世界が忘れない日本の物語「ビーバップ!ハイヒール」より
2010.06.21 Monday 00:24
くっくり
翌日、日本のマスコミは、タイムリミットまであと3時間という、トルコ航空の奇跡の救出劇を大々的に報じた。
だが、オザルの言う恩返しの意味を知る者はほとんどいなかった。
なぜトルコが日本を助けてくれたのか?
全ては95年前に遡る。
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1890年(明治23年)9月16日。
この日、和歌山県・大島を大型台風が直撃。
嵐の樫野崎灯台には宿直担当が二人。
「かなりの雨だな」
「そうですね、今夜がピークですかね」
その時、部屋に入ってきたのは傷を負った大男。
彫りの深い顔立ちに、びしょぬれの身体。
一目で海難事故だと分かった。
「おい、大丈夫か!」
「どこの国の船だ?!」
いくら問いかけても、言葉が全く通じない。
「これならどうだ。分かるか?!」
宿直が差し出したのは世界地図。
男は震える指でひとつの国旗を指さした。
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……トルコ!!
「とにかく先に怪我の手当をしましょう」
そうこうしていると、次々に怪我人がなだれ込んできた。
「もう俺たちの手には負えない」
「とりあえず村の人たち全員に知らせましょう!」
知らせを聞いた村の男たちは、海岸で悲惨な光景を目にした。
おびただしい数の船の破片と、倒れた男たち。
わずかに息をしているが、ほとんど体温は感じない。
一人でも多くを救いたい。
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ある者は自らの体温で体を温め、またある者は潜って生存者を捜索。
持てる力を振り絞って救出にあたった。
一夜明けて、事故の全容が分かった。
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