豪州が日本を提訴 18年前の捕鯨問題「CREA」92年9月号

2010.06.07 Monday 02:36
くっくり


【WORLD AFFAIRS】
 捕鯨禁止は環境問題?それとも、政治? 文・山中若菜

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 国際社会では異常なまでに自己主張しない日本が、ことクジラのことになると、強硬派に早変わり。クジラは日本の“興奮剤”なの?
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 マイナーだけど、きっちり押さえておかなきゃならないこと、それは捕鯨問題だ。なにしろ国際社会では“目立たず、騒がず、控え目に”の日本が、7月3日に閉幕した国際捕鯨委員会(IWC)では自ら発言を求め、「IWCは政治的偏向と先入観、感情に支配されている」と怒りをブチまけ、脱退の可能性すら警告したのだ。湾岸戦争では欧米の言うままに130億ドルを出した日本だが、今度ばかりは抵抗を続けている。これほどまでに日本が捕鯨にこだわる理由は、いったい何だろう?

 IWCは本来、鯨の保存と有効利用を目的にした捕鯨国の組織だった。しかし、欧州を中心に反捕鯨国が加盟、82年にすべての商業捕鯨一時停止が決定された。日本は異議を申し立てたが、88年には受け入れに変わった。ただし、商業捕鯨再開に向けて調査捕鯨を実施、年間300頭のミンククジラを捕獲している。

 日本は今年の総会で、六年に及ぶ検討の末にIWC科学委員会が編み出した改訂管理方式を通過させて、商業捕鯨再開へのメドをつけようと意気込んでいた。しかし結果はNO。「この方式が科学的に信頼できるものであることはIWC科学委員会でも認知されたのに、総会は無視したのです」(日本鯨類研究所・大隅清治専務理事)。結局、今回の総会では、この管理方式が承認されるどころか、商業捕鯨への条件が一層厳しくなり、再開の可能性は遠のいた。

〈科学的データが力を持たない論議〉

 そもそも、IWCが商業捕鯨再開を認める日が来ると考える方がバカげているのかもしれない。強硬な反捕鯨国であるオーストラリアのIWC代表は環境省部長。同じくニュージーランドやフランスも環境問題の担当官。水産庁次長が代表である日本とは、どだいスタンスが違う。

 「どんな方式が編み出されようとも、鯨を枯渇の危機から救うには商業捕鯨の全面禁止しかありません」(グリーンピースJAPAN・舟橋直子さん)という信条が反捕鯨国にもある以上、どんな科学的なデータも力を持たない。「彼らは事実を認めようとしない」(大隅氏)というのだから、両者の間には、妥協も譲歩もない。

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