「朝鮮紀行」イギリス人女性が見た19世紀末の朝鮮(2)

2009.09.13 Sunday 01:54
くっくり



●日中のいちばん暑い盛りにわたしたちは発展中で活気のある町元山の、汚れて狭い路地とでこぼこした商店の屋根がひしめき合う街道に着いた。((中略))路地の悪臭はすさまじく、土ぼこりはまったくひどいもので、哀れな犬は大量にいる。また大量の血のしたたる肉片がひなたで黒ずんでいくのにいは完全に胸が悪くなった。屠殺方法のちがいが肉をこうさせてしまうので、ソウルでもほかの町でも外国人は日本人の肉屋で買わざるをえない。朝鮮人は牛の喉を切り、開いた切り口に栓をしてしまう。そうしておいてから手斧〈ちょうな〉を取り、牛の尻を死ぬまでなぐる。これには一時間ほどかかり、牛は意識を失うまで恐怖と苦痛にさいなまれる。このやり方だと放血はほんの少量で、牛肉には血液がそのまま残り、その結果重量が減らないので売り手には得というわけである。(p.223)

●わたしたちは朝鮮国内で最も整然として魅力的な町に入っていた。一八八〇年に日朝貿易に対して、一八八三年に海外貿易全般に対して開港した元山条約港の日本人街である。
 通りは広くて手入れが行き届き、波止場は整然とし、家々はこぎれいかつじょうぶで、つんと取り澄まして諸事にうるさい日本人の性格をあらわしている。和洋折衷の大きくてとても目立つ日本領事館、日本郵船会社「NYK」の社屋(NYKは極東に住む西洋人にとって「P&O」[英国最大の海運会社、ペニンシュラー&オリエンタル汽船会社]と同じくらいなじみのある略称なのである)、定評のある日本の銀行、こぎれいな読書室のある税関の建物、西洋の品物が手ごろな値段で購〈あがな〉えるこぎれいな日本の商店、洋装の教師のいる大きな学校、ちょこまか動く矮人〈こびと〉の男たち、歩き方はぎくしゃくとしているもののベールなどで顔を隠さない、しとやかな女たち。こういったものを特徴とするこの気持ちのいい日本人居留地は、幸運にも歴史を持たず、その発展は急速ではないものの、平和でおだやかで、朝鮮その他の外国との軋轢〈あつれき〉に損なわれてはいない。先ごろの戦争[日清戦争]ですら、清国領事とわずかにいたその同国人を退去させたとはいえ、それは人口からいえば微々たる数で、この町にはこれといった爪痕を残さなかった。例外といえば、日本人の支払う莫大な賃金のおかげで、荷役夫が穴あき銭ではなく円でギャンブルができるようになったことくらいである!(p.223-224)

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