2008.03.22 Saturday 03:24
くっくり
野口 今どんな教育が行われていますか。
大高 寺院には「愛国再教育」なる名目で、工作隊が送り込まれ、チベット独立反対やダライ・ラマ拒絶など、チベット民族主義の「弊害」を教えています。これに反する動きをすると即、収容所行きです。むろんダライ・ラマの写真は一枚も飾られていませんし、家庭で隠し持つことすら許されません。チベット語教育も「チベット語はチベット仏教そのもので毒。従ってチベット語も禁ずる」という理屈で禁止されています。
野口 中国化が急速に進んでいますね。
大高 神聖なポタラ宮から車で5分のところにピンクのネオンがともる売春街が広がり、郊外の広場にテントを建てただけの即席売春所もありました。公安警察の目をかいくぐり案内してくれたチベット人が「漢民族がチベットに持ち込んだものは売春婦だけでなく性病と麻薬の蔓延(まんえん)だ」とそっと教えてくれました。公衆便所の壁一面に「淋病(りんびょう)」「梅毒」と書かれた病院の広告が張られているのも見ました。
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野口 失業率も高いそうですが。
大高 昼間から路上で「ショ」と呼ばれる賭博に興じ、酔っ払っている男性も多いですね。麻薬に走る若者もいる。あるチベット人青年は「これは中国政府の謀略だ。彼らはわれわれの国土や文化を破壊した後、精神まで破壊し、チベット消滅を図っている」と悲憤していました。
野口 ダライ・ラマは平和的対話を求めていますが、中国政府は応じていない。ダライ・ラマが選択した非暴力主義は立派な考えですが、それではチベット人の迫害は止まらないのでは。
大高 その点をダライ・ラマと会見したときに問いました。ダライ・ラマは「確かに悲しむべき事態だが、人間の魂と、その人間の行動を区別して考えねばならない。チベット人を弾圧している中国政府の役人も、そうしなければご飯を食べていけない事情もある。中国の政策に反対し、異論を唱えることは大事だが、同時に相手を同じ人間として尊重する気持ちを忘れないことも大切です」と語っていました。
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