64年目の夏に読む青山さんの新刊&うじき氏親子の「戦争」

2009.08.16 Sunday 02:18
くっくり


 世界の健康な常識からすれば、あり得ないことであり、諸国民がにわかには信じないことだ。
 適当に推測を話しているのではない。
 富めるアメリカから、貧しいペルーまで、諸国を歩きながら話せるひとには話して、いちいち、のけぞるように驚かれてきた。
 話せるひと、というのは地位のことを言っているのではなく、公平な耳を持つという一点で信頼できるひと、という意味だ。祖国の恥の話であるから、誰にでも話して意見を聴くというわけにいかない。
 「日本は民主国家でしょう」
 日本に憧れてきたという若いペルーの大学講師は、叫んだ。
 「その奪われた領土を、取り返すために、政党と国民がああでもない、こうでもないと激しい議論をするはずだ。軍事力を行使してでも取り返せという政党から、独自の外交力を発揮して強硬にやれという政党やら、いや自国だけで解決するのは諦めてアメリカと組めという一派、アメリカじゃなく国連に頼れという一派、入り乱れて選挙を繰り返すはずだ」と彼は、眼を大きく見開いてわたしに迫った。(p.49)

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 神舟7号の打ち上げと、初めての中国人宇宙飛行士による宇宙遊泳という名の船外活動を、なぜ世界の誰も喜ばないのか。
 それは、宇宙開発に人類が慣れてしまって、もはや夢の話ではなくなり、湖が干上がったりする地上、餓死する人間がアフリカや北朝鮮で絶えない地上、サンゴが死滅する海、南の魚が北で採れてしまう海、宇宙よりもこれらを何とかしてくれと、みなが思っているという背景もある。
 しかし何よりも、中国の国威発揚の度が過ぎるのだ。
 神舟というロケットの命名もそうであり、そもそも北京オリンピックでも貧しい市民の住宅を政府が勝手に潰して街をきれいに偽装して開催したことを世界が知ってしまった直後に、友人宇宙ロケットの打ち上げとなれば、相も変わらず中華思想にもとづく国威発揚が最優先なのかと、ふつうの生活感覚を持った諸国民なら、げんなりしてしまうのだ。
 日本国民の税から政府開発援助(ODA)の名で三兆円もの援助を受けてきた中国は、国威発揚のまえにやるべきことがあるだろうと、それは給料から天引きでODAの原資を持っていかれた日本のサラリーマンならずとも思うのだ。
 わたしがその日本国民だから、こう言っているのではない。イギリス海軍の大佐に「なぜ日本のサラリーマンは、神舟7号を打ち上げたのなら、その分のODAを返せと、中国に言わないのか」と、まともに聞かれたから言っている。(p.91)

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