外国人から見た日本と日本人(20)

2010.09.07 Tuesday 00:21
くっくり



 そのため、第2次大戦後の枢軸国であったヨーロッパのドイツとイタリアが平和国家となって復興、繁栄するのは応援、歓迎されたのに、同じように平和国家となった日本と極東の「小さな日本」の経済発展はあまり歓迎されないように見える。

 それどころか、ヨーロッパとヨーロッパ社会を移植したアメリカはともに、さまざまな手段を使って東アジア諸国の成長を抑え込もうとしてきた。西側の民主主義モデルの押しつけにとどまらず、あかろさまに東アジア諸国の経済の競争力を削ごうとしてきた。

 これは不幸なことである。東アジアの開発アプローチから世界は多くのことを学んできた。日本は、軍国主義が非生産的であることを理解し、その高い技術とエネルギーを、貧者も金持ちも同じように快適に暮らせる社会の建設に注いできた。質を落とすことなくコストを削減することに成功し、かつては贅沢品だったものを誰でも利用できるようにしたのは日本人である。まさに魔法も使わずに、奇跡とも言える成果を創り出したのだ。

 日本の存在しない世界を想像してみたらよい。もし日本なかりせば、ヨーロッパとアメリカが世界の工業国を支配していただろう。欧米が基準と価格を決め、欧米だけにしか作れない製品を買うために、世界中の国はその価格を押しつけられていただろう。

〈中略〉また、日本と日本のサクセス・ストーリーがなければ、東アジア諸周は模範にすべきものがなかっただろう。ヨーロッパが開発・完成させた産業分野では、自分たちは太刀打ちできないと信じ続けただろう。東アジアでは高度な産業は無理だった。せいぜい質の劣る模造品を作るのが開の山だった。したがって西側が懸念するような「虎」も「竜」も、すなわち急成長を遂げたアジアの新興工業経済地域(NIES)も存在しなかっただろう。

 東アジア諸国でも立派にやっていけることを証明したのは日本である。そして他の東アジア諸国はあえて挑戦し、自分たちも他の世界各国も驚くような成功をとげた。東アジア人は、もはや劣等感にさいなまれることはなくなった。いまや日本の、そして自分たちの力を信じているし、実際にそれを証明してみせた。

 もし日本なかりせば、世界は全く違う様相を呈していただろう。富める北側はますます富み、貧しい南側はますます貧しくなっていたと言っても過言ではない。北側のヨーロッパは、永遠に世界を支配したことだろう。マレーシアのような国は、ゴムを育て、スズを掘り、それを富める工業国の顧客の言い値で売り続けていただろう。

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