独特の災害史観を持つ日本人は何度も立ち向かい乗り越えてきた

2011.04.04 Monday 19:32
くっくり



 今回、人知を超えた規模での大きな災害が日本人を襲いました。しかし冒頭でも触れたように、日本人はこれほどまでの甚大な被害を前にしても、泣き崩れることなく、略奪なども起こさず、秩序だった避難生活を送っています。このような態度は阪神大震災のときにも世界の賞賛を受けましたが、これは歴史的に培われた、けなげさ、勤勉さなのです。

 今後は、たしかに非常に厳しいところからの復興が待っているでしょう。計画停電は今後もしばらく続きますし、GDPも下がるでしょう。国民は耐乏生活を強いられることになるかもしれません。

 しかし、こういうときだからこそ、われわれ日本人はせめてこの災害を、日本人が日本人としてもう一度歴史を振り返り、凛とした生きざまを取り戻す機会にしていかなければなりません。はたして、贅沢三昧の何不自由ない暮らしに慣れていくことが国民としての目標だったのかどうか、もう一度見直す機会を神様から与えられたと考えるべきではないでしょうか。いや、そういう機会にしていかなければならないのです。

 日本は本当に美しい国土です。自然は豊かで、農業にも適している。放っておいても木が生えてくるという豊潤な国土を持つ国などそう多くはありません。北から南まで、気候も亜寒帯から亜熱帯まで多様にあり、美しい四季の移り変わりもある素晴らしい国土です。

 しかし、これまで指摘してきたように、他国にはない厳しい条件も同時に持っている。「素晴らしい」と眺めているだけで手を抜いてしまえば、一気に荒れ果てていく宿命も持っているのです。

 少しでも住みやすくしようと自然へ手を入れてきた環境は先祖からもらったものであり、私たちもよりよい形に改善して子孫にわたさなければならないものです。しかし今日、それを「公共事業」という言葉に置き換え、非難し、否定する風潮が強くなりました。これは未来、つまり将来世代に対する怠慢と言ってもいいのではないでしょうか。

 今回の地震と津波で、三陸沖は最大で70センチも地盤が沈下してしまいました。被災して住む家をも失った方々が、今後どこでどういう暮らしを展開していくのか、復興過程できちんと考え、計画的に整備していかなければ、また百年のうちに同じ惨事に見舞われてしまうかもしれません。あらためてあの地域での暮らし方を考え直し、環境を整えていく必要があるでしょう。

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