ノーベル賞をもらえなかった北里柴三郎「ビーバップ!ハイヒール」

2010.10.09 Saturday 02:59
くっくり


 「とてもまっとうな医療行為とは思えない」

 またしても多くの研究者たちが北里を批判した。
 しかし、北里は自分の考えを信じ、研究を続けた。

 その結果、菌を注入したマウスの一部に「慣れ」が生じ、発症しなかったのだ。

 そしてさらに、その「慣れ」を生じたマウスの血液から上澄み液を抽出。
 その上澄み液を「慣れ」が生じていない別のマウスに注入。
 すると、そのマウスは、菌に感染しても破傷風の症状が出なかったのだ。

 「よし、成功だ!」

 これこそが、世界初の血清療法(予防接種の原理)の発見だった。
 人類は彼の手により、新しい医療の第一歩を踏み出した。

 そして…。

 「彼はすごいドクターだ」
 「世界は彼に救われた!」

 世界が北里に賛辞を贈る。
 あの写真が撮られた日から6年後のことだった。

image[101008-07photo1.jpg]

 もう誰も彼を除け者扱いにしない。

image[101008-08photo2.jpg]

 世界トップレベルの研究者の中で、堂々と胸を張る。
 日本人ドクターが世界に認められた瞬間だった。

 そして北里はこんなことまで……。

 ある仲間の研究者のもとを訪ねた北里。

 「ミスター・ベーリング」
 「おお、ミスター・キタサト」
 「血清療法は、ジフテリアでも応用できるはずだ。存分に役立ててくれ」

 苦労して作り上げた研究資料をあっさりと提供。

image[101008-09be.jpg]

 相手は、同じ研究所でジフテリアの研究をしていたドイツ人学者、ベーリングだった。

 北里はベーリングの研究の手伝いまでした。

 1901年、第一回ノーベル賞。
 「ジフテリアにおける血清療法」が評価され、何とベーリングが医学賞を受賞したのだった。

image[101008-10nobel.jpg]


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