天皇陛下御即位20周年に寄せて

2009.11.14 Saturday 01:37
くっくり



 歴史上、源氏と平氏は宿命的な対立関係にある家柄だと教えられてきたが、元を質(ただ)せば、平氏は桓武平氏(五十代・桓武天皇)、源氏は清和源氏(五十六代・清和天皇)と言われるように、数代前の先祖は、ともに天皇家からの枝分かれだったのである。

 日本人は、個人より家柄を大事にする民族である。どの家の墓碑銘も、たいてい「○○家の墓」で、個人の名は主張しない。どの家も数代前の先祖は辿れても、その先を知ることは困難である。そこで総本家としての天皇家の血統を正しく伝えておけば、それで自分の系譜を代表することができる。民族の種の起源、出生の秘密を天皇家に代表して守り続けたのは、素晴らしい知恵だったのである。

 かくて天皇の血と国民の血は同じであり、日本人は皆、「己の中に天皇をみて」暮らしているのである。だから国民は、意識しなくとも天皇に近づくと血が共鳴し、親愛と感動を覚える。「君が代」が栄え永続することは、国民皆が栄えつづけることと、まったく同義なのである。

 先祖を辿っていくと皇室に行き着くという、この逆ネズミ算の理屈は「理屈」としては分からなくはありません(但し数字に強い人はもうお気づきでしょうが、実はこの「ご先祖様の逆ネズミ算」にはバラドックスが潜んでいます)が、「実感」はあまり湧きません。

 要するに「感覚」として、私みたいに平凡な一国民の血が「天皇の血と同じ」だなんて、畏れ多くてとても思えないってことなんです。

 ただ、このたびの政府主催の「天皇陛下御在位20年記念式典」を見ていた時のことです。新潟県中越地震の被災者を代表して同県の泉田裕彦知事が祝辞を述べた中で、天皇皇后両陛下の忘れられないエピソードとして以下のような話をしていたので、ハッとしました。

 「昨年9月、両陛下に山古志の復興状況をご視察いただいた時のことです。復興が進み、元気を取り戻した被災者に、両陛下がねぎらいといたわりのお言葉をおかけ下さったあとに、80歳ぐらいのおばあさんが『自分は歳を重ねているのでおかしな話だが、まるで両親がお見舞いに来て下さったようだ』と感激をされていました。私はその言葉を聞き、どんな時でも分け隔てなく国民をご心配し、慈しんで下さる両陛下は、国民にとって無償の愛を我が子に授けて下さる両親のような存在として、国民の心の支えになって下さっているのだと改めて思いました」

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