外国人から見た日本と日本人(8)

2008.12.23 Tuesday 01:45
くっくり



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 最後の劉美香さんの漢字のお話に関連して、実は日本人と中国人では漢字が持つ意味にも大きな相違があるという興味深いお話がありますので、紹介させて下さい。
 正論2008年9月号掲載【短期集中連載 誰も語らなかったモンゴルの凄さ 第二回】、モンゴル史学者である宮脇淳子さんの論文からの引用です。

 中国人が、日本人と一見似ているけれども実はまったく異なる文化を持つ人々であるということを、私の夫の岡田英弘はずっと言い続けてきた。例えば日本人と中国人では、漢字が持つ意味にも大きな相違がある。

 日本人は、自分の正直な気持ちをいつでも言葉にして他人に伝えることができる。それは、ひらがなとカタカナという表音文字を持っているからである。日本では、漢字にルビを振れば誰でも読めるので、昔から識字率がたいへん高かったし、耳で聞いてわかる共通語がひじょうに古くから発達した。千二百年も前に詠まれた万葉集を、今の日本人が耳で聞いて意味がわかるのは実は凄いことであるが、日本人はそれを当然と思って生きてきた。日本人で日本語ができるのは当たり前である。

 ところが中国には、二十世紀になるまで耳で聞いてわかる共通語はなかった。話し言葉は地方ごとにまったく違っていて、同郷人としか通じない。今でも中国の各方言には漢字にならない言葉もたくさんある。話し言葉が通じない人々のコミュニケーションの手段は、目で見て理解する漢字だけだったが、二十世紀までルビというものを持たなかった中国人にとって、漢字を読めるようになるには、知能指数だけではなく時間と金のかかるものだった。それで中国ではつい最近まで、漢字は、ふつうの中国人にとっては自分たちの言葉ではなく、支配階級に属するものだったのである。

 中国では、漢字は長い間、支配者の都合のいいように使われてきたため、今でも中国語には「本音」と「建前」の区別がない。中国人にとって言葉はすべて建前で、現実は別である。支配者がどんなに立派な言葉を並べても、本当のことを言っているとは中国人なら誰も考えない。だから、日本人がいくら誠意を尽くして真実を伝えても、中国人は、それにはそう言うだけの何か別の理由があるに違いない、としか思わないのである。

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