外国人から見た日本と日本人(3)

2007.11.27 Tuesday 00:42
くっくり


「ヤポニカ(Japonica)」(1891年)より(※2)

 日本には、礼節によって生活をたのしいものにするという、普遍的な社会契約が存在する。誰もが多かれ少なかれ育ちがよいし、「やかましい」人、すなわち騒々しく無作法だったり、しきりに何か要求するような人物は、男でも女でもきらわれる。すぐかっとなる人、いつもせかせかしている人、ドアをばんと叩きつけたり、罵言を吐いたり、ふんぞり返って歩く人は、最も下層の車夫でさえ、母親の背中でからだをぐらぐらさせていた赤ん坊の頃から古風な礼儀を教わり身につけているこの国では、居場所を見つけることができないのである。

(中略)この国以外世界のどこに、気持よく過すためのこんな共同謀議、人生のつらいことどもを環境の許すかぎり、受け入れやすく品のよいものたらしめようとするこんなにも広汎な合意、洗練された振舞いを万人に定着させ受け入れさせるこんなにもみごとな訓令、言葉と行いの粗野な衝動のかくのごとき普遍的な抑制、毎日の生活のこんな絵のような美しさ、生活を飾るものとしての自然へのかくも生き生きとした愛、美しい工芸品へのこのような心からのよろこび、楽しいことを楽しむ上でのかくのごとき率直さ、子どもへのこんなやさしさ、両親と老人に対するこのような尊重、洗練された趣味と習慣のかくのごとき普及、異邦人に対するかくも丁寧な態度、自分も楽しみひとも楽しませようとする上でのこのような熱心――この国以外のどこにこのようなものが存在するというのか。

(中略)生きていることをあらゆる者にとってできるかぎり快いものたらしめようとする社会的合意、社会全体にゆきわたる暗黙の合意は、心に悲嘆を抱いているのをけっして見せまいとする習慣、とりわけ自分の悲しみによって人を悲しませることをすまいとする習慣をも含意している。

※アーノルドについては最後に渡辺京二氏の解説をつけました。あわせてご覧下さい。

■チャールズ・リンドバーグ=アメリカ人。1927年、大西洋単独無着陸飛行に初めて成功。ナチスと親密になりすぎたとしてアメリカ陸軍航空隊での委任を解除され、第二次大戦では民間のコンサルタント会社を通じて、アメリカ政府の戦争努力を援助した。米豪軍による日本兵捕虜の虐殺・虐待をしばしば目撃し、その模様を日記に綴った。
「リンドバーグ第二次大戦日記」より

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