方をするわけじゃないと、ここでまず言っててですよ。で、その安保条約が尖閣諸島に適用されるかと、もしそりゃ聞かれたら、そりゃそうですよと言ってる。これは何を言ってるかというと、歴史的な経緯を言ってるだけなんですよ。はい、ちょっと出してくれますか」
青山繁晴
「これは何かというと、ご承知の通り、今ちょうどその夏ですけれどもね、65年前の8月15日、戦争に負けました。終戦って書いてあるけど、ほんとは敗戦と書くべきだと僕は思いますが。そして7年間アメリカに、アメリカをはじめとする連合軍に占領されて、日本は主権国家でなかった。それが1952年4月28日に、サンフランシスコ講和条約が発効して、日本は独立国家に戻りました」
青山繁晴
「そのサンフランシスコ講和条約の中に、この、皆さんちょっと地図見ていただくと、この尖閣諸島や、沖縄を含むこの南西諸島、全体、これ全て日本のものだけども、当面はアメリカが施政権を持つと、いうのがこの条約に入ってたわけですよ。そしてそれがようやく、1972年に沖縄が返還された時に、尖閣諸島は一緒に日本に戻ってきたんですよ。従ってこれ日本の一部ですから、クローリーさんが言ってるのは、そりゃ日本の一部だから、適用するかって言われたら適用しますよと言ってるだけで、現在、つまりね、えー、この、この、ここでですね(モニターの表のサンフランシスコ講和条約発効と沖縄返還の間を示して)、1969年になって、ちょっとその前にですね、時間はないけど、丁寧に言いますとね、この時(1952年のサンフランシスコ講和条約発効の時)、中国は何も言わなかったんです。えっちょっと待って、尖閣諸島は中国のもんだよと、だからそんなこと条約に書くなよとは言わなかった。ところが1969年、70年になって突然言い始めた。なぜかというと、ここから油とか、天然ガスが出ること分かって急に言い始めたわけですね。で、それで日本はここは領土問題ないと言ってるのに、中国は、いや、中国のもんだと言ってるわけですよ。その現在のことについてはアメリカはタッチしないと言ってるんですから、何のことはない、共同電にあった、その、安保条約はあの、必ずしも適用されませんよと、少なくとも適用されるとはっきりは言いませんよと言ってるのと、クローリーさんの言ってることと、要は同じじゃないですか、本当は」
一同
「(同意)」
青山繁晴
「だから、これは非常に重大なことで、共同通信の報道を否定したってこう記事が夕刊にちらっと出ましたが、そんなことじゃない。もっとみんなきちんと分析して、あの、国民に伝えるべきだと思うんですね。そしてさらに、さっき2つめにあったアメリカの国防総省の報告書っていうのはこれです。はい、出して下さい」
村西利恵
「中国に関するアメリカ国防総省の『年次報告書』には、中国が東シナ海・南シナ海での軍事力を増強しているとあります」
青山繁晴
「はい。これはですね、あの、アメリカの国防総省って毎年3月に、中国が、どんどんどんどんその、軍備を拡張していって、しかも予算額もはっきりしないから、毎年3月に報告書出すんですが、オバマ政権になって全然出ないんですよ。だからみんなどうしてだって言ってたら、この9月に、あ、ごめんなさい、9月も近くなって、半年遅れぐらいで突然出たんですが、その中にびっくりすることがいろいろ書いてあって、中国は年内に空母を作り始めるだろうと。そして中国は自分では国防費は6兆円台と言ってるんですけども、本当は倍以上の13兆に迫るぐらいの、お金を使ってるよと。そしてさらにびっくりするのは、明言してるのはこの第2列島線。これちょっと地図出していただけますか」
青山繁晴
「はい。これも簡単に申しますとね、要するにここにでっかい中国があって、核も含めてものすごい大きな軍事力をどんどんどんどんこう、広げてるわけですね。で、その時に日本列島を中心に、日本列島から始まって、沖縄、尖閣諸島、フィリピン、これが第1列島線。つまり中国の活動範囲は当面はここまでだろうと思われてたのが、この今のアメリカの国防総省の見方はそうじゃなくて、こっちのもっと広い、この小笠原諸島、硫黄島含む小笠原諸島、そしてグアムを含んでですね、その、インドネシアの端っこのほうまで、このあたりまで中国は出て、さらにそれも越えて、太平洋の半分を支配にかかるんじゃないかということが強調されてて、そしてアメリカは今、ここ(ベトナムの沖合い)に原子力空母ジョージ・ワシントン、日本から出して置いてるわけですね。で、尖閣諸島のことはもう、それよりもう、尖閣諸島のことは置いといて、この辺(南シナ海)を確保するのが大事だ、どうしてかというと、たとえばベトナムははっきり中国に対抗しているからだと、日本は何をしたいかよく分かんないから、こっちが重点だと、そうは書いてないけれども、その国防総省の報告書を見ると、全体にはそれが強調されてるわけですね。で、そのことがですね、えー、実は日本の国内の情勢にも大きく影響してる。それはさっきの民主党の動き(ストレートニュースで民主党代表選に関する党内の動きが伝えられた)にも関連して影響するんですが、そのことを後半にお話しますけれども、キーワードはこれです(フリップ出す)」
村西利恵
「ここでズバリキーワードは『58年分のツケ』。日本が58年間ためてきたツケとは一体何なのか。このあと詳しく話していただきます」
(いったんCM)
山本浩之
