2010.11.29 Monday 00:53
くっくり
自治基本条例はこれを「まちの憲法」だと名乗る。最高規範性を持つ条例ということだが、例えば新宿区の条例では「区は、この条例を区における最高規範とし、他の条例等を制定し、又は改廃するに当たっては、この条例との整合性を図るものとする」(第4条)と規定がある。高崎市自治基本条例検討市民委員会による「高崎市自治基本条例(仮称)提言書(素素案)」には「この条例は高崎市の最高規範であり、議会及び市は、他の条例、規則等の制定・改廃、解釈及び運用、総合計画等まちづくりに関する計画の策定及び運用、その他市政の運営にあたっては、この条例との整合を図ります」とある。要するにこの条例の内容との整合を計るべくこれまでのすべての条例・規則等は書き換えられ、同時にこれから先の市政全般がこの条例の内容に縛られるということだ。これは文字通りの「革命」ではないか。
では、自治基本条例に盛り込まれる内容は何かということだが、第一に「市民との協働」ないし「市民参加」、第二に常設型住民投票制度の導入、第三に「子どもの権利」の保障。一つ目は自治体の制作を策定するに当たって「市民」の実態は何かということになる。簡単に言えば、鎌倉市の例でも分かるように特定の政治勢力が政策決定に関与する回路を作るということに他ならない。
第二の常設型住民投票制度の導入にも同様の色彩がある。議会で多数派を形成できないか、少数議席しか取れない政治勢力が市政の主導権を握るために議会を相対化させようということだ。住民投票制度には投票資格者の問題もある。年齢で言えば、多くの自治体は満18歳以上とし、大和市のように満16歳以上とするところもある。外国人に投票を認める自治体もある。自治基本条例では既に外国人参政権は認められているのだ。そして「区は、住民投票の実施の結果を尊重しなければならない」(新宿区条例第19条)。憲法違反の疑いが強い内容だ。
第三の「子どもの権利」について言えば、新宿区条例では「子どもは、社会の一員として自らの意見を表明する権利を有するとともに、健やかに育つ環境を保障される」(第22条)とある。これは「子どもの権利条例」制定の根拠規定だ。
要するに特定の政治勢力の年来の課題がてんこ盛りで、これらを一気に実現する条例ということなのだ。彼らの「自治体乗っ取り計画」と言い換えてもいい。なおこの巧妙な手法を考え出したのは他ならぬ菅直人首相の師・松下圭一氏である。
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