「亡国のイージス」見ました
 「亡国のイージス」を見ました。
 お盆だから混むだろうってことで朝イチで行って来ました。一人で、です。
 夫を誘ったんですが、こういう戦争系の映画は超苦手なんだそうです。怖くて見れないんですって。「俺の前世は戦争で死んだ人間だと思う」なんてことまで言い出す始末で(^_^;

 朝イチにもかかわらず、お客さん、けっこう入ってました。老若男女いろんな人が来てました。下は中学生〜上は80代まで。
 一人で来てる人もけっこう多かったです。私のように女性一人というのも5〜6人いたみたい。

 事前に映画見た人の感想をネットで何件か読んだんですが、それによれば概ね、原作読んでから見た人は「不満」、原作読まずに見た人は「満足」というパターンでした。
 私は原作未読。だからけっこう期待して見たのですが……ちょっと期待しすぎたかな(^_^;

 原作が上下巻あって膨大な量らしいので、それを2時間ちょっとという枠内に収めるには無理があったってことなんでしょうね。
 つーことで、原作読んでない人はかなり想像力を働かせないとついて行けないかも……?

・・・・・・以下、ネタばれ含みます。ご注意!・・・・・・

 イージス艦「いそかぜ」乗員の中で主要人物は4人。

 ・真田広之(先任伍長)
 ・寺尾聡(副長)
 ・中井貴一(FTG=海上訓練指導隊隊長、実は某国の元工作員)
 ・勝地涼(一等海士、実はDAIS=防衛庁情報局の工作員)

 この中で「普通の人」は真田だけ。熱血風でわかりやすいキャラ。だからこの人が主人公になったのかな?
 他の3人の誰かを主人公にしたら、また別の面白さが出たかも。特に勝地が主人公のバージョンを私は見たいと思いました。

 時間に制約があるせいでしょう、説明不足というか、登場人物一人一人の「その行動に至った背景」があまり見えなくて、正直どの人物にも感情移入しづらかったです。

 寺尾が息子の死をきっかけに「反逆」に向かった気持ちは何となくわかるんですが、でも部下たちはなぜ寺尾にあそこまでついて行ったのか?
 部下らが「有事法制研究会」=「宮津学校」(宮津は寺尾の役名)のメンバーであることは説明があったけど、それだけ。

 勝地の生い立ちやDAISの工作員になった経緯とかもよくわからん。父親を殺してしまったのが直接の原因らしいのはわかったけど、それ以上はわからん。
(そもそもなぜ父親を殺したのか?母親の自殺が絡んでいるのはわかったが、それ以上はやはりわからん)

 中井は祖国(映画では「某国」扱いですが、原作ではちゃんと「北朝鮮」と明示されているそう)に失望し、宮津をそそのかしてイージス艦を乗っ取って、祖国を革命しようとしたようだけど、なぜそこまで思い詰めたのか、なぜこういう手法を取ったのか、そのへんもさっぱりわからん。
(蓋を開けるだけで機能するらしい特殊兵器を持ってるのに、イージス艦を乗っ取る必要あるの?)

 チェ・ミンソ(女工作員。中井の妹という設定)の存在意義もよくわからん。「女っ気が全然ない映画だから、とりあえず出しとけ!」……じゃないですよね(^_^;

 また「東京、壊滅の危機!」のはずなのに、その緊迫感があまり感じられなかったのもちょっと残念。

 あと気になったのは、「日本は今の防衛体制でいいのか?」的な台詞が主に佐藤浩一(DAIS内事本部長)から何度か発せられるんですが、台詞でやるだけでなく演技で、ドラマとして見せてほしかったなあと思いました。
 台詞でそういう言葉を連発されると何か説教がましい感じがして……贅沢かしら(^_^;。もちろんこれも時間の制約の関係で仕方なかったんでしょうが。

 とか言いつつも、以下の佐藤の台詞は良かったです。この映画の一番言いたかったことかも?

 戦後、六十年、日本は太平洋と東シナ海の狭間に、ただ浮かんでただけだ。なあ、平和だったらそれで国って呼べるのか?

