「朝鮮紀行」イギリス人女性が見た19世紀末の朝鮮(4)終

2009.11.01 Sunday 00:21
くっくり


●キリスト教伝道団は平壌でははかばかしい成果を得ていなかった。平壌はきわめてゆたかできわめて不道徳な都市だった。宣教師が追いだされたことは一度ではきかず、キリスト教はかなりな敵意をもって排斥されている。つよい反対傾向がはびこり、市街には高級売春婦の妓生〈キーセン〉や呪術師があふれ、富と醜行の都という悪名が高かった。メソジスト派伝道団は活動を一時中断し、長老派は六年かけて二八名の改宗者を数えるのみだった。それから日清戦争が起きて平壌は破壊を受け、住民は流出、商業は壊滅、六万とも七万ともいわれた人口が一万五〇〇〇に減り、わずかなキリスト教徒も逃げだしてしまった。
 戦争以降はとても大きな変化があった。二八名が洗礼を受け、中流階級の最も悪名高い放蕩者、あまりに不道徳でだれにも相手にされなかった男たちが清く正しい生活を送りはじめたのである。教えを受けている洗礼志願者が一四〇人おり、受洗に先立つ長期修練の対象となっていた。(p.444)
 
●庶民は通りや家の前や宿屋で人と会う。そしてお互いの商売、仕事、ふところ具合など、かなりぶしつけと思われることについてえんえんと尋ね合ったり最新のニュースを仕入れ合ったりするのである。どんな男もできるかぎりニュースを集め、あるいはつくる。耳に入れたことをうそと誇張で潤色する。朝鮮は流言蜚語〈ひご〉の国なのである。朝鮮人は知っていること、というより耳にしたことを人に話す。ダレ神父によれば、朝鮮人は節度の意味を知らず、それでいながら率直さにはなはだしく欠ける。男たちは仲間とお互いの家を行き来して毎日を暮らす。家庭生活はない。奥の住まいにいる女たちは同性の客を迎え、また娘たちもそこにいる。男の子は幼いころから男の住まいに移され、そこで耳に入る会話から、自尊心ある男は女を蔑視せねばならないと学ぶのである。(p.453)
 

[7] << [9] more...
comments (9)
trackbacks (0)


<< 「アンカー」学園祭で若者の疑問にズバリ(付:国会論戦スタート)
衆議院予算委員会より町村元官房長官と加藤元幹事長 >>
[0] [top]


[Serene Bach 2.04R]