長尾教授の勇気ある「撤回」 今一度考えたい参政権と国籍の重み
2010.01.30 Saturday 01:30
くっくり
○ドイツは圧倒的に禁止説が強い。EUにおいて、EU相互で地方選挙権を保証し合おうじゃないかということになったが、(1990年に)連邦憲法裁判所が外国人選挙権は違憲だと判決を出した。それで、やむを得ずドイツは憲法改正した。フランスもそう。ドイツは憲法改正して、じゃあどうしたかというと、EU市民に限って地方選挙権を与えることができると。従って、今でもEU出身以外の外国人に選挙権与えることは、憲法違反。禁止説がずっと続いている。
○私が最初に書いたのが、日本評論社の芦部信喜・東大教授が編集した「別冊法学教室」で、たまたま芦部さんから電話がかかって来て、じゃあ書いてみようと、それで書いてみた(「外国人の人権——選挙権を中心として」)。その後、10本ほど書いて、本にしたのが「外国人の人権——選挙権を中心として」。10年ほど前の本。そのうち許容説がだんだん強くなってきたが、それでもやっぱり禁止説の方が多いと思う。確かに出された本を見ると許容説が多いが、だいたい本を出す場合、通説と違うから本を出す。同じこと本にしてもしょうがない。実際に外国人の選挙権について、論文や本を書いてない先生の話を聞くと、だいたい禁止説。
○仮にEUをモデルとした東アジア共同体が実現するなどして、もし日本が人の移動を自由にした場合、おそらく数千万人強やってくる。そうすると、日本の社会は完全に破綻する。それについて鳩山首相はまったく脳天気なのか、おそらく念頭にない。
○付与の場合の影響として、実は在日韓国人より、中国人の方が問題。現在、中国は軍拡に走る世界で唯一の国。沖縄県の名護市長選の当落の票差はわずか1600票ほどだった。わずかな人数の中国人が引っ越せば、普天間移設問題を焦点とした選挙のキャスチングボートを握っていた。日本の安全保障をも脅かす状況になる。
○自分の学説紹介が参政権付与に根拠を与えたことは、慚愧(ざんき)に堪えない。私の読みが浅かった。2月に論文を発表し、許容説が違憲であり、いかに危険なものであるのか論じる。
日本の外国人参政権推進派は「ドイツやフランスなど外国人に地方参政権を認める国が増えてきている」とよく言いますが、ドイツやフランスがEU加盟国であるという事情を無視した乱暴な主張であることが長尾教授の話で改めて分かります。
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