平和だから呆けたのではない。他人任せにしたから呆けたのです。 “幻の名著”が新書で復活!「壊れた地球儀の直し方」

2016.06.10 Friday 21:11
くっくり



 が、青山さんは帰国後、もっと驚くこととなりました。
 防衛庁(当時)のきわめて地位の高い文民幹部にこの話をすると、こんな反応だったからです。

「日米同盟か、日中機軸態勢か、そのどちらかを選ぶのが日本の選択だからね」

 中国がどうこうという以前に、「日本の自立、独立」という選択肢が、日本の防衛責任者の頭にないことを、青山さんは嘆いています。


 これは日本国民全体の共通認識だと思いますが、敗戦後の日米関係はずっと「主従関係」でした。

 青山さんに言わせれば、表向きは「同盟関係」とアメリカも言ってるけれども、これは社交辞令、あるいは武士の情け、あるいは「おまけ」。

 以前は「主従関係」でも特に問題はなかったというか、とにかく日本は生きのびてこられました。

 ところが、イラク戦争後、テロリストが跳梁跋扈する時代となり、アメリカ軍は神通力を失いました。

 現在もアメリカ軍は世界最強ですが、あくまでそれは「正規軍」の話。

「アメリカ軍に護ってもらうから憲法も自衛隊法も、自衛隊そのものも不備でよかった時代は過ぎ去りました。否が応でも日本が自立する時代です。日米同盟は初めて対等になることを前提に堅持する時代です」(p.486)

 この足を引っ張る人として、象徴的な2人の名前を青山さんは挙げておられます。
 いずれも首相経験者です。


 あと、青山さんが共同通信を退社されるきっかけとなったペルー日本大使公邸人質事件(2007年5月23日放送「アンカー」参照)についても、短めですが記述があります。

 はっきり言って、これまで私が漠然と思っていた退社理由とは全く違っていました。
 まあ、一言で言って、「青山さんらしいなぁ」と…。


 また、過去の著書がそうであったように、本書でも、「作家さんらしい文学的な表現だな〜」と感じ入った箇所がいくつもありました。

「日本は21世紀に入って、アメリカ製の古い眼鏡を外したりまた掛け直したりしながら、目をこすり、膨らみつつ壊れる中国をはじめ周囲を見回し、ようやくおのれを見つめ始めている」(p.60)

[7] << [9] >>
comments (7)
trackbacks (1)


<< 舛添要一とヤメ検弁護士に見る戦後教育の問題点!青山繁晴「インサイト・コラム」
世界が愛した日本〜パラオ・モーリタニア・スリランカ 「ビーバップ!ハイヒール」より >>
[0] [top]


[Serene Bach 2.04R]