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駐華メディアの試練…理想に従い「退去」か妥協しての「残留か」

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 「WiLL」はその月ごとの特集記事も面白いですが、連載コラムも面白い。

 中でも、元産経新聞記者の福島香織さんのコラム「現代中国残酷物語」は、支那のディープな現状が毎月さまざまなテーマで紹介されており、私のお気に入りです。

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 「WiLL」2月号(最新号)では、こんなテーマでした。

【理想に従い「退去」か妥協しての「残留か」
   深いジレンマを抱える外国人記者の実情】


 習近平政権になって変化したことは色々あると思いますが、これもそのひとつです。
 すなわち……、
 
 「中国は外国メディアに対して、中国人記者と同じようにコントロールを強化し、プロパガンダの役割を期待する傾向があったが、習近平政権になってそれがあからさまになっている

 昨年12月9日、こんな報道がありました(読売新聞・ソース削除済)。

 中国に駐在する40か国以上の外国人記者で作る「駐華外国記者協会」は9日、中国当局が外国人記者へのビザ発給拒否などで報道に圧力をかけているとして、改善を求める声明を発表した。

 声明によると、中国指導者の蓄財について昨年報じた米紙ニューヨーク・タイムズと、米ブルームバーグ通信の中国特派員全員が、年末で切れるビザの更新ができていない。

 ニューヨーク・タイムズは、別の2人の記者もビザ申請後、それぞれ1年と1年半、発給されない状態だという。

 このほか、中国の人権報道で知られ、ロイター通信の中国特派員として赴任する予定だった米国人記者がビザ発給を拒否された。

 カタールの衛星テレビ、アル・ジャジーラの記者も昨年5月にビザを拒否され、事実上の国外退去となった。

 声明は、中国当局はこうした対応について公式に説明しておらず、「当局にとって不愉快な報道への報復」という印象を与えているとして批判した。

 チベット自治区など民族対立が続く地域での取材がほとんど許可されないことや、公安当局が外国人記者を補佐する中国人スタッフに情報提供などを求めて圧力をかけているとも指摘した。

 その後、12月19日になって、「駐華外国記者協会(FCCC)」は、中国外務省がブルームバーグの外国人記者全員とタイムズ紙の一部記者に記者証を発行したと、発表しました(共同2013.12.20 00:29)。

 通常は記者証があれば報道ビザが更新できることから、中国当局が事実上、同ビザの更新を認めた形となっています。


 福島さんによると、実はビザ発給問題は米国だけのものではなく、同時期に日本メディア数社も、新任の北京在住記者に対するビザ発給をわざと遅延させるなどの嫌がらせを受けていたそうです。

 しかも、嫌がらせの類を受けることは米国よりも日本の方がずっと多い。
 海外におけるメディアの力は母国の国力と比例しており、日本メディアは明らかに舐められているのだと。

 年末のビザ更新時期になると、中国の総局・支局から東京の本社に「あまり中国を批判的に報道するとビザが更新できないので、配慮してほしい」と連絡がくるという話も、福島さんは聞いたそうです。

 実際、日本メディアの場合は、ビザ発給拒否や遅延の嫌がらせを受けても、これを公にして中国に抵抗することはあまりせず、それよりも水面下で交渉し、ビザを発給してもらえるよう働きかけるのだと。

 都合の悪い記事を書いた記者を帰任させたり、中国が気に入らない記事を没にしたりして、「反省」を見せることもあるのだそうです。

 Σ(゚Д゚;エーッ! それって報道機関としてどうよ?!(#゚Д゚)
 ……と、誰もが批判をしたくなりますよね。

 福島さんもその批判はもちろん想定済で、苦しい胸の内をこう明かします。

 「報道機関にとっては総局撤退といった形で現場取材機会を完全に失うことのほうが致命傷だ。報道の自由のための妥協である。だが、現場に記者がいても事実を正しく報道する自由は保障されていない。相当深いジレンマがある」


 実は福島さん自身も、2007年暮れに記者証発給拒否、ビザ発給拒否を経験しています。

 そのことを綴った福島さんの当時のブログ記事がこちら。

記者証が更新できない!(2007/12/17 18:52)
やっと記者証でました!お騒がせいたしました。(2007/12/26 19:26)

