北方領土の日に思う もし上坂冬子さんがこの状況をご覧になったら…

2011.02.08 Tuesday 04:10
くっくり


 あの時の日本政府の対応はあまりにもひどいものでした。

 北方領土問題に熱心だった作家の上坂冬子さんが、この事件について取材した中身が当時の雑誌に掲載されたのですが、それによれば、日本政府はロシア側に抗議をしただけで実質何もしませんでした。

 拘束された船長がロシアで裁判にかけられた時も、外務省は法廷に弁護士も通訳も送らず、船長は孤立無援のままロシアの言うなりに罪状を認めるしかなかったのです。
 その上、船長以下乗員は根室海上保安部から書類送検までされたそうです。北海道庁はロシアが勝手に引いた「中間線」から少し北海道寄りに「規則ライン」を引いてしまっており、この規則を破ったからというのが理由だったそうです。

 上坂さんはこの事件における日本政府の一連の対応について、こう憤っておられました。

 「もともと政府が『わが国固有の領土』と繰り返し公言してきたにもかかわらず、領土内でおきた殺人事件に国家として手も足も出せず、解放を前提にした罰金も、すべて国民負担というのは理不尽ではないか。日本政府に“甲斐性がない”ために、国民は自国の領土内で殺されたという点を、私は声をからして叫びたい」

 そしてロシアに対しては、こう厳しく批判をされました。

 「すべてはスターリンの無法に始まっている。問題は民主ロシアがいまだにスターリンの暴挙を“実績”とみるのか、それとも暴挙を否定して先進国の名に恥じない態度をとるかどうか、にかかっている」

 上坂さんが国後島に本籍を移されていたことは有名な話です。
 残念ながら2009年4月に亡くなられましたが、もし生きていらして、民主党政権の無為無策やメドベージェフ大統領の国後島上陸をご覧になっていたら、どれほどお怒りになったことでしょう。

 (上坂さんのこのお話についての詳細は07/9/11付:北方領土とロシアの蛮行を忘れるなをご覧下さい)

 とにかく自民党時代も相当ひどかったわけですが(長くなるので鈴木宗男氏の話とか今回は省きましたが)、ただ、それでも少なくとも自民党政権時代は、ロシア及びソ連の最高指導者は北方領土入りにまでは踏み切れなかったんですよね。

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