尖閣問題を考える上での具体例を77年前の本に学ぶ

2010.11.16 Tuesday 01:39
くっくり



 地元の警察に頼んでも何もしてくれない。業を煮やしたマロニー師は領事館に使者を送ったが、この使者もギャングに捕まり、あまつさえ「こんなことをすると女房子供の命も危ないぞ」と脅迫された。事ここに至ってはさすがに領事館も黙っておれなくなった。ただむやみに動くわけには行かない。いやしくも中国を主権国家として扱っている関係上、国際儀礼に則り、警察が動かない理由を調査した。全く馬鹿げたことである。まず第一に、中国当局が外国人に親身になるはずがない。第二に、もし警察が動いたとしても警察自体が頼りにならない。いくら頼んでも動かないから、私が何度も警察署に足を運んでようやく重い腰を上げたのである。

 さて、現場に駆けつけた警察は何をしてくれたか。何かするどころか、ギャングに追い払われて逃げ帰ったのである(中国の警察は「帰れ!」と野次られたくらいで逃げ帰る弱腰である)。庭を囲うためにマロニー師が雇った人も連中も逃げ帰ってしまった。そこで仕方なくマロニー師が自分で庭の囲いをすることになり、私は棒きれをぶんぶん回して護衛に付いた。中国人はこちらがちょっとでも強硬な態度を見せると、怖じ気づいてしまう。ギャングどもが師と私の気迫に恐れをなし、いなくなったので、囲いの壁を作り直すことができた。

 「右の頬を打つような者には、左の頬も向けなさい」とイエスは説いた。しかし中国人が相手では全く通じない。左の頬を出されて、「あ、可哀想なことをした」と反省するどころか「えっ、左まで出すの?それじゃ」と思いっきりぶん殴るのが中国人である。「どうして宣教師は気づかないのか」と領事館員は嘆いている。こういう卑屈な姿勢がかえって中国人を甘やかすことになる。おかげで、文明国家では当然の権利である外国人の権利を平気で踏みにじる。「宣教師が甘やかすおかげで、我々民間まで仕事をめちゃめちゃにされ、面目丸つぶれだ」と、民間には怒りの声が絶えない。

(p.162-163)
 
<私の感想> 「WiLL」2010年12月号で、東海大学教授の山田吉彦氏が尖閣諸島についてこんな話をしています。「いつ、中国漁民がなだれ込んでくるかわからない。それこそ、嵐にあったと理由をつけて上陸し、住みつかれたらどうするのか。尖閣に一度でも中国の五星紅旗を掲げられてしまえば、解決は非常に困難となります」。

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