2007.10.27 Saturday 03:31
くっくり
【ワシントン=有元隆志】北朝鮮へのテロ支援国家指定解除をめぐる米政府内の意見対立が表面化した。シーファー米駐日大使が24日、ブッシュ大統領に公電を送り、テロ支援国家指定を解除しないよう求めるとともに、北朝鮮との交渉責任者のヒル国務次官補(東アジア・太平洋担当)の姿勢に不満を示したという。ブッシュ政権は年内にも指定解除に踏み切るとみられていたが、大統領に最も近いとされる大使の“直言”で、対北融和の流れに変化が生じる可能性もありそうだ。
米FOXテレビによると、大使はこのなかで米政府が指定解除を北朝鮮側に約束していたとしたら、「太平洋において最も親密な同盟国(日本)を裏切ることになる」と指摘。さらに、ヒル次官補に解除を約束したのかを質したのに未だ回答がないことなどを挙げ、ヒル次官補に対する不信感を露わにしたという。
報道について大使は、産経新聞に対し、「大統領と私の間の連絡は特別なもので、それについて他の人と論議することは決してない」とコメントした。
大使が今回“直言”したのは、米政府が核で進展があれば、拉致問題に関係なく指定解除に踏み切るとされていることへの強い懸念があるからだ。さらにテロ支援国家指定解除をめぐる米朝交渉が“密室”で進められ、日本に関わる問題なのに、駐日大使である自分に正確な情報が伝えられないことへの苛立ちもありそうだ。
北朝鮮は9月はじめの米朝作業部会後、無能力化の年内実施とともに米側もテロ支援国家指定と対敵国通商法の解除を行うことになったと発表。これに対し、日本政府は解除には拉致問題の進展が不可欠との考えを米側に伝え、ライス国務長官らも「日米関係を犠牲にして米朝関係を進める考えはない」と応じた。
しかし、ヒル次官補は23日の外務省の佐々江賢一郎アジア大洋州局長との会談後も「指定国をリストから外すことは、いつも目指している」と述べ、核問題の進展を優先する立場を鮮明にした。
こうしたなか、米議会調査局は、24日までにまとめた北朝鮮の人権報告書で、人権問題などで進展がなければ関係正常化には応じないとしてきたブッシュ政権が2月の6カ国協議の合意以降、人権問題を「核の後に解決すべき問題」と位置付けたと分析。特にヒル次官補はそうした姿勢を強めていると記した。
[7] << [9] >>
comments (19)
trackbacks (2)
<< 「アンカー」防衛省の闇と自衛官の不信感(おまけ:金大中事件)
「ムーブ!」金大中事件真相判明に日韓政府困惑 >>
[0] [top]