2010.06.14 Monday 19:16
くっくり
月を愛でる時、日本の月見のような賑やかさはない。月の明かりは寂しいこととされている。月を見ながら、西洋人は孤独に耽る。宇宙のなかで、人間が、微々たる存在である事実を痛感するのである。月の光は冷たいものである。そして、西洋人は月の冷たい光に、人間に対する大自然の冷たさを感じるのであろう。
09年11月24日放送 NHK教育「日めくり万葉集」より
私は万葉集を読んで、感動しました。昔の日本人の自然に対して、人に対してのやさしい心を感じます。昔の日本人の感情を、今の中国人に伝えたいと思います。
※この回で金偉さんが選んだ歌はこれでした。
「娘子(をとめ)らが、織(お)る機(はた)の上を、櫛(くし)で掻(か)きあげ栲島(たくしま)、波の間(ま)ゆ見ゆ」。中国語訳ではこのようになるそうです。「少女的織布机上 透過細密的梳歯 能看見浪間的栲島」
「正論」2009年11月号【日本の根本課題「自らの独創性、可能性を信じよ」欧米主導の未来が描けなくなった時代。今こそ伝統的な要素の保持が必要だ】より
仏教はインドに始まり、儒教は中国に始まる。しかしながら、日本で展開され形づくられたのは、あらゆるものに魂が宿るという精神性と切り離せない日本仏教であり、自然と人間は一つであるという精神性と切り離せない日本儒教であった。
挿花も点茶も作庭も、ルーツという考えからは中国に発するものである。しかしながら、それらは日本で生け花となり、わび茶となり、枯山水となり、というように独自のものへと発展を遂げている。
きらびやかな繁栄を誇る外来文化の華美な色つやを洗いに洗い、徹底して余剰をはぶき続けていこうとする先に起きた文化の組み替えが、日本に独特な素朴な味わいやわびしげな風情を生み出すのだ。
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