鯨供養祭にみる日本人の心と戦略見直しを迫られる捕鯨問題

2014.05.05 Monday 03:10
くっくり



 まず、ジャーナリスト・東谷暁さん。

【もし、捕鯨とクジラ食を日本固有の伝統だと主張し、それを守りたいだけならば、別に南極海に出かけていかなくても、沿岸捕鯨だけにとどめ地域の生業として守ればいいことになるし、そもそも、伝統文化を理由に外国を説得しようとするのは逆に危険であることを肝に銘じねばならない。
 日本人の多くは犬肉を食べなくなったが、かつては食べたし、今もこれを食する国が存在する。ある文化人類学者がいったように「多文化というのは、いやったらしいもの」なのであり、「いやったらしいもの」で説得しようというのは馬鹿げている。
(中略)本当に自分たちの伝統文化を守ろうと思うなら、他国と共通の認識が可能な部分で徹底的に正当性を論証しなくてはならない。もちろん伝統文化の違いが根底にある。だからこそ文化や国境を超える事項については、価値と戦略は別にすべきなのだ。】

 そして、東京大学大学院准教授・八木信行さん。

【今後日本はどのような情報発信を行うべきか。「捕鯨は日本の文化だから捕鯨を再開させてくれ」というメッセージを直接発信するのはあまり良い方策ではないと思う。ただ単に直接的な捕鯨への支持を求めていくのではなく、捕鯨も含む広い意味での地球環境に関する日本の考えや、世界に向けた貢献の意思などを発信すべきなのである。つまり日本というブランドへの支持が重要なのだ。
(中略)今後の日本の捕鯨は、クジラだけについてではなく、広く生態系を保全し利用する観点から議論を訴える方が良いだろう。日本は、自国がクジラ資源を利用するために主張を展開しているという構図ではなく、途上国を含めて世界がいかにうまく生態系と調和した資源利用ができるかという構図で議論をすべきなのだ。】

 いずれにしても、捕鯨問題について日本の戦略の見直しが急務であることは間違いありません。
 どうすれば国際社会を味方につけられるか、官も民も情報発信の仕方をよりいっそう工夫していかねばならないと思います。

 2月のフランスにおけるアングレーム国際漫画祭(韓国の慰安婦漫画の展示問題)で、日本側が思いのほか冷遇された時にも感じたのですが、国際社会においては「正論を言えば理解してもらえる」とは限らないのです。

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