 12/26付記事の冒頭で示唆されているように、12/17付記事の内容に中国外交部が激怒し、このあと、産経新聞は総局の存亡を揺るがされるような強い圧力を受けたそうです。

 残念ながらその内幕は「WiLL」2月号コラムでも明かされてはいませんが、この時ご自身の記者証が何とかギリギリで更新された主な理由として、次の2点を挙げています。

 北京五輪前で中国が対外イメージを重視していたこと。
 産経の当時の上司が外交部や共産党幹部と深い人脈を築いており、交渉が可能だったこと。

 つまり、北京五輪前は、嫌がらせはあっても退去に至る前に交渉の余地があったということです。


 その頃に比べると状況ははるかに悪化しているようで、福島さんはこう嘆いています。

 「習政権は米国の大手メディア記者を本気で追い出しにかかっている。まるで文化大革命時代の再来である。
 文革時に現場に残った唯一の日本メディアは、文革礼賛報道を続けた朝日新聞だった。いま、その判断を笑うことはできるが、もう一度あの時代が来たらどうだろう」

 日本も含め外国メディアは、中国共産党の横暴に屈することなく真実を報道すべきだ!
 ……私たちがそう主張することは簡単です。

 が、仮に、メディアがジャーナリズムの正義を貫き、その結果、支那から退去させられたとしたら、別の大きな懸案が生じますよね。

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 チベット・ウイグルなどの民族問題、貧富の格差、官僚の汚職や不正蓄財、土地強制収用、環境問題など、多くの問題を抱える支那では、暴動やデモが年間に何十万件も発生しています。

 もし習政権が人民を抑えきれなくなり支那が大混乱に陥った時、それを取材し報道する外国メディアが現地にいなかったら、私たち日本に住む日本人は、現地の情勢や在住日本人の動向などをどうやって知れば良いのでしょう?

 そういう時でも朝日新聞はきっと支那に残っているでしょうが、文革の時と同様、中共におもねる報道に終始したりしないでしょうか。

 これは苦渋の、究極の選択になりますが、日本も含めた外国メディアにはいずれ来るであろう「その時」に備え、今はギリギリの妥協をしながら、支那に留まっておいてもらった方が良いかもしれない、と私は思います。

 福島さんの言うように、「現場に記者がいても事実を正しく報道する自由は保障されていない」という危惧はもちろんあるので、本当に苦しい選択ですが……。


 おまけの情報。

 支那人実業家・陳光標氏がニューヨーク・タイムズを買収すると言っていた問題。
 本人が、ウォールストリート・ジャーナルとのインタビューで、買収失敗を認めたそうです(産経2014.1.10 07:24)。

 が、今後もメディアへの影響力を強め、支那への理解を深める活動は続けるとのこと。
 つまり、今後もNYTなど米メディアを利用しての日本叩きは続行するということですね(T_T)


※今日紹介した福島香織さんのコラム、全文は「WiLL」2014年2月号で。



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okirakubanner.jpg「お気楽くっくり」更新済
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Comments

情報戦、法律戦、心理戦のうちの情報戦てわけですね。強いものには弱く弱いものには強い。弱味につけこむことを屁とも思わない支那らしいやり方です。
ポール | 2014/01/14 01:30 PM
くっくりさんが中国にいる報道機関の心配をされているのはわかりますが、これは今に始まった話ではなく、むしろ長く続けられてきた状態なのです。この状態が中国の方から断たれるのであれば大歓迎と言いたいところでしょうが、実際には関係者の「局所最適化、大局不適合」で更に報道がゆがめられるのでしょうね。詳しくは青木直人先生のDVDなどをご覧下さい。

ところで、私たち民間の一般人が指をくわえて見ていなければならないということはありませんよ。逆に中国に利害関係のない私たちだからこそできることがあります。一体何が問題かと言うと報道関係者の安否の話ではなく、「私たちが中国が中国の国の中あるいは外(つまり我が国の内部でも)に関らず仕掛けている様々なことを知る権利が侵されている。あるいは知らされていない状態がある」ということでしょう。

