東北のものづくり産業を守れ!

2011.04.18 Monday 21:27
くっくり


 
【日本文化を象徴する老舗】
  ジャーナリスト、拓殖大学教授 野村進氏

・日本以外のアジアの国には老舗というものは殆どない。例えば200年以上続いている老舗は韓国はゼロ、中国は9、インドは3だが、日本には3,000もある。世界には200年以上続いている老舗はだいたい7,000あるとされているが、その半分近くが日本に集中している。

・世界最古の老舗は大阪にある「金剛組」という宮大工さんの元締めのような会社で、飛鳥時代の578年から続いている。この金剛組も含め、1000年以上続いている会社や商店が、日本には7つある。これも世界でずば抜けた数字。

・100年以上はどれぐらいあるかというと、帝国データバンクが発表した最新データによると、22,219。ただ、この中には株式会社以外の個人商店などは含まれていない。そういうものを含めると、日本には10万軒以上の100年以上続いている老舗があるとされている。

・そして、専門家によれば、このうち45,000が製造業に携わっているとされている。つまり、100年以上続いている老舗の半分近くは、ものづくりをずっと続けてきた会社や商店。

・老舗というと京都などの古い暖簾の店を想像しがちだが、製造業の老舗を調べていくとそうではない。例えば、携帯電話の折り曲げる部分には柔軟かつ強靱という相反する性質が要求される。この部分は銅の箔でできているのだが、これを開発したのは京都にある300年以上続いている福田金属箔粉工業。元々は金粉、銀粉、金箔、銀箔をつくっていた会社。仏壇に使われる金箔や、西陣織や絵巻物などの金箔をつくっていた会社が、携帯電話に進出している。

・また、着信で振動を知らせるバイブレーション機能。肉眼でかろうじて見えるくらいのブラシが振るわせているのだが、これを開発したのが田中貴金属という120年続いている老舗。日経新聞に金の価格を提供し、金のディーリングで有名だが、その一方で貴金属の加工もずっと続けてきた。

・このように携帯一つ取っても、100年以上続いている日本の古い会社の知恵が詰め込まれている。携帯に限らずパソコン、ファックス、コピーなど、我々が日常使っている最先端の機器に、実は日本の古い会社の知恵が詰め込まれてきた。

・なぜ日本に老舗が集中しているのか?3つの理由が考えられる。1つは日本の地理的な利点、つまり事実上侵略されたことがないこと。侵略と内戦が多いところには老舗は生き残らない。2つめは何かを続けることを美徳とする価値観。3つめはものづくりを尊ぶ伝統。

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