「朝鮮紀行」イギリス人女性が見た19世紀末の朝鮮(2)

2009.09.13 Sunday 01:54
くっくり



●(郡庁から)町にもどるときも野次馬は文人階級の「名士」数人を先頭に、わたしたちにぴったりくっついてきた。若い男がひとり、わたしのうしろに来てくるぶしを蹴飛ばし、ちょっと下がる。そしてまた近づいてきて同じ動作を繰り返した。さらにもう一度蹴飛ばしかけたとき、ミラー氏(引用者注:バードと共に旅行している若い宣教師)がおもむろにうしろを向き、あわてず騒がずそのちんぴらの胸ぐらに的確な一撃をくらわせた。男はすっ飛び、道のそばの麦畑にひっくり返った。群衆はげらげら笑い、男の仲間がミラー氏に、どうかもうこれ以上手荒なまねはしないでくれと請うた。群衆は散り、ちんぴらはやはりちんぴらの例にもれず卑怯でずっとうしろに退いてしまい、わたしたちは渡し場まで気持ちよく散歩した。渡し場では渡し船のなかで長いこと待たねばならなかったものの、野次馬はおらず、船頭も乗客もきわめて礼儀正しくて親切だった。ミラー氏は手荒にふるまわざるをえなかったことを残念がっていた。たしかに私刑ではあったが、即決の処罰であり、まったく冷静に実行されたので健全な印象を与えたと思う。(p.140)

●このささやかな旅の素描は、旅の暗い部分が強調されることになりそうなので、朝鮮国内の旅行にはとても不快な面があること、「世界駆け足旅行家」にはまったく適さないこと、専門家ですら出発に大いに二の足を踏みかねないことがおわかりになろうかと思う。
 わたしにとって朝鮮の宿で不快きわまりなかったのは、人々とくに女性の不作法でどうにも御しがたい物見高さだった。今回旅したどの地域でも人々はこれまで西洋の女を見たことがなく、わたしはそれ相応のいやな思いをした。四方巨里〈サバンコリ〉はその典型といえるかもしれない。(p.166)

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