「『58年分のツケ』とはどういうことなんでしょうか。続きをお願いします」
青山繁晴
「はい。皆さん、あの、このコーナーの本来の目的の一つは、こうバラバラに見えるニュースが、あの、一番深い大事なところではつながってるってことを、みんなで理解したいってことがあるんですけどね。えー、実はそうしたことの一つにこれがあります。はい、ちょっと出していただけますか」
村西利恵
「沖縄のアメリカ海兵隊、グアム移転費用を日本が追加負担へ」
青山繁晴
「はい。これ、まあ、普天間の移設を含め、そういうことが無事に動いたらですよ、アメリカの海兵隊の8000人をグアムに移しますと。で、その費用が今のところ102億ドルと言われててですね、実にその6割の60億ドルを日本が負担することになってて、それ自体ちょっと待ってよって話なんですが、それをさらに負担を増やそうって話になってんですね。それは実はこの方が主導してます。はい、出して下さい」
村西利恵
「主導しているのは仙谷官房長官」
青山繁晴
「はい。実はこないだの日韓併合100周年の、その、えー、談話も含めて、仙谷さんの存在感ていうのは菅政権の中で非常に強まっていて、まあ口の悪い人だと、陰の首相って言ってる人ももういるぐらいでね。で、この、追加負担しましょうやっていうのも、仙谷さんがリーダーシップとってる。つまり政権の一番中枢の部分でこれを決めようとしてる。で、もちろんこの、この追加負担の話自体は、タンカーの事故が起きる前からの話ですから、あの、タンカーの事故があって急にっていうんじゃないんですけども、実は全体にとにかくアメリカとの関係修復しないと困ることばっかりだと。ペルシャ湾でこうやってまた新たな事態が起きたらよけいアメリカに、要するに平身低頭してでも、機嫌直してもらって、情報もくれて、守ってもくれるようにしなきゃあね、というのが実は菅内閣の今、重要なテーマになってるわけです。従って、たとえば外交でいうと、こういうことありますね。はい、出して下さい」
村西利恵
「鳩山前総理の訪中。菅総理の狙いは」
青山繁晴
「はい。これについてですね、たとえば、まああの、一部の報道で、菅さんは外交苦手だから鳩山さんに丸投げしてるという報道もありましたけど、それ違います。そうじゃなくて、鳩山さんは確かにね、また言うことが変わってですよ、総理辞めて、ちょっと時間が経っただけで、外交やりたいってことを周辺に実は言ってるわけですよ。で、外交やる時に菅さんとしては、この人がアメリカに関わったら、もうアメリカとの関係はこじれる一方だと心配するから、お好きな中国と、それからまだ報道出てませんが、ロシアでやって下さいと。つまり実は鳩山さんはやがて訪露するって見通しもあるわけですね。これは僕は危険な動きだと思いますよ」
村西利恵
「危険」
青山繁晴
「ええ、危険な動きだと思います。北方領土の返還について、四島返還論とは、僕個人の意見ですけど、鳩山さんはそうは見えませんから。いずれにしても、しかし話を戻しますとね、丸投げしてるんじゃなくて、アメリカについては触ってくれるなと。ね。鳩山さんのご機嫌も取らなきゃいけない、代表選挙のために。しかし中国とロシアだけ、そのあたりにして下さい、アメリカはあの、ちょっと、触らないで下さいってことなんですよ。そしてこれは菅さんや仙谷さんから見ても、アメリカがいわば、ま、ちょっと言い方悪いけど、お気に入りの人って、閣僚の中ではこの人たちぐらいしかいないんですね。はい、出して下さい」
村西利恵
「日米関係を修復できる人物は、岡田大臣と前原大臣」
青山繁晴
「はい。岡田さんはたとえば、もう、普天間の移転先は結局辺野古しかないってことを去年の12月からはっきり言ってたって意味で、アメリカから見たら嘘をつかなかった人間に見えるわけですね。そして前原さんは親米派としてやっぱり期待されてて、中国に対しても厳しい姿勢持ってますから、アメリカに行った時に前原さんは本当に歓迎されました。で、従ってこの2人だと、要するにアメリカと上手くやれるかもしれないからっていうことで、実は小沢さんはこの2人に手を伸ばしたのは事実です。しかし僕の知る限り、今のところ2人とも受ける気配、小沢さんのその伸ばした手に乗る気配はないと。従って、実は統一選挙(代表選挙?)も、小沢陣営が手詰まりの状況になってるわけですが、しかし皆さん、このさっきのキーワード、58年のツケというのはですね、じゃあその民主党政権だけがその、アメリカに平身低頭しようとしておかしいのかと。違うでしょ?そうじゃなくてさっき言いました通り、ドイツは同じ戦争に負けたけども、普通にタンカーを護衛できるんですよ。なぜその日本だけができないのか。あの、いろんなお考え方あるでしょうが、こういざとなった時に、アメリカとの関係が今までよりも少し離れていったら、自分のタンカーも守れない国で本当にいいのかどうかって、少なくともその、突き詰めた議論を、自由民主党も含めてですよ、それから私たち主権者も含めて、ほんとにとことんやったのかっていうそのツケが、今、実はこのホルムズ海峡に象徴的に表れていて、ただ単にその、民主党政権が右往左往してるってことではない、そうじゃなくて、58年っていうのはさっき皆さんにお見せしたから申したんですが、1952年にこの国は独立回復したんですよ。だからそのあとはもう、アメリカじゃなくて、私たちの全責任なんですね。58年間置いといた問題が、今ここで火を吹きつつある可能性があって、だから政府の当局者も、改めて顔色が変わったということなんですよ。はい」
