一色正春・元海上保安官が講演

2011.02.14 Monday 23:28
くっくり



・「尖閣ビデオ効果」だとしても、海上保安庁という組織にこれほど注目が集まったことはなかった。読売新聞がほとんど一面使って、「基礎からわかる海上保安庁のお仕事」という記事を載せていたのには驚いた。逆に、ここまで世の中の人から知られてこなかったのかと愕然としたが。我々が行ってきた広報活動は何だったのか。

・結果として、ビデオが国民の目に晒されたことは良かったが、一色氏が司法警察員である以上、彼は職を辞すのが筋。その覚悟がないなら流出させるべきではなかった。

・現場では、ビデオを流出させたのは「那覇地検だろう」という意見が大半だった。地検と石垣海上保安部は当初、合同で証拠ビデオの作成にあたっていた。検事が保安官に「ここはこうしたほうがいい」などと指示もしていたと聞いている。

・少し落ち着いて考えてみると、どうしても一色氏が単独で行えるような事件だったとは思えない。背後には何らかの政治組織が動いていたのではという声も庁内では少なくない。

・「モリで突いた」とか「縄でぐるぐる巻きにされて海に放り込まれた」からエスカレートして、「死人が出た」という記事まで出ていたが、そんな事実は一切ない。尖閣ビデオも「船長逮捕のシーンがない」ことが、しきりに問題にされていたが、そのような場面も存在しない。撮る必要自体がない。

・民主党政権は支離滅裂な判断を行い、現場はそれに振り回され続けた。ビデオの非公開が決まった直後、「俺たちはこの政権の政治家のために命は賭けられないです」と男泣きしていた保安官が大勢いた。保安官というのは基本的に純粋な人たち。どんなに悔しくても、「自分たちの仕事は日本国民の命を守ることなのだから」とお互いに言い聞かせて粛々と任務を遂行している。

・本当にカツカツの予算で日本の海を守っていることを、もっと知ってほしい。密航・密輸などの海上犯罪や災害対応に加え、近年は領土や海洋資源の帰属について周辺諸国とのもめ事が絶えない。仕事は膨れ上がる一方。

・何か事件が起こるたびに、政治家は「船の数を増やす」などの応急措置をするが、船を増やせば、それなりの教育を受けた保安官の数も必要になってくるし、油代も加算されるし、整備費だって多くかかる。現場の事情を全く理解していないのでは、と感じることが多い。

・乗組員が少なくなっても仕事量は変わらないから、ひとり三役から五役ぐらいこなすことになる。残業代も月に60時間以上つけたらいけないなどと決まっているので泣き寝入り。若い保安官は、疲れてボロ雑巾のようになっている。中国は、日本の海保の実態についてよく研究しているから、こうした現状は筒抜けだと思う。

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