東北のものづくり産業を守れ!

2011.04.18 Monday 21:27
くっくり



・日本では、お饅頭をつくって何百年という老舗がある。店側も誇らしげに思うし、客側も尊いと感じる。が、これは少なくともアジアの中では日本だけに特有の価値観と思われる。他のアジアでは、お饅頭をつくって成功したら社会的なステータスの高い別の職業に移っていく。それに手を汚して何かをつくるということを、社会の上層にいる人間は絶対にしない。ところが日本では、大名が自分で包丁をふるって料理をつくるとか、自分で刀を打つとか、自分で器をつくるとか、自分の手を汚して何かをすることに抵抗がない。

・老舗に共通するもの。1つは適応力、2つめは許容力、3つめは本業力。適応力は先ほどの携帯の折り曲げ部分の銅箔を思い出していただければわかる。2つめの許容力は、時代の変化を許容するだけではなく、他人を許容する力。日本以外のアジアの企業組織は血族最優先だが、日本の場合は養子を入れたり、娘に有能な婿をもらったりして、その人に継がせる。金剛組は無数に養子を入れている。

・3つめの本業力。金箔を応用した数々の新製品を開発している老舗では、今も金箔の職人を養成して、仏壇用の金箔をちゃんとつくらせている。その一方で最先端の機器に合わせた技術も開発している。

・筆ペンで知られる呉竹というメーカー、ここも110年ぐらい続く老舗。ここは太陽光発電に進出しているが、一方で墨職人も養成している。工場の一部に墨工房があり、そこでは職人さんが小学生が使う墨から1つ30万円ぐらいする墨まで、すべて手づくりでつくっている。本業を絶対忘れず、何かをするにしても本業の延長線上というところに強さがある。

・老舗には私たちが学ぶことがたくさんある。しかもこれはかなり日本に特化された、日本文化の特徴を非常によく表しているものではないか。


【想像以上に創造的で強い中小企業】
  政策研究大学院大学教授 橋本久義

・通産省にいた時から今まで訪ね歩いた工場の数は他国も含め3,221。中小企業の社長には魅力的な人が多い。なぜか。大企業には黙っていても人材はやってくるが、中小企業は決してそうではない。中小企業の従業員というのは、もののはずみで入ってくる。こうしたやつをとにかく取り押さえて、一生懸命働いてもらわないと話が始まらない。

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