「朝鮮紀行」イギリス人女性が見た19世紀末の朝鮮(3)
2009.09.28 Monday 01:12
くっくり
*2 引用者注:三浦梧楼。井上馨は事件の1カ月前に帰国し、後任が三浦だった。
●(以下はダイ将軍(アメリカ人)とサバティン氏(ロシア人)の陳述と数種の公式文書からバードが「読者の興味を引きそうな箇所」を記したもの)七日の朝、訓練隊は日本人教官とともに行進と反対行進を行い、王宮を包囲する形となって王宮内に不安を引き起こした。ダイ将軍とサバティン氏は八日未明に非常召集を受けた。このふたりは門のすきまから外をのぞき、月の光のなかで多数の日本人兵士が着剣して立っているのを見て、そこでなにをしているのかと尋ねたところ、兵士たちは左右に散り、物陰に隠れてしまった。塀のべつのところには二〇〇名を超す訓練隊が隠密の行動をとっていた。ふたりの外国人がどうすべきかを相談しているところへ、大門のほうからなにかを激しく連打する音が聞こえ、銃声がそれにつづいた。
ダイ将軍は侍衛隊(引用者注:王宮直属の軍隊でダイ将軍はその教官)を呼び集めようとしたが、襲撃者の群れは五、六発銃を乱射したあと、ふたりの外国人を跳ねとばさんばかりの勢いで国王の住まいを通りすぎ、後宮へと突進した。そのあとのできごとについてはこれまで明確な記述が一度としてなされたことがない。(p354)
●事件そのものは一時間ほどのできごとだった。皇太子は自分の母親が剣を持った日本人に追いかけられて廊下を駆け逃げるのを見た。また、暗殺団は王妃の住まいに殺到した。王女は上の階に数人の官女といるところを見つかり、髪をつかまれて切りつけられ、なぐられたあと階下へ突き落とされた。王妃が服を着て逃げだそうとしていたところをみると、宮内大臣李耕植〈イギヨンシク〉が危急を知らせたものらしい。暗殺団が部屋に入ると、宮内大臣は両手を広げてうしろにいる王妃をかばい守ろうとしたが、それは相手にだれが王妃かを教える結果となってしまった。両手を切り落とされさらに傷を負いながらも、彼は身を引きずるようにベランダから国王のもとへ行き、そこで失血死した。
暗殺団から逃げだした王妃は追いつかれてよろめき、絶命したかのように倒れた。が、ある報告書は、そこでやや回復し、溺愛する皇太子の安否を尋ねたところへ日本人が飛びかかり、繰り返し胸に剣を突き刺したとしている。(p.355-356)
●事件当夜が明けてまもなく、大院君はつぎのような二文を布告した。
第一の布告文「王宮内に卑劣な輩がおり、人心が乱れている。ゆえに大院君が政権にもどって国政改革を行い、卑劣な輩を排除し、かつての法を復活させて国王の威信を守るものとする」
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