山本浩之
「ま、確かに、今までこう政権が代わったり、政局に大変動がある時っていうのは、必ずそういうアメリカっていうキーワード出てきて、で、追従してる日本の姿っていうのはありますよね。どこから考えていけばいいのかなって、非常に壮大なテーマなのでね、こう政治家に私たちは託してるわけですけど、普段は。私たちがどこから考えていけばいいんだろうっていう」
青山繁晴
「ええ。まずね、ホルムズ海峡で言ったらね、アメリカだけに頼るんじゃなくて、国際的な枠組みを作りリーダーシップをとればいいんですよ。日本外交でもそれ可能ですから。そこから始めるべきだと思います」
山本浩之
「ありがとうございました。以上、“ニュースDEズバリ”でした」
(CM&他のニュース報道のあと、コーナーについて補足解説)
山本浩之
「先ほどの青山さんの“ニュースDEズバリ”のコーナーの中で、あの、1点、補足解説があるということですが」
青山繁晴
「はい。あの、異例なことなんですけど、1点大事なことを補足させて下さい。あの、それは、あの襲われたタンカー、エム・スターは商船三井の船ですけれども、日本のタンカーだと分かって狙った可能性はほとんどありません。えー、日本が狙われたわけじゃない。そこは大事なところで。えー、だから、あの、ホルムズ海峡、狭いとこだと33キロしかない、そこを通るタンカーに全部不安を与えるために、たまたまあれを狙ったということであって。で、テロはそうやっていつも不安を呼び起こすのが目的ですから。その、重大なこととして捉えると同時に、あくまで冷静に対処して、その、テロが巻き起こした不安に乗っかってですよ、もうとにかくアメリカ助けて下さいにならないことも、必要なんですよ。もう一度申しますが、その、あのテロは日本をターゲットにしたわけじゃないと、いうのは、あの、あくまで冷静に考える必要あると思います」
山本浩之
「はい。ありがとうございました」
____________________________内容紹介ここまで
中国の軍事動向に関する米国防総省の年次報告書が発表された件、これ自体は日本でも報道されてますが、何かいまいち緊迫感に欠けるというか、特に「第2列島線」に言及してるメディアってほとんどないんじゃないですか?
(ざっと検索した限り、産経ぐらいしか見当たらない)
最近の中国海軍による日本近海での「挑発」行為を思い起こすと、ああ、これは「第2列島線」が絡んでたんだなって、私なんかはゾッとしてしまうんですけども……。
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「はい。これ誰の顔色かというと、これはまさしく政府の当局者たちの顔色であってね。あの、7月28日に起きまして、僕の知る限りでは、7月29日、30日あたりまでは政府高官の顔色も、まあ大したことないんじゃないかってことだったんですよ。それがその、8月の初めぐらいからもうほんとに顔色が変わって、これはえらいことだと。ちっちゃな爆発に見えたけども、とんでもない、裏にはものすごく大きな、新しい危機が隠れているらしいってことになって、実はその、メディアはそれに全然追いついてなかったんですよ。それがあんまりにもその、いわば、開きがありすぎるから、国交省の側からレーダーの解析結果を流したら、見事に報道が一気に変わったと。で、それを受けて、この調査委員会も開かれたっていうことなんですね」
山本浩之
「ただその、すごいことだっていうことが分かったら、普通の感覚だったらすぐに調査委員会開いてっていう…もう今日ですよね、それも」
青山繁晴
「ええ。これはね、あの、今日の調査委員会、あの、すごくはっきり言うと、ま、ガス抜きとまでは言ってはいけませんが、要するに政府の中に、情報を触る、その部局っていうのはいくつもあるわけですけど、その中の格差が激しくて、これ先週の『アンカー』でも触れましたが、中でも大事な防衛省、自衛隊の情報が少なくて、それをいわば、何て言いますか、ま、形式的にも、解消しなきゃいけないっていうんで、調査委員会で情報共有するってことになったんですよ。しかしこの、今日の調査委員会終わったあとに、この調査委員会に関係してる人たちに話を聞くと、いや、ほんとの情報は出してませんと明言した当局者もいるわけですね。で、そういう、そういう実情も含めてこのあと、詳しくお話ししたいんですけども、そのタンカーの件だけではなくて、その裏に潜む本当のことを、皆さんと一緒に考えたいと思います」
山本浩之
「えー、それではコマーシャルをはさんで青山さんの解説です」
(いったんCM)
山本浩之
「タンカー爆発事件で、政府関係者の顔色が変わるようなこと、その真相とは何なのか。どんな背景が隠されているのか。さっそく解説お願いします」
青山繁晴
「はい。まずあの、今日はあの、コーナーの入口のところで、昨日今日の動き、あるいは報道ぶり、ちょっとおかしな点があると申しましたが、それをちょっと具体的に見ましょう。はい、ちょっと出して下さい」
村西利恵
