2009.04.21 Tuesday 00:05
くっくり
だが、靖国といい北方領土といい、問題の核心にふれることなく切り抜け方策ばかりを追い求めてきた日本を目の当たりにした国民に、ここですんなり愛国心を持てというのは、どだい無理な話である。
《引用者注:江田島で行われた海上自衛隊の第57期一般幹部候補生と第59期飛行幹部候補生の卒業式に参列して》
驚いたのはその数で、第五十七期幹部候補生のうち防衛大学出身者は八十三名で、一般大学から海自の幹部を目指して合格した人が九十六名おり、彼らは共に一年間の訓練を経て同時に卒業するという。防大より一般大学から幹部を目指す人のほうが多いとは知らなかった。ほかに第五十九期飛行幹部候補生が三十七名で当日の卒業生は全員で二百十六名、うち女性は十四名である。
名前を呼ばれた順に「ハイッ」と大声で返事をして壇上に上り、白手袋をつけた両手で学校長から卒業証書を受け取ると、一読するかのように顔の高さまで掲げ、そのまま左に向きを変えて証書を二つ折りにし、輪を上にして左手に持ちか変えたあと壇上から下りる。
一糸乱れぬ形で二百十六名全員への授与が終わると、次に優等賞受賞者十名が壇上に進む。優等賞を受領するときは成績順に登壇するのだそうだ。格差ではなく、これがケジメであろう。卒業証書受領のときは名前を呼ばれると「ハイッ」といって敬礼をしたのに、今度は黙って敬礼をしている。これも一つのケジメで、卒業証書を受け取るまでは一等海曹長だった学生が、証書を受け取ったとたんに三等海尉に昇格したわけで、士官になってから「ハイッ」という返事は要らない。運動会の徒競走ですら一等賞を与えてはいけないなどといっている時代に、江田島では百年一日の如くケジメを外さぬ式典が伝統的に受け継がれていたのである。
そればかりではない。チリ共和国海軍から毎年首席一名に勲章が与えられる。日露戦争のころ、チリから受注したイギリス製の軍艦ができ上がったとき、チリ側の配慮によって日本は緊急を要するだろうからと優先的にまわしてくれたのがきっかけで、以来日本はチリの海軍と昵懇の間柄なのだそうだ。駐日チリ大使がスペイン語で賞状を読み上げ、首席の学生の胸につける。この日、留学生として江田島で学んだシンガポールおよびタイ王国の海軍軍人も同じように卒業した。迂闊にも私はこれほど厳粛にして国際的な色彩をもった卒業式が行われてきたことを全く知らなかった。私が無知だったのか、それとも他の複雑な事情からか。
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