 私が結局一番感情移入できた人物は、谷原章介(水雷士)だったのかも。
 途中までかなりヘタレな純粋まっすぐ君だったのが、真田に喝を入れられて以降、命懸けで重要な役割を果たしたってことで(でもあれは命懸けというよりはアクシデント?(^_^;)。

 まあ何やかんや書きましたが、実を言えば2時間ちょっとの上映時間はあっという間に終わってしまったんです。すごく短かく感じました。
 私が「この映画はおススメか否か?」の判断材料として挙げるのは、「上映時間中、寝るポイントがあったか否か?」なんですが、その意味で言えば、「亡国のイージス」は寝るポイントはありませんでした。
 原作未読の私としては、「ちゃんと見ておかないと話がよくわかんない」からというのもあったと思いますが、まあとにかく飽きさせない映画であるのは確かだと思います。

 ハリウッド映画のような派手なアクション物ではないし、クライマックスも地味です。が、人物描写とか人の心の機微とかを緻密に描くこと、それこそが日本映画の醍醐味だったりしますし、それもまたよろしいかと(それだけに人物描写が不十分だったのが残念……)。

 この映画の特筆すべき点は、何と言っても「日本人諸君、平和ボケしてる場合じゃないよ」というメッセージ、これでしょうな。
 今の日本で、「憲法9条のおかげで日本は平和を維持できている」なんて幻想を未だに信じてる人はわずかだと思いますが、まだそういう人がいたらぜひ勧めてあげて下さい。

 パンフレットに出演者のインタビューが載ってるんですが、中井貴一がこんなふうに言ってます。

 あくまで思想ではなく、ひとつのエンタテイメントとして、こういう題材の作品を撮れるということ自体が“日本ではあり得ない”と思っていました。でも、こういう作品ができれば、それが初めての足掛かりになって、これからの映画のテーマの幅が広がるし、いろいろ語り合えると思います。それは日本映画にとって大きなことだし、今回の試みはとても勇気のあるものだと思いますね。

 この映画をきっかけに、日本という国の在り方を問うような映画……見た人に政治とか安全保障とかに興味を持ってもらえるような映画が、たくさん作られるようになればなあと思います。

 防衛庁や自衛隊が全面協力したこともはずせませんね。時代も変わりましたなあ。

 以上、パンフレットも参考にしつつ書きました。
 パンフは1000円ですが、巻末に台本がついてたり、主役級だけでなく脇役陣のコメントも載ってたりするし、ちょっとした本並みの分厚さで(まだ全部読めてない(^_^;)、決して高くはないと思います。

 帰りに本屋さんに寄りました。原作を買うかどうかかなり悩んだんですが、未読の本が家に山積み状態だし、今日買うのは見送りました。
 でも夜になってこうやって映画の感想など書いてますと、やっぱモヤモヤしますわ〜。謎だらけで消化できてないから。このモヤモヤ感を解消するには、やっぱ原作読む以外にないのかな。

(敬称略)



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Posted by くっくり 23:51 | 雑記 | comments (5) | trackback (0)
コメント
お久しぶりです。
さて「亡国のイージス」ですが、私は事前に原作を読み
公開された30日に観に行きました。
実はこの映画に対する期待度は原作を読む前が最も高かったです。(^o^;A
読んだあと、少し期待値を下げなくては…と思い、
映画を見終わったあとの評価はその期待値よりもさらに低くなってしまいました。

映画評は5サイトほど読みましたが、ココ↓が私の感想と一番近いものです。
http://movie.maeda-y.com/movie/00569.htm
(以下ネタバレバレです!注意)
まず

> これだけ登場人物が多いのだから、せめてテロップで場所と役職の説明くらい
> 入れる配慮があってもよかった。……というより、こうした軍事もの映画では
> それ自体が緊迫感を高める演出にもなる。積極的にやるべきだった。

これですね。
ドラマ「海猿」でさえテロップはやっているのに、なんで映画でやらんのか?と。
そして、

> 艦内での先任伍長の動きを中心に追っていくので、艦隊戦などの大掛かりなアク
> ションはあまりないが、唯一別の護衛艦との艦上戦闘の場面は、CGを駆使した大
> きな見せ場になっている。しかし、ここに残念ながら期待したほどの迫力がない
> のは、基本的にアクションの見せ方が下手だからだ。