「はい。7月28日に、この商船三井が所有している原油タンカー『エム・スター』がホルムズ海峡で攻撃された可能性があると、『アンカー』で一報をお伝えいたしました。そして昨日になって、不審な小型船がレーダーに映っていたとする国土交通省の情報が報道され、今日、合同調査委員会が発足しました」
青山繁晴
「はい。それで、あの、要するに昨日ですね、国交省から、まあ、正式な発表ではないけども、情報提供がメディアに対して、マスメディアに対してなされてですね、要するにこのタンカーのレーダーに、ちょっと妙な動きをしてる小型船、複数がレーダーに映っていたという話が出たら、えー、で、もう一つ、その小型船がちょっとスピードを上げて去っていった、その直後に爆発が起きたと。で、それをもって、一斉に横並びで、NHK以下もう一斉に横並びで、その小型船からテロ攻撃があった可能性があるって話、急にボーンと飛躍したんですよね」
山本浩之
「はい、そうですね」
青山繁晴
「でも、これはまさしく実は飛躍であって、そもそもこのペルシャ湾、ホルムズ海峡を含むペルシャ湾っていうのはもう本当に狭い所に小型船がいっぱいいるんですよ。これ1回でも取材するっていうか現場に行ってれば分かるはずなんですけれども。だからゆっくり航行してるタンカーのように大きな船の周りを、小型船がうろうろするっていうのは、もう普通に見る光景で」
村西利恵
「日常の光景なんですね」
青山繁晴
「そうです。あの、僕はペルシャ湾で泳いだこともあるんですけれども、そういう所までもう小型船がうようよ来たりするわけですね。だからその、それがレーダーに映ってたからといって、あの、そのあとに爆発があったから小型船からテロがあったってのは本当は飛躍があってですよ。飛躍があることを、あの、もう一度言いますが、マスメディアはちゃんと追及しないで、もうそのまま、はっきり言うと、ちょっと垂れ流しみたいな感じで急にテロって話になったんですよ。これは一言で言うと、日本のメディアがいかにお上に弱いかっていうことを、僕は考えなきゃいけないと思いますね。で、ただ、その、1週間前のこの『アンカー』で申しました通り、テロであること自体はその可能性高いので、その、結果的には報道が間違ってたわけではありません。ありませんが、そのお上に弱い体質ってのはおかしいってことをまず踏まえた上でですね、えー、昨日今日の動き、僕もそれを踏まえて、もう一度いろんな取材をしました。そうするとこういう証言が出てきました。はい、出して下さい」
村西利恵
「警察の情報当局者によると、『本格的なテロとみられる』と」
青山繁晴
「はい。これは実はこの警察の情報当局者っていうのはですね、その、警察も実は大きな組織で、情報を扱ってる部門はいくつもあります。そのうちの、とても良心的な人、僕は長年信頼してる人なんですが、その人は先週の『アンカー』の報道内容も知った上でですね、青山さん、いや、もっと、あなたが言ったよりももっと本格的なテロなんですと」
岡安譲
「えー」
青山繁晴
「なんです、じゃない…、あの、テロとみられると。ね。断定してるわけじゃないけど、ま、非常に強い言い方をしました。この人は慎重な人なのに、こんな強い言い方をしたのは珍しくて、そして、さらにこうおっしゃったんです。はい、出して下さい」
村西利恵
「『爆発力が強い。へこませるのではなく、沈めるつもりだった』」
青山繁晴
「はい。これは何をおっしゃってるかというと、具体的に言うとですよ、先週の『アンカー』で僕は、防衛省側の情報として、情報っていうかこれ推論と申しましたね。要するに防衛省は、アメリカ第五艦隊から情報もらえないこともあって、アメリカとの関係がおかしくなってて、情報もらえないこともあって、やっぱり推測せざるを得ない面があって。防衛省は防衛省なりに、防衛省の組織としてじゃないですよ、防衛省の幹部の中に、防衛省、自衛隊の大変地位の高い人の中に、あれは吸着機雷、リムペット・マインと申しましたが、リムペットってこの、カサ貝って、あの、貝ですね。こう、くっつく貝。そのように磁石で、こう船のお腹なんかにくっついて、えー、それで時限装置か何かであとで爆発すると、いう見方が防衛省の中にあると言ったんですが、この警察の情報当局者はそれを真っ向、否定したんです。あくまで警察サイドの見方ですけれども。というのは、その、吸着機雷ってやつは、一般的に言うと爆発力はそう強くないんですね。で、ところが今、あの、絵(事件に遭ったエム・スターのVTR)映りましたけれども、これを今まで日本の報道では小爆発って言ってきたけれども、とんでもないと。まずその、水上に出てる部分だけで横に11メートルあって、高さが6メートル30に渡って、この丈夫なタンカーのお腹がへこんでて、で、もっと大きなへこみが実は水中にもあるから、その、リムペット・マイン、吸着機雷ではとても無理だと。で、そもそもそうじゃなくて、へこませるだけじゃなくて、沈めようという目的があったと。で、さらに、実は一番最新の情報として、これがあります。はい、出して下さい」
村西利恵
「『不審な小型船3隻のうち、1隻はリモートコントロールかもしれない』」
青山繁晴
