江戸時代を見直そう(2)
2010.03.30 Tuesday 00:53
くっくり
改めて人口の停滞した江戸時代の後半を眺めると、いろいろな面で豊かな時代であることが分かります。識字率は高く、文芸は盛んで、市場経済の発達によって庶民も旅を楽しめる時代となった。そして環境との折り合いの付け方でもさまざまな創意工夫がなされています。私たちはこの時代を見習うべきではないでしょうか。
その前の人口の停滞期である平安時代から鎌倉時代には『源氏物語』が書かれ、『古今集』や『新古今集』が作られています。そういう意味でも豊かな時代だったのではないでしょうか。つまり人口の停滞期とは成長期に導入された生産技術や労働技術が天井にぶつかり、成熟を迎える時代であったと考えることができるのです。二十一世紀の日本はこれまでに世界から取り込んできたものを、一つの形にまとめて新しい独自の伝統を作り出していく時代になるのではないでしょうか。
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【歌川豊国(三代)画「東海道五十三次之内 御油」より「山本勘助」嘉永5年(1852)】
■芳賀徹(東京大学名誉教授)
徳川時代の日本は、かつてのローマやイギリスのように軍事力、工業力によって広大な地域を支配して、自分の圏内の平和を維持していたのとは違い、幕府を中心とした幕藩体制によって列島内に完全な平和社会を作り上げ、それを維持し、成熟させ、人々に享受させた。一六一〇年、大坂の陣が終わったあたりから幕末の一八六八(慶応四・明治元)年に至るまで、少なく勘定しても二百五十年、完全なる平和がこの日本列島を満たしていた。しかもそれは自ずからなった平和ではなく、徳川幕府を中心として為政者たちが何世代かにわたって工夫を凝らして編み出した制度によってもたらされました。
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