GHQ焚書「敗走千里」より支那軍の実態

2009.08.23 Sunday 02:41
くっくり


 ある者は死を装い、ある者は死体の山の奥へともぐり込む。炸裂する弾から身を守るには、それより他が方法がないのです。
 陳もそれにならいます。どんな方法を講じても生き残りたい!と。
 退却軍の渦の中に揉まれ続けた陳は、李とはぐれてしまいます。督戦隊員らしい者4〜5人が無理やり彼女を強奪していったのです。(p.306-313)

 何とか生き残った陳子明。彼はこんなことを思います。 

 陳子明は別に軍官學校の出身でもなければ、特別に軍隊生活を志望して、戰闘方法とか軍略とか云ふことに大して造詣のあるわけではない。が、最近の少しばかりの戰爭の經驗に依つて、自分達の國の軍首腦部が現在重大な過失を犯してゐるやうに思へてならないのだ。その過失と云ふのは、この戰爭の始まる前、吾々の軍隊はなぜ東洋軍と同じやうな、あの恐ろしい威力を持つところの野砲とか、野重砲のやうなものを用意しなかつたか——と云ふことである。
 敗走に次ぐに敗走を以つてする近頃になつて、自分達のちよくちよく耳にする軍首腦部のお題目は、「長期抗日戰」といふそれであり、「吾々は最初から長期抗日戰を覺悟し、日軍を奥地に誘導し、以つて彼等を奔命に疲らせ、殲滅するのは策戰に出づるのだ」と云ふそれである。
 が、それが、事實とするなら、吾々の軍隊は尚更、野砲、野重砲の如き威力ある武器を最初から用意しなければならなかつたのだ。なぜと云ふのに、奥地へ日軍を誘導すると云ふからには、最初から現在やつているやうな野戰が覺悟だつた筈だ。野戰に於て、機銃や迫撃砲が、野砲、野重砲の敵ではないことは戰はぬ前から分つてゐる筈だ。それだのにそれらのものを用意しなかつたといふことは、吾々の軍首腦部は上海の市街戰に於て日軍を撃退する——と云ふ一本立ての策戰しか立てゝゐないかつたことを暗默の裡に白状してゐるのだ。
 確かにそれに相違ない。煉瓦やコンクリートの高層建築物の密集してゐる市街戰に於ては、野砲や野重砲は確かに使ひものにならない。そんなものよりも、機關銃や迫撃砲、手榴弾の方が遙かに効果を挙げ得るからだ。
 その上海に於て、日軍を引きつけ、引きつけ、トーチカからの機銃掃射に依つって日軍を消耗し、殲滅するといふ策戰がもし成功したならば、彼等國軍首腦部は確かに先見の明ありと云つて誇つてもいゝが、その唯一の策戦が敗れ、失敗した以上、戰ひはそれを以つて打ち切りとすべきだ。戰つても絶對に勝つ見込みはないからだ。

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