防人の万葉集

2009.12.27 Sunday 03:27
くっくり


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藤波の花は盛りになりにけり奈良の都を思ほすや君
(第3巻・330)

作者:大伴四綱(おほとものよつな)

よみ:藤波の花は、盛りになりにけり、平城(なら)の京(みやこ)を、思ほすや君

意味:(大宰府では)藤の花が盛りになりました。奈良の都を懐かしく思い出されますか、あなた様も。

備考:大伴四綱は天平初年頃、防人司佑として大宰府に仕えていた人。原文では「奈良の都」は「平城京」となっているそうです。「君」とは大伴旅人(おおとものたびと)をさします。旅人はこの歌に次の331番で「我が盛りまたをちめやもほとほとに奈良の都を見ずかなりなむ」(私が若かった盛りの時に戻ることはほとんどないだろうし、奈良の都も見ないままに終わってしまいそうだな)と応じています。
 なお「太宰府」と「大宰府」の違いですが、太宰府市のHPによれば、地名には「太宰府」、歴史的なものには「大宰府」と使い分けているようです。

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我が妻はいたく恋ひらし飲む水に影さへ見えてよに忘られず
(第20巻・4322)

作者:若倭部身麻呂(わかやまとべのみまろ)

よみ:我が妻(つま)は、いたく恋(こ)ひらし、飲(の)む水に、影(かご)さへ見えて、よに忘(わす)られず

意味:私の妻は、とても私のことを恋しがっているようです。飲む水に妻の影さえ映って、忘れられないのです。

備考:この歌の題詞には、「天平勝宝7年(755年)2月6日、交替で筑紫に遣わされる諸國の防人らの歌」とあります。若倭部身麻呂は、麁玉郡(あらたまのこほり=今の静岡県浜北市と浜松市の一部)の人。
 「恋ひらし」「かご」はそれぞれ「恋ふらし」「かげ」の訛りです。

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