「はい。これ、というのはですね、あの、これはあの、その他の報道でも出てますが、その、船が、ずいぶんおかしな動きをしたあとに、遠ざかっていって、で、そのあとに、その、爆発が起きたと。ところがですよ、あの、皆さんさっきご覧になった、へこみの部分、実はそこの材料というのは、防衛省、自衛隊には、少なくとも僕の知る限り、今まではあたってなくて、海上保安庁を通じて、警察の科警研、科警研、えー、科学警察研究所、そこで細かい分析をしてるんですけれども、まだ途中経過とは言いながら実は、この船のへこんでるところからですね、てっぺん、その、鉄のかけらとかですね、その、爆発物がそこで爆発したら特有の跡が残るんですけど、それが見られないんですよ。えー、そうじゃなくて、こうバーッと放射状の筋なんかがついてるんですけども、それ全部総合すると、まだもちろん未確定ですけれども、1隻は、人が乗ってなくて、この他の船からリモートコントロールして、で、それがその、微妙な距離の取り方が足りなかったり、あるいは爆薬量が少なかったりして、予定した通りの爆発は起こさなかったんじゃないかと、いう、この、見通しが出てるんですね」
村西利恵
「失敗したから、あの程度で済んだのかもしれないってことですか」
青山繁晴
「はい、失敗っていうか、ええ、一部失敗だったと。で、これは念のため言いますと、今日の合同調査委員会では報告されてません。えー、あくまでも、要するに情報を一番握ってる所がまだ握ってる話なんですね。ただ、これで分かるのは、ずいぶん手が込んだ手口だっていうことなんですね」
村西利恵
「ほんとですね」
青山繁晴
「で、いろいろテロはあるけども、その、水上でリモートコントロールで船を動かして、そしてその、船は沈まなかったけれども、あんな巨大なへこみを作るっていうのは今までに少なくとも聞いたことがないわけですよ。こういうことを背景にして、もう一つ実は大事な話があって、それはこれなんです」
村西利恵
「内閣の情報当局者によると、『イランが関与した可能性についても情報を集めないといけない』」
青山繁晴
「はい。これはあの、決して誤解されてはいけないのは、視聴者の方が誤解していただきたくないのは、イランが関与したって話では全くありませんよ。もちろんそん、イランは、こんなことを述べてませんし、まだ何の証拠もありませんが、これはどうしてかというとですよ、あのホルムズ海峡やペルシャ湾ていうのはいろんな国が面してますけれども、しかし特にホルムズ海峡は、イラン革命防衛隊の海軍が、かなり支配してるってのは常識なんですね。従って、あんな手の込んだ、その、テロを仮にやったとすると、たとえばイランのような、まさかと思うような大国が関与してるかもしれないって可能性については、一生懸命情報集めないといけないねって、これは警察じゃなくて、えー、ここ10年ぐらい内閣で情報を集約するようになってますけど、そのうちの、これも、僕が信頼してる1人はこうおっしゃってるわけですね。で、これを客観的に見るためにちょっと地図を見ていただけますか」
青山繁晴
「はい。これ中東の地図ですけれども、イラン、このようにすごい大国です。で、えー、イランはご承知の通り、核開発の疑惑ってのはアメリカから、かなり強く指摘されてて、国際社会で孤立が進んでて、たとえばトヨタの、トヨタ自動車の輸出すら止まってるような状況なんですね。で、そうするとイランとしては、その一方でイランとしては、核開発については、立場譲ってません。あくまでも民間の原発やってるだけだから、アメリカにごちゃごちゃ言われる筋合いはないと、イランはもう真っ直ぐその姿勢変えてないんですよ。従って、その姿勢を貫くためには、こういう他の、その、アラブと手を組まなきゃいけないっていう客観情勢はあってですよ。そして、イランにとってこのホルムズ海峡を握ってるっていうのは大事な点で。で、イランはイスラム教の中でシーア派。で、こういう他の国々は基本的にはスンニー派。そして例の有名なテロ組織のアルカイダもスンニー派なんです。本来はスンニー派とシーア派って仲悪いはずですが、さっきの内閣の情報当局者をはじめ、実は諸外国も懸念してるのは、これだけ手の込んだことを、このホルムズ海峡っていう世界の喉元というような大事な所でやるっていうのは、ひょっとしたら、イランとアルカイダのような、今までとは立場が違った勢力とが連携が始まってるのかもしれないと」
一同
「はあー」
青山繁晴
「で、そのことがもしあったら、これは大変なことで、要するにホルムズ海峡の安全航行が、もうできないってことになりますね。で、日本は、先週申しました通り、このホルムズ海峡を通って、日本が今使ってる原油の実に8割以上がここを通ってるわけです。だからここを通れなくなったら、要するに今の1割、1割台しか原油がなくなるわけですから、その、単純計算で言えば。それはえらいことになるわけですね」
村西利恵
「大変な事態ですよね」
青山繁晴
「で、こうなったらですよ、普通の国は、つまり日本以外の全ての主権国家は、たとえば同じ戦争で負けたドイツであっても、ドイツのタンカーが通る時には、ドイツ連邦軍、海軍が護衛して、ここを通ろうとするわけですけど、皆さんご承知の通り、あの、敗戦後の日本の、憲法をはじめ、今の体制ではですよ、ずっと続いてきた体制では、海上自衛隊が、海外での武力行使を含むような護衛なんてできるはずがないわけですよね。で、そうすると、これ結局はここにいるのは誰かというと、アメリカの第五艦隊がいるわけですね。で、今、海上自衛隊がここ(アデン湾)にはいるけども、海賊対策で、しかしその、アフガン戦争に関連して、このあたり(インド洋)で給油活動やってた、ヤマヒロさんが(かつて取材で)行かれた、ここはもう撤収したわけで、第五艦隊との関係が冷え切ってて、情報もらえないようになってるわけですね。情報をくれない第五艦隊に、いや、やっぱり日本のタンカーを守って下さいって言えんのかってことになるわけです。従って、えー、今は、日米関係のこの動揺っていうのが、ここに大きな影響を与えるってことなんですね。で、1週間前の『アンカー』で、実はアメリカは、日本の大事な東シナ海、尖閣諸島などを無視し始めて、むしろ南シナ海で中国と睨み合う、そのためにはかつて戦争したベトナムと手を組むって方向に流れてると、いうお話をしましたが、実はそのあと、えー、16日、つまり一昨日に、それを裏付けするようなニュースがどっと出たんですね。はい、ちょっと出していただけますか」
