2007.12.11 Tuesday 01:07
くっくり
石原 国会議員を辞める直前だったと記憶してますが、外国人記者クラブで、あの“撃墜王”坂井三郎さんの講演を聞いたことがあります。坂井さんは残念ながら先年他界されたけど、第二次大戦で戦ったすべての国の戦闘機乗りのなかで、一番たくさん敵機を撃ち落としたといわれる、いわばわが旧軍の誇る大空のエースですね。小柄ながらタフな感じの人で、戦闘で片方の目を失い義眼になっていた。
坂井さんはこんな話をされた。
「私はあの戦争で片目を失ったが、何の後悔もしていない。あの戦争は私にいわせれば偉大な戦争だった。たしかに多くの有為な人材が失われた。たくさんの優れた同僚や部下、彼らがもし生きてあれば、軍籍を離れても数多(あまた)の才能を発揮して素晴らしい貢献を国家のためになしただろう。私はそれを信じて疑わない。そうした人材をあの戦争でなくしたことは慚愧(ざんき)の念の一つではあるけれど、しかし、相対的にあの戦争は素晴らしい戦争だったと私は思う」と。
福田 いかにも坂井さんらしいですね。
石原 さすがに会場を埋めた外国人、おもに白人だったが、非常に不愉快そうな顔になってきた。その雰囲気を察知した坂井さんは、やや大袈裟なヂェスチャアをまじえて、「だってみなさん、そうじゃないですか。戦後、国連ができてたくさんの国が誕生して加盟しましたけれど、そのなかに白人の国はいくつありますか。強いてあげるならユダヤ人のイスラエルでしょうが、ユダヤ人も白人からはずいぶんと差別迫害されてきた。あとは全部私と同じ肌色の東洋人、もっと色の濃い中近東の人たち、あるいはアフリカの黒人たちで、それぞれに出来・不出来はあっても一国を形成して、世界全体の趨勢(すうせい)を決めるときの一票を投じる資格を持つに至った。人間として、民族としてついに国家を持った。これは人類の進歩ではないですか。あの戦争がなければこんなことは起こり得なかったでしょう」と語ったんですよ。
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