江戸時代を見直そう

2010.03.23 Tuesday 01:08
くっくり



〈中略〉私は人口や統計を通して、今までの江戸時代像を見直し、書き直すことが必要だということを強調しておきたいと思います。また、先ほど芳賀先生からツュンベリーのお話が出て、「日本に欠けるものは科学技術ぐらいだ」と彼が書いたとおっしゃいましたが、これも日本人に能力がなかったからではありません。理由はこれから述べる通りです。

 実は当時の日本は世界一の人口密度を持った人口大国でした。一八五〇年代の人口大国は第一が中国、二番目がインド、三番目がロシア、四番目がフランスです。そして今ある国で言うと、日本がその次に来ます。イギリス、アメリカなんて、人口から見れば二千万あるかないかという小国です。その当時、ハプスブルグ家のオーストリア・ハンガリー帝国がありましたが、これが日本よりちょっと大きいぐらい。

 そこで日本人は楽しくそこそこの暮らしを営んできたのです。そのために、人口を増加させず、森林を守るために厳しい規制をしいた。日本人は森林という共有地をみんなで自主的に守ってきました。共同体のメンバーが持続的な生活をできるように協定を結んだのです。

 科学技術の話に戻りますと、当時の日本のように労働力が潤沢で燃料も十分にあるところでは、産業革命は起きようがないのです。そこそこの生活ができるからです。イギリスでなぜ産業革命が起きたか。ジェームズ・ワットが蒸気機関を作ったからではありません。森林が涸渇してしまって、もう石炭に切り換えざるを得なくなったからです。必要に迫られて蒸気機関が作られたのです。ところが日本はその必要がなかった。それで一見遅れたように見えましたが、二十一世紀においては、必ずしもそうではないという理解もできるのではないかと思っております。

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 いかがでしたか?

 私はこの抄録を読んで、何だかすごく温かい気持ちになりました。
 もちろん江戸時代の全てが良かったなんて言うつもりはありませんが……。

 ただ、「自虐史観を是正すべき」という立場から言わせてもらえば、近現代史が大変脚光を浴びているのに比べ、江戸時代がほとんど注目されていないことが気になります。

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