GHQ焚書「敗走千里」より支那軍の実態
2009.08.23 Sunday 02:41
くっくり
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物語は塹壕から始まります。
前出エントリーで紹介した「斥候」の話が2ページ目にして早くも登場します。
この戦争の初め頃は、誰も今程この斥候*1に出るのを厭やがりはしなかつた。嫌やがるどころか、古くから兵隊をやつてゐる者共はその殆(ほとん)ど全部が、その斥候を志願したのだつた。この分隊から下士斥候が出るといふ時なぞ、それの参加志願者で押すな押すなの騒ぎだつた。
「分隊長殿、今度は儂(わし)をつれてつて下さい」
「馬鹿! お前はこの前の時に行つたぢやないか。今度は俺だ。」
そんな始末だから、洪傑(ホンチェ)*2としても斥候の人選に困るやうなことはなかつた。澤山(たくさん)の志願者の中から氣に入りの者だけを抜き出せばいゝわけだつた。
下士斥候は大概の場合、五名か六名だ。それが揃つていざ出發といふ場合、彼等はにやりと何か意味ありげな微笑を交はす。陳子明(チエンツミン)の如き、僅か一ヶ月程前から強制徴募されて來た新兵には、その微笑が何を意味するものか、初めは全然判らなかつた。
が、二時間程して、意氣揚々と帰つて來た彼等を見て、新兵たちは初めて、彼等が何故にあの危険極まる斥候を志願するかが解つた。彼等は実に夥(おびただ)しい種々雑多な戰利品をぶら下げてゐるのである。主に、時計とか指輪、耳飾り……と云つたやうな、小さくて金目のものだが、中には、重い程そのポケツトを銀貨でふくらまして來るものがある。
或る一人の兵が持つてゐた耳飾りの如き、現に、たつた今まで或る女の耳にぶら下つてゐたものを無理に引きちぎつて來たからだらう、血痕が滲んでさへゐた。しかもその兵の、無智、暴戻(ぼうれい)、殘虐を象徴するかの如き、ひしやげた大きな鼻、厚く突き出た大きな唇、鈍感らしい黄色く濁つた眼……その眼が何ものをか追想するやうににたりにたりと笑ひ、厚い大きな下唇を舐(な)めづり廻してゐる顔を見てゐると、陳子明の胸には、何かしら惻々(そくそく)とした哀愁が浮んで來てならなかつた。あの血痕の滲んだ耳飾りと關聯(かんれん)して、何かしら悲惨なことが行はれたやうな氣がしてならないのだつた。
斥候に行つた連中は、お互ひに何か探り合ふやうな視線を交して囁き合つてゐる。
「おい、張開元(チヤンカイユアン)! 貴様それだけか?」
ポケツトをざくざく銀貨で云はしてゐる男が云つた。
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