「はだしのゲン」より、こうの史代さんの漫画をお薦めします

2013.08.12 Monday 17:28
くっくり


 終戦の年の暮れ、おばさんは「すず」に、淡々とこう打ち明けます。

 「8月に隣保館の横で兵隊さんが行き倒れとったじゃろが。どうも4月に陸軍へとられて広島へ行ったうちの息子じゃったらしい。…自分の息子じゃと気づかんかったよ、うちは」

 この場面、おばさんは後ろ姿で描かれており、表情は読者には見えません。
 「行き倒れの兵隊さん」が自分の息子だと気づいてやれなかったおばさんの心情は、どのようなものだったのでしょう…?

 私の乏しい想像力では、とても理解が追いつきません。
 深く鈍い痛みが、波のように押し寄せてくるだけです。

 作品の最後には、作者のこんな一言が添えられています。
 【間違っていたなら教えて下さい 今のうちに】


 「夕凪の街 桜の国」「この世界の片隅に」、いずれも感情を激しく揺さぶるタイプの作品ではありません。
 でも、心の奥底に重たい何かがジワーッと沈んで行きます。
 あとから「じわじわ来る」のです。
 毎年、読み返すたびに、形容できないいろんな感情が押し寄せてきます。

 但し、読後感は決して悪くありません。
 それはきっと、いずれの作品も、最後に「希望」が示されているからだろうと思います。

image[130811-91india.jpg]

 「夕凪の街 桜の国」は2007年に映画化、「この世界の片隅に」は2011年にドラマ化されました。
 私は両方見ましたが、やはり原作がベストです。

 なお、「夕凪の街 桜の国」の方は、このほどヒンディー語版が完成しました。インド各地の書店で販売される予定とのことです。

※2016年に公開されたアニメ映画「この世界の片隅に」について、2016/12/9付にまとめました。



image[130811-07Gtitle.jpg]


[7] << [9] >>
comments (18)
trackbacks (0)


<< 【これはひどい】慰安所従業員日記を発見した安秉直ソウル大名誉教授の“手柄”を高麗大学韓国史研究所の朴漢竜研究教授が横取り!?
「青山繁晴のインサイドSHOCK」70年前よりも今の日本を見ているアメリカと国際社会(中韓除く) (付:「アンカー」有本香さん発言まとめ) >>
[0] [top]


[Serene Bach 2.04R]