【日韓併合】外国人から見た日本と日本人(19)

2010.08.02 Monday 20:34
くっくり



 そんな事実はまったくなかった。大多数の人々がとりたてた抵抗をすることなく、比較的よく統治の秩序に従ったのが事実である。そこで重要なことは、そうすることによってこそ、祖国は防衛されたということである。大多数の庶民たちがそのようにしてうまく統治され、またうまい統治を引き出すことによって、祖国は守られたのである。外国で反日独立運動を展開した一部の者たちが守ったものではまったくない。

 韓国の知識人たちは、祖国を奪い返すために政治的に闘うというテーマがあることは知っていても、政治的国家の主権が奪われている状態で、いかに祖国を防衛するかというテーマがあるとは思っていない。しかし、韓国庶民たちはうまく統治されることをもって、立派に祖国を防衛したのである。祖国とは政治的国家の主権のことではなく、国土、郷土、習慣、文化などと人々の日常生活の総体である。政治的国家の主権がない状態で、人々は自らの手で祖国を守るため、そのように身を処したのである。

 韓国の知識人たちは、植民地時代には全般的に平穏な日常生活がほぼ確保されていて、穏やかで平和な日本人生活者との親密な交流のあったことを、率直かつ堂々とみとめなくてはならない。植民地統治下にあった韓国庶民は、平穏無事な普通の生活が基本的に阻害されない限り、あえて反日独立運動の旗を掲げて統治者と闘うことなく、統治秩序に整然と従って生きる道を選んだのである。そして日米開戦となり、朝鮮半島にも危機が訪れたことによって、家族や郷土の生活を守るために日本人と同じように日本の戦時政策に協力していった。こうした韓国人庶民の生き方を、誇りを持って積極的に肯定しなくてはならない。

 韓国は、この圧倒的多数の庶民たちの祖国への思いを引き継ぐ意志をもって再出発し、植民地コンプレックスを断ち切っていかなくてはならない。いずれにしても、植民地コンプレックスを終らせない限り、日韓和解への道は開かれない。

 とくに教養もなく素朴な田舎人として生きてきた私の母たちが、なんのてらいもなく感じたままの「日本および日本人へのよき印象」を語るのはなぜなのか。そこにはなんらの植民地コンプレックスはなく、ただ自分達の体験をとおしての率直な日本人観、日本観があるだけだからなのである。

■崔基鎬(チェ・ケイホ)=韓国人。1923年(大正12年)生まれ。巣鴨高校卒。韓国・東国大学大学院経営科、ソウル大学付属司法大学院特殊法科課程修了。明知大学助教授、中央大学、東国大学経営大学院教授を経て、加耶大学客員教授。

[7] << [9] >>
comments (15)
trackbacks (2)


<< 菅さんグダグダ
「アンカー」現地取材でわかった普天間移設問題の現状 >>
[0] [top]


[Serene Bach 2.04R]