村西利恵
「2つとも一昨日報じられたものですが、オバマ政権『対日政策』の変更。そして中国に関するアメリカ国防総省の『年次報告書』が発表されたというニュースです」
青山繁晴
「はい。まずこのオバマ政権が日本に対する政策、これ中国も込みですけどね、中国や日本に対する政策を変えたんじゃないかっていうのは、共同通信の報道でまず流れました。はい。出していただけますか」
村西利恵
「こちらですね。『尖閣諸島は日米安保条約の適用対象』と明言しない方針を日本政府に伝えたと」
青山繁晴
「はい。えー、これちょっと言葉難しいですが、要は、尖閣諸島で何かあっても、日米安保条約は、いや、尖閣諸島で何かあった場合、たとえば中国が日本の領土である尖閣諸島を侵略した場合、普通だったら日米安保が適用されるはずじゃないですか。ね。されるはずというのをはっきり言いませんよと、いうのを日本政府にすでに伝えたという共同通信の報道があったんですね。で、ブッシュ政権時代は、えー、この尖閣諸島でもし何かあったら、日米安保条約発動して米軍は動くっていう趣旨をはっきり言ったわけです。で、この驚くべき報道があって、すぐにアメリカは反応しました。はい、出して下さい」
村西利恵
「アメリカのクローリー国務次官補は、尖閣諸島の領有権をめぐるアメリカの立場は示さないとした上で、『日米安保条約が尖閣諸島に適用されるかと問われれば、そうだ』と会見で話しました」
青山繁晴
「はい。まずですね、あの、アメリカ合衆国の国務省ってのは、要するに外務省のことですね。そこの次官補が、共同通信の打電にいちいち反応するってのはそうあることじゃない(笑)。僕、共同通信に20年いましたけど、そんなにはなかったですね。だからアメリカはこれ、ま、重大とは思ってるわけですけど。そしてこのクローリーさんが、日米安保条約が尖閣諸島に適用されるかって聞かれれば、そりゃそうですよと答えたことをもって、日本の国内報道では、共同通信の報道は否定されたと。ま、共同通信ははっきり言って、僕の古巣ですけども、どうでもいい。そうじゃなくて、別に政策が変わったわけじゃないよと、日本を守りますよとクローリーさん言ったと報道されましたが、皆さん、そうですか?それ違いますよね。だってクローリーさんは尖閣諸島の領有権をめぐって、アメリカの立場は示さないって言ってるんですよ?だから日本の味方をするわけじゃないと、ここでまず言っててですよ。で、その安保条約が尖閣諸島に適用されるかと、もしそりゃ聞かれたら、そりゃそうですよと言ってる。これは何を言ってるかというと、歴史的な経緯を言ってるだけなんですよ。はい、ちょっと出してくれますか」
青山繁晴
「これは何かというと、ご承知の通り、今ちょうどその夏ですけれどもね、65年前の8月15日、戦争に負けました。終戦って書いてあるけど、ほんとは敗戦と書くべきだと僕は思いますが。そして7年間アメリカに、アメリカをはじめとする連合軍に占領されて、日本は主権国家でなかった。それが1952年4月28日に、サンフランシスコ講和条約が発効して、日本は独立国家に戻りました」
青山繁晴
「そのサンフランシスコ講和条約の中に、この、皆さんちょっと地図見ていただくと、この尖閣諸島や、沖縄を含むこの南西諸島、全体、これ全て日本のものだけども、当面はアメリカが施政権を持つと、いうのがこの条約に入ってたわけですよ。そしてそれがようやく、1972年に沖縄が返還された時に、尖閣諸島は一緒に日本に戻ってきたんですよ。従ってこれ日本の一部ですから、クローリーさんが言ってるのは、そりゃ日本の一部だから、適用するかって言われたら適用しますよと言ってるだけで、現在、つまりね、えー、この、この、ここでですね(モニターの表のサンフランシスコ講和条約発効と沖縄返還の間を示して)、1969年になって、ちょっとその前にですね、時間はないけど、丁寧に言いますとね、この時(1952年のサンフランシスコ講和条約発効の時)、中国は何も言わなかったんです。えっちょっと待って、尖閣諸島は中国のもんだよと、だからそんなこと条約に書くなよとは言わなかった。ところが1969年、70年になって突然言い始めた。なぜかというと、ここから油とか、天然ガスが出ること分かって急に言い始めたわけですね。で、それで日本はここは領土問題ないと言ってるのに、中国は、いや、中国のもんだと言ってるわけですよ。その現在のことについてはアメリカはタッチしないと言ってるんですから、何のことはない、共同電にあった、その、安保条約はあの、必ずしも適用されませんよと、少なくとも適用されるとはっきりは言いませんよと言ってるのと、クローリーさんの言ってることと、要は同じじゃないですか、本当は」
