戦前を上手に思い出せ! さすれば尖閣も……

2010.10.11 Monday 17:29
くっくり



新保

 確かに敗戦を日本人のように受け止めた例は古今東西、絶無だと思います。私は敗戦というと(吉田満の)『戦艦大和ノ最期』の初稿の最後に置かれた「天下に恥じざる最期なり」と保田與重郎の「偉大なる敗北」という言葉を思い出します。日本人があの敗北をつまらない敗北と思っている限り、日本人の精神は立たないと思います。あれは敗北ではあるけれども、偉大なる敗北であったと思うようにならないといけない。負け犬根性のままでは絶対に精神は立たない。たとえば保田與重郎の『万葉集の精神』を読み、なぜ日本の敗北は偉大だったのかということを日本人がわかるようにならないといけないと思いますね。

〈中略〉

桶谷

 日本人の精神は日露戦争をへて大正時代という時代を迂回してやっと日本への回帰というところに辿り着き、日本浪漫派を中心に日本への回帰を求めていった。しかし、敗戦で日本への回帰を求める精神は打ち捨てられてしまった。平成という時代があと何年続くか知らないけれど、またわかる時が来るのかはなはだ疑問です。わからないまま日本はなくなってしまうのではないでしょうか。

新保

 そこですよ。いまこそ我々は戦前を上手に思い出さなければならないと思います。たとえば明治維新は百年たってようやく明治三十年に生まれた大沸次郎によって上手に思い出されました。つまり『天皇の世紀』です。いま敗戦から六十五年が経ちました。昭和の初めからだと八十五年です。はっきりしているのはNHKが主導する報道ジャーナリズムの思い出し方、つまり戦争というと条件反射的に「悲惨」という言葉でくくってしまう思い出し方ではだめだということです。

桶谷

 おっしゃるとおりです。

(終わり)

 ______________________________起こしここまで


 あの戦争の意義を日本人自身が理解しない限り、真の意味での「戦後」は終わらないのではないか。この対談を読んで私はそんなことを思いました。

 歴史には常に光と影があります。それは戦争という、一見、影の部分にしか見えない出来事にも当てはまります。

 私は、大東亜戦争の意義や日本が果たした大きな役割を知っていただきたい、また、戦った先人が未来の日本人すなわち私たちに伝えたかったことを知っていただきたい、その一助になればという思いで「外国人から見た日本と日本人」シリーズや、「将兵万葉集」シリーズなどをUPしてきました。

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