「朝鮮紀行」イギリス人女性が見た19世紀末の朝鮮(3)

2009.09.28 Monday 01:12
くっくり



●国王の復権を主張し王妃暗殺の連係者を処罰するという解決策(引用者注:列強による解決策)はうまく運びそうだった。ところがそれは侍衛隊と、ろくでもない輩の混じる多数の朝鮮人とが企てた「愛国的陰謀」により御破算となってしまったのである。この陰謀は国王の解放と、訓練隊に代えて官軍を置くことを目的としていた。そしてそれは前途有望な謁見のあった二日後、失敗に帰すのであるが、事前に発覚したためにその結果は惨憺たるもので、要人多数を巻きこみ深刻な疑惑を生んだ。また外国人への反感を増大させ、外国人数人(アメリカ人宣教師)が事前共犯ではないとしても計画を事前に知っていたとされて、社会全般の混乱をもたらし、五週間後にわたしが朝鮮を発ったときには混乱脱出の見通しはまるでなかった。国王は以前にも増して囚人さながらだった。取り囲む者はなれなれしくまた横柄になり、暗殺の恐怖はつねにあった。外国人との交流も王宮へ入る公的な資格を持っている者以外にもはやなく、そういった人々も次第に王宮へは近づかなくなっていた。
 最も緊迫しているこのようなとき、毎日新しい事件があってうわさが流れ、重大なクーデターが起きると信じられているときに、ソウルを離れて内陸旅行に出るのはとても残念だった。しかし清西部への長期旅行を控えていたわたしには、自由にできる時間がほとんどなかった。(p.366)

 _________________________「朝鮮紀行」引用ここまで


 皆さんすでにお気づきでしょうが、閔妃殺害事件が起こった時、バードは朝鮮にはいませんでした。
 上で引用した通り、彼女は長崎にいた時に「朝鮮王妃暗殺」のうわさを耳にし、合衆国弁理公使シル氏からうわさの真偽を確認しました。
 また、事件後の国王(高宗)の様子等についても直接見たわけではありません。

 事件にまつわるバードの記述は、日本側の主張(首謀者とされた三浦梧楼以下が裁かれた広島地裁の判決文)、ダイ将軍(アメリカ軍を退役後、王宮を護衛する侍衛隊の教官を務めていた)およびサバティン氏(歩哨の監視役として臨時に雇われていたロシア人)の陳述と、数種の公式文書からの引用とされています。(p.353)

[7] << [9] >>
comments (21)
trackbacks (1)


<< 「アンカー」優先順位がおかしい鳩山政権&動き出してる外国人参政権
「アンカー」鳩山政権の経済対策は四方八方美人で国債大増発? >>
[0] [top]


[Serene Bach 2.04R]