一同
「(同意)」
青山繁晴
「だから、これは非常に重大なことで、共同通信の報道を否定したってこう記事が夕刊にちらっと出ましたが、そんなことじゃない。もっとみんなきちんと分析して、あの、国民に伝えるべきだと思うんですね。そしてさらに、さっき2つめにあったアメリカの国防総省の報告書っていうのはこれです。はい、出して下さい」
村西利恵
「中国に関するアメリカ国防総省の『年次報告書』には、中国が東シナ海・南シナ海での軍事力を増強しているとあります」
青山繁晴
「はい。これはですね、あの、アメリカの国防総省って毎年3月に、中国が、どんどんどんどんその、軍備を拡張していって、しかも予算額もはっきりしないから、毎年3月に報告書出すんですが、オバマ政権になって全然出ないんですよ。だからみんなどうしてだって言ってたら、この9月に、あ、ごめんなさい、9月も近くなって、半年遅れぐらいで突然出たんですが、その中にびっくりすることがいろいろ書いてあって、中国は年内に空母を作り始めるだろうと。そして中国は自分では国防費は6兆円台と言ってるんですけども、本当は倍以上の13兆に迫るぐらいの、お金を使ってるよと。そしてさらにびっくりするのは、明言してるのはこの第2列島線。これちょっと地図出していただけますか」
青山繁晴
「はい。これも簡単に申しますとね、要するにここにでっかい中国があって、核も含めてものすごい大きな軍事力をどんどんどんどんこう、広げてるわけですね。で、その時に日本列島を中心に、日本列島から始まって、沖縄、尖閣諸島、フィリピン、これが第1列島線。つまり中国の活動範囲は当面はここまでだろうと思われてたのが、この今のアメリカの国防総省の見方はそうじゃなくて、こっちのもっと広い、この小笠原諸島、硫黄島含む小笠原諸島、そしてグアムを含んでですね、その、インドネシアの端っこのほうまで、このあたりまで中国は出て、さらにそれも越えて、太平洋の半分を支配にかかるんじゃないかということが強調されてて、そしてアメリカは今、ここ(ベトナムの沖合い)に原子力空母ジョージ・ワシントン、日本から出して置いてるわけですね。で、尖閣諸島のことはもう、それよりもう、尖閣諸島のことは置いといて、この辺(南シナ海)を確保するのが大事だ、どうしてかというと、たとえばベトナムははっきり中国に対抗しているからだと、日本は何をしたいかよく分かんないから、こっちが重点だと、そうは書いてないけれども、その国防総省の報告書を見ると、全体にはそれが強調されてるわけですね。で、そのことがですね、えー、実は日本の国内の情勢にも大きく影響してる。それはさっきの民主党の動き(ストレートニュースで民主党代表選に関する党内の動きが伝えられた)にも関連して影響するんですが、そのことを後半にお話しますけれども、キーワードはこれです(フリップ出す)」
村西利恵
「ここでズバリキーワードは『58年分のツケ』。日本が58年間ためてきたツケとは一体何なのか。このあと詳しく話していただきます」
(いったんCM)
山本浩之
「『58年分のツケ』とはどういうことなんでしょうか。続きをお願いします」
青山繁晴
「はい。皆さん、あの、このコーナーの本来の目的の一つは、こうバラバラに見えるニュースが、あの、一番深い大事なところではつながってるってことを、みんなで理解したいってことがあるんですけどね。えー、実はそうしたことの一つにこれがあります。はい、ちょっと出していただけますか」
村西利恵
「沖縄のアメリカ海兵隊、グアム移転費用を日本が追加負担へ」
青山繁晴
「はい。これ、まあ、普天間の移設を含め、そういうことが無事に動いたらですよ、アメリカの海兵隊の8000人をグアムに移しますと。で、その費用が今のところ102億ドルと言われててですね、実にその6割の60億ドルを日本が負担することになってて、それ自体ちょっと待ってよって話なんですが、それをさらに負担を増やそうって話になってんですね。それは実はこの方が主導してます。はい、出して下さい」
村西利恵
「主導しているのは仙谷官房長官」
青山繁晴
「はい。実はこないだの日韓併合100周年の、その、えー、談話も含めて、仙谷さんの存在感ていうのは菅政権の中で非常に強まっていて、まあ口の悪い人だと、陰の首相って言ってる人ももういるぐらいでね。で、この、追加負担しましょうやっていうのも、仙谷さんがリーダーシップとってる。つまり政権の一番中枢の部分でこれを決めようとしてる。で、もちろんこの、この追加負担の話自体は、タンカーの事故が起きる前からの話ですから、あの、タンカーの事故があって急にっていうんじゃないんですけども、実は全体にとにかくアメリカとの関係修復しないと困ることばっかりだと。ペルシャ湾でこうやってまた新たな事態が起きたらよけいアメリカに、要するに平身低頭してでも、機嫌直してもらって、情報もくれて、守ってもくれるようにしなきゃあね、というのが実は菅内閣の今、重要なテーマになってるわけです。従って、たとえば外交でいうと、こういうことありますね。はい、出して下さい」
村西利恵
「鳩山前総理の訪中。菅総理の狙いは」
青山繁晴