このあたりはもう「うんうん」と大きく頷かずにはいられません。
以下に続く文章も、あまりにも的を射ている評なので、
最近ほとんど映画を観ていない私もこのサイトの過去ログを
(観ていないにも関わらず)いろいろ読んでしまったくらいです。
こんなにも映画の本質を見抜き、説得力のある人の文章はどんなだろうと思って。

これに加えるとしたら、原作についてですが、福井晴敏さんの文章はおそらく
「合う・合わない」があると思います。
残念ながら私は(ストーリーは別として)あまり合わなかったです。
ひとつのことを表現・説明するのにくどすぎるというか、
もっとシャープに簡潔に出来ないものかと。
(そうすればもっとページ数も少なくて済んだと思う)
…なんか文句ばっかりでスンマセン。(^o^ゞ
しかしながら、くっくりさんや前記の映画評にあるように、これをキッカケとして次はもっと問題意識を明確にしたものも作られるようになれば…と強く思います。

ところで(ここからは本当に雑談なのですが)私は原作を読んでいるとき
主要な出演者をすでに知っていたので勝手にキャスティングしていたのですが、
若い勝地涼クンは間違えようがなかったのですけど、艦長(原作では副艦では
なかったのです)が中井貴一、工作員が佐藤浩市でした。(^o^;A
ですからちょっと違和感がありましたねー。
勝手に決めつけておいてアレなんですが。
Posted by きょろりん | URL | 05/08/13 01:46 | bogCpqaI

くっくりさん、どうも。いつも「うなる」ぼやきをありがとうございます。今後もがむばってくださいっ!

で、さっそく突っ込みです。すみません。ははは。

>今の日本で、「憲法9条のおかげで日本は平和を維持できている」なんて幻想を未だに信じてる人はわずかだと思いますが、まだそういう人がいたらぜひ勧めてあげて下さい。

わずかじゃないですよ、全然。(だいぶ減ってきているようですが。)それに、9条幻想を信じてる人たちに限って、「亡国...」を勧めても頭越しに否定して、見ないのに文句だけ言うんでしょう。いつものように。残念ですが...

あきらめちゃダメだ...って分かってはいるんですけど。はぁ...
Posted by 未定 | URL | 05/08/13 02:16 | pFjaOj5Y

くっくりさん、こんにちは。

私、これ、原作しか読んでないんですが。配役はなかなかいいかと思ったんですが。勝地さんが知らないのでどうかと思ってました。よかったみたいですね。

原作、私はむちゃくちゃ面白かったですし日本がどうあるべきか、っていう問題提起がなされてたと思います。登場人物それぞれに背景がありますし。スイスイ読めますんで、是非、お試しください〜
Posted by cobber | URL | 05/08/13 16:29 | TJqLHq1g

くっくりさん。こんにちは。
以前派遣サイトを拝見してました者です。
ブログになってたのですね。
『亡国のイージス』は公開2日目に鑑賞しましたが
ほとんど男の人(30〜60歳位?)でした。
女1人は私だけ(^_^;)

原作をみていませんが、
日本の国のありかたや防衛体制というもの
などいろいろ考えさせられる映画だったと
私も思います。(日本の防衛庁のみならず、
韓国の大手映画会社もキャスティング協力
していますよね)
中井貴一さんのコメントは印象に残りました。
確か中国の映画にも2本出てたので、
余計そう感じたのかもしれません。
Posted by taka | URL | 05/09/26 13:30 | X1Ei0Mrk

takaさん、コメントありがとうございます。ブログでもよろしくお願いします(^o^)
「亡国のイージス」はやはり男性客が圧倒的だったようですね。
私は先に映画を見て原作は後から読んだんですが、原作も良かったですよ。オススメです。
中井貴一さんは素晴らしい役者さんですね〜。他の役者さんももちろん素晴らしかったですが、特に中井さんはハマリ役だと思いました。
Posted by くっくり | URL | 05/09/26 13:42 | PcE8kuzo

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