外国人から見た日本と日本人(8)

2008.12.23 Tuesday 01:45
くっくり



 こちろん、これらすべての経済的な困難だけが日本にとっての危機到来を意味するわけではない。まず日本人は模範的に祖国愛に燃え、おのれの身を犠牲にする用意があり、祖国にいたって忠実である。それに日本にはいまだに多くの原料、半製品、それに食糧がある。日本の経済危機の本来の理由は、日本人がもろもろの根本的決意、決定を、最後の瞬間まで回避していることである。

 日本人は当座の間に合わせに終始する民族である。もはやどうにもできなくなると、日本人は自助の精神を発揮し、すみやかに、しかも巧みに行動する。これまで日本人は静観するという政策で成功してきた。おそらく彼らは「支那事変」が日本に及ぼした経済危機をこの政策で乗り切ることであろう。

 一億一心で体当たり!一億の頭脳のなかに一つの思想!ただ一つの思想に基づき、百年先を計画する。これが目標である。日本の首相(阿部信行)は数日前、「国民精神総動員委員会」で行なった挨拶の中でこれをはっきりと表明し、告示した。

 日本は二年以上にわたって戦争に巻き込まれている。この戦争は廬溝橋(ろこうきょう)事件がもとで起こったが、もともと望まれた戦争ではなかった。今日でも依然として「支那事変」といわれており、すでに軍隊が出征し、多くの血が流されているにもかかわらず、中国における軍事作戦をまともに戦争と呼ぶことが、長い間ためらわれている。

 それに日本列島は敵国からもちろん遠く離れており、敵軍はどんなに努力しても、日本の辺境の一端にすら足を踏み入れることはできないであろう。

 日本国民は相変わらず無邪気でほがらかで愛敬がある――そして上品だ。地球上で日本人に匹敵できるほど、親切で礼儀正しい国民はないであろう。

 しかし以前から日本人を知っているものにとっては、彼らの陰影が気にかかる。日本人にはきまじめな底流があることを見すごすわけにはゆかない。だが、こうした態度を不安とみなすのはおそらくまちがっているだろう。むしろわたしはこうした増大するきまじめさの中に、いつかは世界歴史の上で重大な影響を及ぼすような決意が秘められているように思う。

■ヘレン・ミアーズ=アメリカ人。東洋学者。1920年代から日米が開戦する直前まで2度にわたって中国と日本を訪れる。1946年(昭和21年)に連合国占領軍最高司令部の諮問機関のメンバーとして来日、戦後日本の労働基本法の策定に携わった。

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