「はい。これについてですね、たとえば、まああの、一部の報道で、菅さんは外交苦手だから鳩山さんに丸投げしてるという報道もありましたけど、それ違います。そうじゃなくて、鳩山さんは確かにね、また言うことが変わってですよ、総理辞めて、ちょっと時間が経っただけで、外交やりたいってことを周辺に実は言ってるわけですよ。で、外交やる時に菅さんとしては、この人がアメリカに関わったら、もうアメリカとの関係はこじれる一方だと心配するから、お好きな中国と、それからまだ報道出てませんが、ロシアでやって下さいと。つまり実は鳩山さんはやがて訪露するって見通しもあるわけですね。これは僕は危険な動きだと思いますよ」
村西利恵
「危険」
青山繁晴
「ええ、危険な動きだと思います。北方領土の返還について、四島返還論とは、僕個人の意見ですけど、鳩山さんはそうは見えませんから。いずれにしても、しかし話を戻しますとね、丸投げしてるんじゃなくて、アメリカについては触ってくれるなと。ね。鳩山さんのご機嫌も取らなきゃいけない、代表選挙のために。しかし中国とロシアだけ、そのあたりにして下さい、アメリカはあの、ちょっと、触らないで下さいってことなんですよ。そしてこれは菅さんや仙谷さんから見ても、アメリカがいわば、ま、ちょっと言い方悪いけど、お気に入りの人って、閣僚の中ではこの人たちぐらいしかいないんですね。はい、出して下さい」
村西利恵
「日米関係を修復できる人物は、岡田大臣と前原大臣」
青山繁晴
「はい。岡田さんはたとえば、もう、普天間の移転先は結局辺野古しかないってことを去年の12月からはっきり言ってたって意味で、アメリカから見たら嘘をつかなかった人間に見えるわけですね。そして前原さんは親米派としてやっぱり期待されてて、中国に対しても厳しい姿勢持ってますから、アメリカに行った時に前原さんは本当に歓迎されました。で、従ってこの2人だと、要するにアメリカと上手くやれるかもしれないからっていうことで、実は小沢さんはこの2人に手を伸ばしたのは事実です。しかし僕の知る限り、今のところ2人とも受ける気配、小沢さんのその伸ばした手に乗る気配はないと。従って、実は統一選挙(代表選挙?)も、小沢陣営が手詰まりの状況になってるわけですが、しかし皆さん、このさっきのキーワード、58年のツケというのはですね、じゃあその民主党政権だけがその、アメリカに平身低頭しようとしておかしいのかと。違うでしょ?そうじゃなくてさっき言いました通り、ドイツは同じ戦争に負けたけども、普通にタンカーを護衛できるんですよ。なぜその日本だけができないのか。あの、いろんなお考え方あるでしょうが、こういざとなった時に、アメリカとの関係が今までよりも少し離れていったら、自分のタンカーも守れない国で本当にいいのかどうかって、少なくともその、突き詰めた議論を、自由民主党も含めてですよ、それから私たち主権者も含めて、ほんとにとことんやったのかっていうそのツケが、今、実はこのホルムズ海峡に象徴的に表れていて、ただ単にその、民主党政権が右往左往してるってことではない、そうじゃなくて、58年っていうのはさっき皆さんにお見せしたから申したんですが、1952年にこの国は独立回復したんですよ。だからそのあとはもう、アメリカじゃなくて、私たちの全責任なんですね。58年間置いといた問題が、今ここで火を吹きつつある可能性があって、だから政府の当局者も、改めて顔色が変わったということなんですよ。はい」
山本浩之
「ま、確かに、今までこう政権が代わったり、政局に大変動がある時っていうのは、必ずそういうアメリカっていうキーワード出てきて、で、追従してる日本の姿っていうのはありますよね。どこから考えていけばいいのかなって、非常に壮大なテーマなのでね、こう政治家に私たちは託してるわけですけど、普段は。私たちがどこから考えていけばいいんだろうっていう」
青山繁晴
「ええ。まずね、ホルムズ海峡で言ったらね、アメリカだけに頼るんじゃなくて、国際的な枠組みを作りリーダーシップをとればいいんですよ。日本外交でもそれ可能ですから。そこから始めるべきだと思います」
山本浩之
「ありがとうございました。以上、“ニュースDEズバリ”でした」
(CM&他のニュース報道のあと、コーナーについて補足解説)
山本浩之
「先ほどの青山さんの“ニュースDEズバリ”のコーナーの中で、あの、1点、補足解説があるということですが」
青山繁晴
「はい。あの、異例なことなんですけど、1点大事なことを補足させて下さい。あの、それは、あの襲われたタンカー、エム・スターは商船三井の船ですけれども、日本のタンカーだと分かって狙った可能性はほとんどありません。えー、日本が狙われたわけじゃない。そこは大事なところで。えー、だから、あの、ホルムズ海峡、狭いとこだと33キロしかない、そこを通るタンカーに全部不安を与えるために、たまたまあれを狙ったということであって。で、テロはそうやっていつも不安を呼び起こすのが目的ですから。その、重大なこととして捉えると同時に、あくまで冷静に対処して、その、テロが巻き起こした不安に乗っかってですよ、もうとにかくアメリカ助けて下さいにならないことも、必要なんですよ。もう一度申しますが、その、あのテロは日本をターゲットにしたわけじゃないと、いうのは、あの、あくまで冷静に考える必要あると思います」
山本浩之
「はい。ありがとうございました」
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