外国人から見た日本と日本人(15)

2009.11.17 Tuesday 00:32
くっくり


■モーリス・パンゲ=フランス人。日本文化研究者。1960年代に東京日仏学院院長も務めた。
「自死の日本史」より
大東亜戦争で戦った特攻隊員について

 殺戮のために選ばれた犠牲者たちさ、と読者諸賢は言うだろうか。だがそれは違う。彼らが自分たちの運命を受け入れる、その受け入れ方を見ないのは、彼らを不当に貶(おとし)めることになるだろう。

 彼らは強制され、誘惑され、洗脳されたのでもなかった。彼らの自由は少しも損なわれてはいない。彼らは国が死に瀕しているのを見、そして心を決めたのだ。

 この死はなるほど国家の手で組織されたものではあったが、しかし、それを選んだのは彼らであり、選んだ以上、彼らは日一日とその死を意志し、それを誇りとし、そこに結局は自分の生のすべての意味を見出し続けるのだ。

〈中略〉彼らにとっては単純明快で自発的な行為であったものが、われわれには不可解な行為に見えたのだ。強制、誘導、報酬、妄想、麻薬、洗脳、というような理由づけをわれわれは行なった。

 しかし実際には、無と同じほどに透明であるがゆえに人の眼には見えない、水晶のごとき自己放棄の精神をそこに見るべきであったのだ。心をひき裂くばかりに悲しいのは、この透明さだ。
 生きていることが美しかるべき年頃に、立派に死ぬことに、これらの若者たちは皆、心を用いた、そのために彼らは人に誤解された。

〈中略〉彼らにふさわしい賞賛と共感を彼らに与えようではないか。彼らは確かに日本のために死んだ。だが彼らを理解するのに日本人である必要はない。死を背負った人間であるだけでよい。

■グレース・ケリー=アメリカ人。1929年(昭和4年)生まれ。ハリウッド女優。気品をたたえた美貌は「クールビューティー」と賛美された。モナコ大公レーニエ3世に見初められ、1956年(昭和31年)に結婚、公妃となったため女優業を引退。1981年(昭和56年)に来日し、神戸ポートアイランド博覧会(ポートピア'81)や京都を訪れ、有馬温泉の老舗旅館に宿泊した。日本の生け花に興味を持つなど、日本贔屓な面がもともとあった。翌1982年(昭和56年)、自動車事故により死去。

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