クロウト政治とシロウト政治 18年前の参院選「CREA」92年9月号
2010.05.15 Saturday 01:16
くっくり
【CREA Hall of Shame 恥辱の殿堂】
シラケも通り越した至上サイテーの参院選 文・平野純
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永田町の盲腸とされる参議院。それでも議員バッジが欲しいのか、高邁な理想に燃えているのか、今回もまた忘れられかけているタレント達が、リニューアルでもするつもりで、大挙して立候補した。サンタンたる選挙に花を添えたオヤジたちよ、ご苦労さんでした。
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「シラケ選挙」という言葉が誕生して早くも二十年以上。選挙のつまらなさは昔と変わらないけれど、議員を目指すタレント候補の「質」と環境だけは様変わりした。そんな印象とともに終わった参議院選挙だった。
日本新党の小池ユリ子、スポーツ平和党のエモヤンこと江本孟紀、連合無所属の森田健作、風の会の横山やすし、モーター新党のマイク真木と初出馬タレントの顔ぶれは賑やかだったが、フタをあけてみれば、下馬評の高かった小池、江本、森田の三人をのぞきそろって討ち死にという予想通りの結果になった。
タレント候補の「質」と書いたが、昔のそれと今回の候補者とでIQ指数に違いがあるわけではもちろんない。アンチ・プロ政治のシロウトっぽさが売り物なのも同じ。違うのは売り時をつかむセンスの問題だろう。実際、李香蘭の山口淑子が参議院外務委員長になり、横山ノックや西川きよしが庶民のクロウト政治への「風穴」願望を満足させた今、タレント候補のシロウトぶりは新鮮でも何でもない。
大体、クロウト政治がいけないというが、「やるっきゃない」のおたかサンが野党第一党の委員長職を張り、マドンナ議員が大量進出した昨日の今日である。クロウト政治が実在するのかも疑問で、「永田町政治を打ち破らにゃあかん」と力みかえる横山ヤッさんについ、ソ連崩壊後の「反共の闘士」のイメージをだぶらせてしまったのはぼくだけだろうか。
初当選時の横山ノックや、立川談志のような「ビッグな」タレントが今回の出馬の顔ぶれに少なかったのも、寂しかった。横山やすしは、勝手に大物だと思っているだけだし、太平シローは、例の「失踪」騒ぎも事前運動だったのではという疑いだけを残した印象。もう一人のマイク真木だが、♪もう一度バラを咲かせたい〜などと、心底思っているにせよ、死んでもギターで弾き語りなどすべきではなかった。ただでさえ子供の七光りの印象なのに、見ていて気が滅入るほどのみじめさだった。
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