外国人から見た日本と日本人(18)

2010.06.14 Monday 19:16
くっくり


加藤恭子編「私は日本のここが好き!—外国人54人が語る」より

 かつて日本国内を旅した時に、偶然、松山の温泉地にある墓地に立ち寄ったことがあります。驚いたことに、そこには日露戦争などで亡くなった百人ほどのロシア兵たちのお墓がありました。松山には、最初の捕虜収容所が設けられたそうで、次々と送られてきた外国人捕虜たちは、公会堂や寺院に収容されたのですが、待遇は非常によく、外出、温泉入浴、海水浴なども許され、一時は、四千人を超えるロシア人がいたらしいのです。

 そして、病気などのために寂しく異郷で亡くなったロシア人たちは、ここに埋葬され、毎年、慰霊祭もあると聞きました。近づいてよく見ると、なんと、それぞれのお墓にみかんや杯などがお供えしてあるのです。近くに住む日本人の女性たちが、今でも生花やお水をあげて、ずっとお墓の世話をしているのです。

 私はそのことを知り、日本人の心の優しさに、涙が出るぐらい感動してしまいました。それ以来、日本人の友人たちのことを考えると、彼らを決して裏切ることはできないし、裏切られることもないだろうと確信できるのです。

〈中略〉日本は、新しい驚きや感動を与え続けてくれる魅力的な国です。「あなたにとって、憧れの国、イメージがよい国はどこですか」。ロシアの世論調査で、その一番目によくあがるのが、日本です。そんなふうに考えられているなんてご存知でしたか。日本では、ロシアについて、残念ながらそうではないでしょう。

 私は、この状況をどうにかしたくて、できるだけたくさんの日本人とロシア人が、隣国のことをもっと知り合い、お互いの文化を紹介し合うことができるような仕事をずっとしてきました。幼い日に憧れた日本。日本は私にとって、初恋の相手に近いかもしれません。


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 最後に紹介したセルゲイ・ハルラモフさんのお話に登場した、愛媛県松山市にあるロシア兵のお墓について補足をしておきます。

 これは日露戦争で俘虜となったワシリー・ボイスマン海軍大佐ら98人のお墓で、松山城の北の寺町、その一角にある古刹の来迎寺(らいこうじ)裏山の墓地の横にあります。

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