2009.11.17 Tuesday 00:32
くっくり
私は料理を通じて日本の奥深さ、歴史に培われた文化、職人技の見事さなどに魅力を感じ、知りたいこと勉強したいことが多く、なかなか帰国できそうにありません。
加藤恭子編「私は日本のここが好き!—外国人54人が語る」より
インドのため、日本のために運動を続けてきた父は戦争が終わった途端、腑抜けになってしまったのですが、東京裁判でパール判事が来日すると、通訳を務めることになりました。帝国ホテルに泊まりがけで行って、日本のバックグラウンドについて説明したそうです。判事が唱えた「日本無罪論」を陰で支えたんですね。やがてインド独立の報に接すると、政治運動しかしたことがなかった人ですから、どうしていいかわからなくなってしまった。それでも家族を食べさせていかなくてはならない。「じゃ、カレー屋でもやるか」と、昭和二十四年、銀座の片隅に開いたのが「ナイルレストラン」です。
〈中略〉日本のカレーライスやカレーうどんは、すごいものです。どう見たってインド料理じゃない。かといって日本古来の料理でもない。僕からすれば「日印友好親善合体料理」です。日本人が素晴らしいのは、このカレーに代表されるように、何でも外国の文化を自分のものにして受け入れてしまうところです。
この顔で言っても、なかなか信じてもらえないのですが、僕は和食をつくるのが得意なんです。房総半島の保田に家を買ったのも、いい魚が手に入るからです。日本の食べものがおいしいのは素材がいいからですね。もちろん板前さんの腕も必要ですが、日本人は素材のよさを信用する。これがおいしさの第一番だと思います。ただひとつ心配なのが、漁師さんがお年寄りばかりになってしまったこと。若い漁師がいませんから、もうおいしい魚は食べられなくなるかもしれない。
〈中略〉講演をするとき、僕は「日本人は勤勉だった」と過去形で話します。店には日本人とインド人のコックがいますが、インド人のコックは二倍働きます。確かに日本はリッチになりましたが、果たして本当の金持ちと言えるのでしょうか。今こそ褌を締めなおして出直さなきゃいけない。日本に愛情がなかったら、こんなことは言いません。
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