いささか勇み足ではありますが、今この時点で一つの運動を提唱したいと思います。
「国民の間で認識を共有するために、国の内外にかかわらず全体主義国家およびその国民と関った人・物・事に関する情報を無条件無制限に公開する法律」の制定運動です。何を以て全体主義とするかは明確に条件付けをし、適合したと看做した場合、行政府の判断で特定国を全体主義と指定します。逆にここで予め法律で無条件に特定国を指してしまうと、人種主義の上げ足をとられてしまうでしょう。あくまでも機械的に条件を設定しておくだけです。

国内法で、外交関係や、国内のその国の内部での処遇を規定する法律は、よくアメリカがやっています。代表的な物は「台湾関係法」ですね。

どの道今の自民党政権ですら無理筋の法律ですが、情報を公開するのだから左翼を装った反日勢力も反対できますまい。あれほど秘密保護法に反対したんですからね。

ところで、これは民間の運動だけでいいのです。中国の間接侵略、世論戦・法律戦・心理戦に苦しむ諸外国の国民に「その手があったか!」と思わせるだけの普遍性がないといけません。つまり国内運動に限定するのではなく、周辺諸国でも同様に運動を展開できるように先駆けとなるのです。

これは請願運動の形をとりますが、請願が目的ではなく、訴求運動であり、また具体的な活動を支援する運動です。具体的な活動とは、まさにネットの利点を使う方法です。ネット上で自由に閲覧できる「間接侵略事例データベース」を構築するのです。中国のやることなすことすべて秘密ではありませんし、むしろ頻繁に馬脚を現しています。しかしそれらが断片的・離散的に扱われている限り、多くの国民は中国がもたらす危機に具体的なイメージを抱きにくいのではないでしょうか。そこで事例を集め、内容を審査し、信頼度をランキングし、検索しやすいようにカテゴライズし、公表するのです。通報者の身元を保護するために情報の加工は必要かもしれませんが、春秋の筆法ではありませんが、隠蔽されている部分の輪郭をわかりやすくしておくことも必要でしょう。

実はこの事例データベース構想は私のオリジナルではなく、とあるジャーナリストの受け売りです。彼は乱訴への訴訟資金の枯渇とリソースが割けないために断念したそうです。しかし「大衆的に」乗り越えることがネットというシステムを使って可能なのではないかと愚考しています。

もう一つ忘れてならないのは、乱訴への備えです。乱訴とは、潤沢な資金を持つ左翼が良くやる戦術です。後ろ暗い対中協力企業が、勝ち負けの見込みにかかわらず、みだりに訴訟をちらつかせたり、あるいは実際に告訴して、まともな報道をしようとするジャーナリストや団体を資金面で疲弊させる戦術です。これもどこまで可能かわかりませんが、訴訟の度にネット言論を「炎上」させてカンパを集め支援する体制を整えることが必要です。炎上すれば企業イメージが損なわれますし、一方でカンパが集まれば御の字です。どんなに専門化されたジャーナリストであっても独りでは戦えません。これこそ大衆運動ならではの強みがあります。

そもそも中国の世論戦・法律戦・心理戦あるいは超限戦が力を持つのは、その内容が秘密裏に行われるからです。敷石を持ち上げダンゴムシやヤスデを散らす様に、彼らの隠微な手法をことごとく白日のもとに曝すことを目的とします。おそらく後ろ暗い手法で国内で活躍する連中は追い詰められ国外に逃げ散ることになるでしょう。

よく「支那人と韓国人は出て行け」と安易に叫ぶネットユーザーが多いのですが、そういう手法は我が国のような伝統的なw自由民権社会(私は民主主義という言葉を使いません)で使うことはできません。もっと実現可能な方法で彼らを追い詰めてゆかなくてはいけません。

私はむしろ、この運動を進めて、ヘイトスピーチに流れがちな保守層を真っ当な道に引き戻せたらとも考えています。いかがでしょうか。

もし具体的興味がありましたらFacebookアカウントやTwitterアカウントがありますのでご一報ください。

大変手前勝手な長文で場を汚してしまい、誠に申し訳ございません。これで失礼いたします。
小田島匡 | 2014/01/14 06:35 PM
土曜朝のウェークアップ!ぷらすって関西でもやってるんですかね?先日の放送に太田元沖縄県知事が出てて、最後のほうにぽろっと「中国は脅威ではない」って言ってました。
椅子から転げ落ちそうになりましたよ。w

サヨクの人って、本気なんですかねえ??
Yu | 2014/01/15 12:00 PM

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